Pixivリクエストにてご依頼いただいた小説です。
冷遇されていたお姫様を立派なお妃さまにするべく、二人の騎士が頑張ったり、結婚相手の皇太子が嫉妬したりするお話です。
「メルヴィ・ハルティカイネン第一王女殿下におかれましては、この度ノエル=ブランシュ・ド・ヴィルパン皇太子殿下との婚姻が決定いたしましたことを、ここにご報告いたします」
冷宮――歴代のハルティカイネン王国の妃たちの中で、王の寵愛を失った女たちが閉じ込められる小さな宮殿。
亡き母である王妃に代わり、今では私が主を務めているその宮殿に、珍しくお父様からの使者がやってきた。
「……ヴィルパンというと、フロレンティア帝国の……」
「左様でございます。彼の国の皇太子は未婚の身、ここで王女殿下がフロレンティアへ嫁ぐことで、より大きな国益をもたらすことができるとの国王陛下のご判断でございます」
使者の老大臣は、これは勅命であると付け加えた。
つまり、私がこの結婚に異を唱えれば断罪の対象となる――そう、私を脅しているのだ。
「お待ちください、大臣閣下。アスピヴァーラ伯子ヴィルヘルムに発言の機会を」
「――なにかね、ヴィルヘルム卿」
「婚姻のお話が急すぎます。曲がりなりにも、メルヴィ様はこの国の第一王女ですよ? 本来であれば貴族院による二重の審議が行われるはずではありませんか? 私は父から、そのような話は聞いておりませんが」
大臣の言葉に、私の側に控えていた二人の騎士のうち、背の高い黒髪の男性が前に出る。
貴族院の副議長を務めているアスピヴァーラ伯爵――その嫡男であるヴィルヘルムは、私が知らない政治の世界にもかなり明るい。
「それは……先方からの連絡が急だったのだ。貴族院での審議を経れば、帝国から提示された期限に間に合わず――」
「はぁい、続けて発言を許可してください。パーシヴィルタ公爵三男のルーカスでぇす」
やや焦ったような老大臣の言葉を遮るように、ヴィルヘルムと同じくすらりと背の高い金髪の青年が一歩躍り出る。
彼はルーカス――国の財政を長年牛耳っている、パーシヴィルタ公爵の三男だ。家督を継ぐ権利をすべて放棄し、長らく私の側に仕えてくれている忠実な騎士の一人だった。
「……どうした、ルーカス卿」
「僕もパパから聞いちゃったんだけど――フロレンティア帝国って後宮があるんでしょ? ノエル皇太子のお妃候補って、今そこに集められてるって……なんでも、王妃になったらとんでもない額の報奨金が出るって」
その言葉に、大臣の顔色が一気に悪くなる。
政治に通じているヴィルヘルムとは対照的に、ルーカスは財政に対して非常に造詣が深い。外の世界に明るくない私に、彼らはいつもわかりやすく話をしてくれた。
「第二王女のマリアンネ様を向かわせてもいいんだろうけど……王妃になれなかったら報奨金もなにもあったもんじゃないですもんね? だから、冷宮にほったらかしのメルヴィ様を向かわせるんでしょう?」
「く、口を慎まないか! いくらパーシヴィルタ公の息子と言えど、国政に口を出すなど……」
「国政には口出してませんよ? 僕はただ、この国の現状を見て物を言っているだけです。……マリアンネ様と、母后のアンネマリー様――この二人、浪費すっごいですもんね。パパがいつも嘆いてますよ」
ルーカスの言葉に、大臣の顔が一気に青ざめる。
……確かに、華やかな美しさを誇る異母妹のマリアンネなら、大国の皇太子のお眼鏡にもかなうかもしれない。
フロレンティア帝国は大陸の西にある大国で、この国からは距離がかなり離れている。
およそ大陸を横断するほどの旅はただでさえ危険が伴う。王族の輿入れともなれば、その行列は山賊や盗賊の格好の的だろう。
「それに――」
「ルーカス、その辺にしておけ。大臣閣下の顔色が死人のようだ」
なおも口を開こうとするルーカスを、ヴィルヘルムが窘める。親友である二人は、こういう時の息もぴったりだ。
だが――どのみち、勅命ということであれば私には逆らえない。どのような理由が隠されていようとも、私が帝国の皇太子に嫁ぐことは決定事項なのだ。
「……わかりました。お父様に、謹んでこのお話をお受けするとお伝えください」
「メ、メルヴィ殿下……」
「王族して生を受けてから、このような未来がいずれ訪れるとは思っていました。これが国益となるのでしたら、私は喜んでその命を全うしましょう」
ノヴレスオブリージュ……亡くなったお母様が、口癖のように私に伝えてくださった言葉だ。
いくら実父に冷遇されているとはいえ、私はここで他人よりもよほど豊かな日々を送っていた。特権階級として生まれたからには、特権階級として生きる使命を果たさねばならない。
「かしこまりました。殿下――王女殿下、あなたは本当に……亡きアメルダ王妃によく似ていらっしゃる」
――それが大臣の本心であったのか、はたまた方便であったのか。私はそれを追求しないし、しようとも思わない。
どのみち帝国への輿入れは決まってしまった――老大臣が去った後、私はぐったりと椅子の背もたれに身を預けた。
「メルヴィ様、大丈夫? なにか温かい飲み物でも持ってこようか」
「ありがとう、ルーカス……突然の話で、とても驚いたの」
久々の来客で疲弊した私に、ルーカスは蜂蜜入りのミルクを用意してくれた。
新年の祝賀行事以外はお父様――国王陛下と会うこともできないし、異母妹のマリアンネは私を毛嫌いしている。恐らく、アンネマリー様も同じだろう。
「あの大臣、何がアメルダ様に似ている、だ。あの方のことを何も知らないくせに――それでいて、都合のいい時ばかりメルヴィのことを王女扱いする。恥知らずな奴らめ」
吐き捨てるようにそう言ったヴィルヘルムは、私のすぐそばに跪くと、膝にかけておいた毛布を直してくれた。
名家の出身であり、将来も有望視されていた彼らは、冷宮での出仕に際して官吏としての出世の道をすべて断ってしまった。今ではこの宮殿を守る二人だけの騎士として、後ろ盾のない私を守っていてくれている。
「ヴィル、あまり強い言葉を使うものではないわ」
「だが――君は傷ついた。俺たちもそうだ……よりによって、フロレンティア帝国にメルヴィを嫁がせるなんて……」
痛ましげに目を伏せたヴィルヘルムが、そっと私の膝に頭を乗せた。
ルーカスよりも年上の彼は、普段はしっかりとしていて隙がない。けれど、ふとした時にこうして弱々しい一面を見せるのだ。
「……ねぇ、ヴィル、ルーカス? 私……どうしたらいいのかな。ノエル皇太子がどんな人かもわからないし――それに、とても怖いの」
ゆっくりとヴィルヘルムの黒髪を撫でながら、私は胸の裡に芽吹いた不安を口にした。
確かに、他国の王族との婚姻は私にとって重要な義務の一つでもある。それが王族として果たすべきものだということは理解しているし、その点では先ほど大臣に言った言葉に偽りはない。
「……お母様みたいに、苦しむことになるのかなって」
「メルヴィ……」
私の母であるアメルダ王妃は、かつてこの国の正妃だった。
美しい母は父に望まれて妃になったのだが、生来の病弱が原因で徐々にその寵愛が薄れ――やがて、アンネマリー様が妹のマリアンネを産むと、私たち親子をこの冷宮へと閉じ込めたのだ。
「お母様は、決してお父様を貶めたりする人じゃなかった――でも、結果としてあんなことになってしまったのよ? 私も……いずれ、お母様と同じ道をたどるんじゃないかと思うとどうしても不安になるの」
「メルヴィ様が言いたいことは、僕らもわかるよ。僕だってヴィルヘルムだって、アメルダ様にとってもよくしてもらっていたんだから」
私が八歳になる、ある冬の日。
母は寝台で、血を吐いて死んでいた。公式な発表では元々患っていた肺病が悪化したということになっているが、母が患っていたのは心臓の病だ。
それに、権力の中枢から離れた母の病状が次第に良くなっていたことは、子どもだった私も理解できたほどだった。
「王妃様は慈悲深い方だった。木っ端役人が父に汚職の疑いありと上層した時、王妃様はしっかりと話を聞いてくださったという。俺も、初めて宮に出仕したときに声をかけていただいた……あんな優しい方を、国王陛下は見殺しにしたんだ」
ぐり、と私のお腹に頭を押しつけて、ヴィルヘルムが歯噛みする。
そう――母は殺された。あの寒い寒い冬の朝、母の傍らにあった小さな水差しの中に、毒薬が仕込まれていたのだという。
「王妃様にご恩があるのは、パーシヴィルタ公爵家も同じだよ。十年前の日照りで民が税金を払えないって直談判してきたことがあったんだけどね。僕たちは立場上、どうしても彼らを助けられない――そこに、王妃様が私財を投じて食料や薬を用意してくださったんだ。……本当だったら、威張り散らしてる官吏がやるべき仕事なのにね」
誰に話を聞いても、母は穏やかで優しい、立派な人物だった。
そんな母に恥じない生き方をしたいと思っていたけれど、いざ自分が結婚するのだと思うと恐怖が勝る。
「……お母様のような方でも、誰かに恨みを買うことがあるんだもの。いつか、私だって……」
母を殺した人間に、全く心当たりがないわけではない。
おそらくはアンネマリー様――母が生きている限り、彼女が正妃になることはできない。だが、お父様は母が死んだ後もその地位を王妃のまま変えることはなく、今も彼女は第二妃という立場のままだ。
「メルヴィ様……大丈夫だよ。その為に僕たちが護衛をしているんだ。もう誰にも、君を傷つけさせたりなんかしないから」
「そうだ。大国の皇帝だか皇太子だか知らんが、君を傷つける人間は俺たちが絶対に許さない」
私の忠実な、二人だけの騎士。
一人ぼっちになった私を、彼らだけが支えてくれた。
「帝国に嫁ぐことになっても、私の側にいてくれる?」
「もちろんだとも。既に、俺たちの命は君に預けてある。この右手は君の剣のように、左手は君の盾のように使ってくれ」
柔らかく微笑んだヴィルヘルムが、私の右手を取ってそっと指先にキスを落としてくれる。
それと同時に、ルーカスは左手を取って柔らかく握ってくれた。
「僕たちは一蓮托生――メルヴィ様が死んだら僕らも喉掻っ捌いて死ぬ覚悟だよ。それに、僕らは大切な大切な王女様をみすみす死なせるような真似は絶対にしない……ね、ヴィルヘルム?」
「あぁ――そうだ。ようはノエル皇太子に、メルヴィが気に入られればいい」
そんなことが、できるのだろうか。
ルーカスが言った通り、ノエル皇太子にはたくさんの妃候補がいるという。その中でも一番の美女と名高い帝国貴族の娘を寵愛しているという噂もあり、私が今更彼の心を射止めるのは難しいような気がした。
「できる、の……?」
「できるとも――僕たちを信じて。でも、これにはメルヴィ様の協力が必要不可欠だ……手助け、してくれる?」
ルーカスの言葉に、ゆっくりと頷く。
彼らの言っている言葉に嘘偽りはない。ルーカスもヴィルヘルムも、心底私のためになることばかりをしてくれるのだ。
「私にできることだったら、なんでもする……だからお願い、二人とも――」
たとえそれが、茨の道を歩むことになったとしても。
「私に、力を貸して……!」
差しだされた手を取ると決めたのは私なのだから、決して、後悔はしない。そう決意した。
● ● ●
「ね、ねぇ……ルーカス。本当にこれでいいの? こんな……ほとんど裸みたいな恰好、はしたない人間だって思われないかしら……」
「ううん、とっても綺麗だよ。神話に出てくる女神様みたい……それに、二人きりの寝所でわざわざ着こんだりはしないよね? それなら、メルヴィ様が一番きれいに見える格好をするのがいいと思うんだ」
窓を閉め切り、閉ざされた冷宮の中。
私はルーカスとヴィルヘルムが用意した、薄手のランジェリーに身を包んでいた。
薄絹一枚の、ほとんど裸といっても差し支えないような布地――肌が透けて見えるそれは、体のラインをくっきりとあらわにしてしまう。
「僕はご奉仕する方が好きなんだけど……でも、ノエル皇太子はどうかなぁ。すっごく冷たい、氷みたいな人となりをしてるって聞いたことがあるから――」
「施政者というのは、往々にして嗜虐的だという話も聞いたことがあるな」
寝台の上であられもない格好をしている私と、普段通り軍服を着ている二人。
ヴィルヘルムとルーカスは房中術――つまり閨でのことを教えてくれるという。
人間、そこが一番繊細で弱いところでもあるという話だが、男性とはそんなものなのだろうか。
「だが、一方的にメルヴィが奉仕をするだけというのもな……先に快楽がどんなものであるのかを、知っておく必要があるだろう」
「じゃあそれ、僕に任せてよ。僕がメルヴィ様を気持ちよくしてあげるんだ」
クスクスと笑うルーカスが、軍服の襟元を寛げた。
それと同時にベッドに上がってきた彼は、私の手をぎゅっと握ると蜂蜜色の瞳を瞬かせる。
「僕たちのことは、ノエル皇太子だと思って接してくれる? 大丈夫、ちゃんとメルヴィ様の純潔は守るから」
「う、うん……」
大丈夫だから、と何度か宥められて、私の中でも覚悟が決まる。
そう――これは、私が帝国で生きていくために必要なことなんだから。私の大切な騎士たちが、考えもなしにこんなことをするはずがない。
「じゃあ、まずは気持ちいいことから覚えていこうか……ヴィルヘルム、君はどうする?」
「俺は――まずはここで観察させてくれ。メルヴィがどんな風に乱れるのか、一度見てみたかった」
「うわぁ、ムッツリだなぁ……そうしたら、最初は僕がお相手しますね」
ふっと握っていた手を離したルーカスが、それから少し考えるそぶりを見せる。
「あー……残念だけど、こっちもお預けかな。僕はメルヴィ様のことが大好きだけど、唇は皇太子殿下のために取っておこうか」
少し残念そうに微笑みながら、ルーカスは人差し指で私の唇をなぞった。
「その代わり、唇以外のところにはたくさんキスをするからね。気持ちよかったら、ちゃんと気持ちいいって教えてほしいな」
「わ、わかったわ。ちゃんと、言われた通りにするから――ッあ……♡」
しゅるんっ、とランジェリーのリボンを解いたルーカスが、首筋に軽く吸いついてくる。
肌を軽く吸われながら柔らかく抱きしめられ、舌で首筋をなぞられると、体に妙な痺れが走った。
「ッは……ぁっ♡♡」
「ん――気持ちいい?」
「わか、らなっ……ぁんっ♡な、なんだか変な感じがしてっ……くすぐったくて、ゾクゾクする……♡」
未知の感覚は、心地好さよりも先に恐怖をもたらした。
体を舐められたことなんて今までに一度もない。頬にする親愛のキスよりも熱くて、肌の上を滑る舌の感覚に体が震える。
なんだか、いけないことをしているような気分だ。
「んっ♡大丈夫……そのゾクゾクが、気持ちいいってことだよ。メルヴィ様……」
ちゅ、ちゅっ♡と何度も首筋に吸い付きながら、ルーカスがそう教えてくれた。
これが『気持ちいい』――湯船に浸かったり、背筋を伸ばしたりするのとは全く違う種類の感覚は、まるで心を揺さぶって頭の中を蕩かすようだ。
「ぁ♡あっ♡ルーカスっ……♡♡これ、きもち、いい……♡」
「そう――素直でいいですよ。特にベッドの中では、心の中を隠さず伝えてあげて……んっ♡メルヴィ様の肌、どんどん赤くなってる……可愛いなぁ」
自分の体に起きた変化を告げられて、羞恥で顔が熱くなる。
いくら冷遇されているとはいえ、私は一国の王女だ。貞淑であれと教えられてきたし、そうありたいと願って生きてきた。
だけど、ルーカスが教えてくれることはその逆だ。素直でいるということは、つまりこうした行為の際に、ともすれば淫猥な言葉を口にしなければならないということだろう。
「あ♡あぁっ……♡やだっ♡怖い――ッひ♡お腹、熱くなってきてっ……」
「それはちゃんとメルヴィ様が感じてくれてるっていうことだから、怖がらなくてもいいんだよ……痛いことはなにもしないから、ね?」
優しく、まるで幼子を諭すように。
耳元で甘く囁いてくるルーカスは、最後に軽く鎖骨を吸い上げると、ゆっくりとランジェリーを紐解く手を動かし始めた。
「や、ぁんっ……♡」
「メルヴィ様のおっぱい、すっごく柔らかそう……こんなことを言ったら騎士失格って言われちゃうかもしれないけど、ずーっと思ってたんだ。ドレスから、こぼれ落ちちゃいそうだなぁって」
「そん、なっ……ひぁ♡ぁ゛っ……♡♡♡」
薄い、乳房の張りが隠れることすらないランジェリー。
その奥には、丸く実った柔肉がある。まるで牛のようで、肉がつきにくい体に不釣り合いな大きさの乳房――スレンダーな異母妹と比べてどうしても目立ってしまうその乳房のことを、私はあまり好きになれなかった。
「ヴィルヘルムなんて、おっぱい大好きだもんね? ずっとメルヴィ様のここ、物欲しそうに見てたの知ってるんだから――」
「っえ……? そん、っ♡♡っひ♡る、かすっ……♡」
ルーカスの口から出た衝撃の告白に、私は思わず椅子に座るヴィルヘルムに視線を向けた。
すると彼は、磨き上げた黒曜石のような瞳を軽く細めて口角を吊り上げる。
「魅力的だろう? 柔らかくて、とても甘い果実のようだ。メルヴィはそれがコンプレックスだったみたいだが――実際、その乳房に惹かれる男は多いはずだ」
まるで兄のように慕っていた男性にそんなことを言われて、下腹部がじぃんと熱くなる。
あのヴィルが、私のことをそんな風に見ていた――言いようのない背徳感に、背筋が軽く震えた。
「僕だって、ずっと触りたいって思ってたんだ……でも、僕たちはメルヴィ様の騎士だから」
ふるん……とまろびでた乳房を、ルーカスがそっと持ち上げた。
女性的ともいわれる美貌からは想像もつかないくらいにギラギラした目でおっぱいを見下ろしながら、彼はゴクッと喉を鳴らした。
「我慢してたんだよ? でも、教育目的だったらいいよね? これはメルヴィ様が、立派なお妃さまになるための勉強なんだから……♡」
そう言うや否や、ルーカスは朱赤に色づいた乳房の先端にちゅうぅっ♡と吸い付いてきた。
「ッあ゛♡♡♡ひぁ♡あ、ぁんんっ♡♡や♡そんなのっ♡♡♡なめちゃだめ♡ルーカス♡♡♡らめぇっ♡♡♡」
ビリビリとした痺れが、一気に腰のあたりから頭へと駆け上っていく。
咄嗟にルーカスの肩を押して快楽から逃れようとするが、剣を持つ彼の力にはかなわない。
「んぁ――ダメだよ、メルヴィ様。ちゃんと『気持ちいい』って言わなくちゃ……未来の皇帝陛下を失望させたくないよね? ほら……乳首舐められるの、気持ちいいねぇ?」
ちゅぱっ♡ぢゅうぅぅっ♡♡♡ぢゅぱっ♡ぢゅぱっ♡ぢゅぱっ♡♡
左の乳首を重点的に吸い上げるルーカスに、私はただ腰を揺らすことしかできない。
くすぐったくて、頭がぼんやりする――お腹の奥がどんどん熱くなって、なにかが物足りなくなるようなこの感覚が、本当に『気持ちいい』なのだろうか。
「ぁ……♡き、きもち、いい♡♡ルーカス♡おっぱい吸われるの♡♡き、きもちい♡気持ちいい、のぉっ……♡♡♡」
一度、そう認知してしまえば後は容易い。
坂道を転げ落ちるボールのように、私は与えられた快楽に従順になっていく。
「いい子いい子……んぁっ♡おっぱい気持ちいいねぇ♡乳首吸われるの、好き?」
「すき、です♡♡♡ひああっ♡ちゅぱちゅぱって♡♡赤ちゃんみたいんに乳首吸われるの♡♡♡すき♡ぁっ♡こんなっ♡気持ちいいなんて――」
知らなかった。知らなかった。この場所は赤ちゃんにミルクを上げるための場所で、男の人に気持ちよくしてもらえるだなんて知らなかったのだ。
「うんうん……知っちゃたら、もう戻れないね♡メルヴィ様のおっぱい、いやらしい性感帯になっちゃった……♡」
ぢうぅぅっ♡♡♡ときつく乳首を吸われただけで、頭がくらくらしてしまう。
更に長い指先でむにむにっ♡と乳房を揉まれると、喜悦を呼び起こす痺れはより大きなものへと変わっていった。
「あ♡♡♡ぁあっ♡ッは♡きもちい♡おっぱい揉まれながら♡乳首吸われるんの気持ちいいの♡♡♡ひンっ♡んっ♡ん゛っ♡♡んぅうっ♡♡♡」
「うわ――すごいな。胸だけだけでこんなに感じちゃうなんて……メルヴィ様、とってもえっちで可愛いですよ……」
ピンッ♡と指先で乳首を弾かれただけで、敏感になったその場所は悦びで震えてしまう。
そんな私の痴態を眺めていたルーカスが、胸を揉む指先をお腹に押し当ててきた。
「ぁ……」
熱い指先が離れていく物寂しさに声を上げると、彼はにっこりと笑って鼻先にキスをしてくれる。
「おっぱい、もっと揉んでほしかった?」
「……うん」
「じゃあ、後でヴィルヘルムにたくさん愛撫してもらおうか――まだ、もっと気持ちよくなれる場所がありますからね♡」
もっと、気持ちよくなれる場所……?
そんなものがあるのだろうか。
今でさえおかしくなってしまいそうなほど気持ちいいのに、これ以上悦くされたら――私は、一体どうなってしまうのだろう。
「ヴィルヘルム! ムッツリ眺めてないでそろそろ手伝ってよ……メルヴィ様のおっぱい、触りたいんだろ?」
「ムッツリ眺めていたわけでは……まぁ、そうだな」
頃合いか、と呟いて立ち上がったヴィルヘルムも、そっと寝台へと上がってくる。
古ぼけたベッドは軽く軋むような音を立てたが、もう私たちはそんなことなんて気にならなくなっていた。
「指で慣らすより、最初は舌の方がいいかな? ヴィルヘルム、ちょっとメルヴィ様のこと押さえてて」
「あぁ――失礼、メルヴィ。最初は怖いかもしれないが、すぐに悦くなる。我慢してくれ」
そう言うと、ヴィルヘルムがそっと私の肩を押さえた。
一方でルーカスは、ほとんど紐に近いショーツを脱がせ、まとうものがなくなった私の足をぐっと左右に押し開いた。
「ぇ……あ、ぁっ……♡」
微かな下生えをかき分けて、彼の指先がくぱ♡と恥ずかしい場所を開いてくる。
「やめっ――ルーカスッ!」
「怖がらないで……メルヴィ様のおまんこ、もう蜜でトロトロだよ?」
小さく笑ったルーカスが、あろうことかその場所に唇を近づける――仮にも公爵家の人間がしていいことではないと腰を引こうとしたが、ヴィルヘルムがしっかりと押さえているから動くことができない。
「んっ……♡れろ……♡♡ぢぅっ♡」
「ッひぃ♡♡♡ぁ♡やっ♡♡やぁあっ♡♡♡ぁ゛っ♡だめ♡♡♡ルーカスだめぇっ♡♡あ゛ひっ♡ひっ♡♡」
「ダメではないと、先ほどルーカスが言ったはずだ。……素直になるんだ、メルヴィ」
ぢゅるっ♡ぢゅるるっ♡♡♡と卑猥な音を響かせて、ルーカスが溢れてくる淫蜜を啜り上げる。
泣きそうなくらい恥ずかしいのに、ヴィルヘルムが囁いた途端にお腹の中がきゅぅんっと切なく疼くのがわかった。
「ぁ、あっ……♡」
「気持ちいい時は、なんて言うんだった? さぁ、メルヴィ……」
低い声が、思考を揺らす。
従順に、素直にならないと――体を張って私に閨のことを教えてくれる、この二人のためにも。
「……きもち、いい……ですぅ……♡♡♡おまんこ舐められるの♡き♡きもちよくてぇっ……♡♡♡あっ♡あ♡♡勝手に腰動いちゃう♡♡」
ぢゅるっ♡♡♡ぢゅぷぷっ♡ぢゅっ♡♡♡れろぉ♡♡♡ぢゅぱっ♡
浅い場所をルーカスの舌が動き回って、蜜を掻き出される。
蛇のように蠢く舌先に私の腰は揺れ、いつの間にか甘ったるい声とともに腰を動かしてしまっていた。
「はっ♡♡♡はひっ♡イイ♡おまんこ舐められるのイイよぉ……♡♡♡ッあ゛♡あんっ♡♡」
「随分と感じやすい――一緒に乳首も触ってみようか」
くつくつと低く笑うヴィルヘルムが、勃起して赤くなった乳首を指先でこりゅこりゅっ♡と摘まみ始める。
「ッひぃ♡♡♡だ♡だめぇっ♡♡♡いっしょにいじらないれぇっ♡♡気持ちいい♡気持ちよすぎておかしくなる♡♡♡これだめっ♡あ゛ひっ♡ッひ♡ひぁあっ♡♡♡」
おまんこと乳首、いっしょにいじめられちゃってる……♡
種類の違う快楽は私の中にあった理性をことごとく突き崩し、淫らで逃れがたい感覚を与えてきた。
まるで、体の中にあった丸いものが爆ぜるような――そんな感覚が、一気に大きくなる。
「だめ♡ん゛ぁあっ♡だめなのっ♡♡♡はじける♡気持ちよすぎてお腹はじけちゃう♡♡♡」
「弾ける……? あぁ、イくんだな? メルヴィ……」
「い、くぅ……?」
こんなに気持ちよくなってしまって、どこかに行くことになるのだろうか。
無知な私は教えを乞うようにヴィルヘルムとルーカスを交互に見た。
すると、それまで熱心な口唇愛撫を繰り返していたルーカスが、蜜に濡れた唇をゆがめてにっこりと笑う。
「絶頂、って言ったらいいのかなぁ……気持ちよすぎて、なにも考えられなくなっちゃうんだ。僕たちが教えてあげるから、ちゃんとガチイキも覚えようね……♡」
「完全にトんでしまう前に、奉仕の勉強もした方がいいな。ほら、メルヴィ」
初めての感覚に身を震わせる私の前に、熱いものが突き出される。
触れずともわかるほどの熱量を宿したそれは、初めて見る――男性のおちんぽだ。
「ぁ♡あっ……♡♡♡」
「俺をノエル皇太子だと思って、その胸と唇で奉仕をするんだ」
奉仕――ご奉仕なんて、どんな風にしたらいいかわからない。
でも、なんとなく……本能で、こうしたいと思えることがあった。私の体の、いやらしい部分を使って男性を慰めるためには、この大きいばかりの胸を使えばいい。
「あ、じゃあ体勢変えようか……メルヴィ様、僕の顔の上に座れる?」
「か、顔? そんな……それじゃあルーカスが苦しくなるんじゃ……」
「僕のことは大丈夫。ちゃんと呼吸できるから――それに、顔面騎乗でご奉仕するの、憧れてたんだよね」
顔に乗ってくれという衝撃的な提案に驚いたが、ルーカスが大丈夫だというなら従うしかない。
寝転んだルーカスの顔の上に腰を下ろすと、すぐさま濡れた唇がおまんこを刺激する。
「く、あぁっ……♡」
「よし――じゃあ、メルヴィはこのまま俺のちんぽをしゃぶってくれ」
「ッ♡♡は、はいっ……♡♡♡」
ガチガチにいきり勃ったヴィルヘルムのおちんぽに、おずおずと手を伸ばす。
男の人の性器が、こんなにも逞しいものだなて知らなった。
家庭教師がもののついでと教えてくれた人間の体のつくりとは、まるで違う。凶暴で、凶悪で、なのにとても魅力的な形と熱を有している。
「ヴィルのおちんぽ、熱い……♡」
「メルヴィの痴態を見ていれば、誰だってそうなる――ノエル皇太子も同じだ。誰もが皆、君の淫らな姿に恋をするだろう」
大きな手のひらが、そっと頭を撫でてくれる。
それだけで、怒張しきったペニスに抱いていた恐れはかなり薄くなった。
(私が、ヴィルを……ううん、ノエル皇太子を癒して差し上げる――気持ちよくなって、もらわないと)
ごくっと喉を鳴らしてから、グロテスクに血管が張り巡らされた肉幹に手を伸ばした。
ドクンッ♡ドクンッ♡と力強く脈打つそこは、触れるだけで火傷してしまいそうなほどに熱い。
「メ、メルヴィのおっぱいとお口で……気持ちよくなって、ください……♡」
たふん、と重たい胸でガチガチのおちんぽを挟み、そこから顔を出した亀頭につと涎を垂らす。
舌を出して、丸い先端と糸をつなぐように唾液を垂らすと、やがておちんぽからも透明な液体がにじみ出てきた。
「ん……んむ♡んぇ……♡♡♡」
舌先で触れる先走りは、顔をしかめたくなるほどに苦い。
けれど、舌が痺れるほどの苦みは決して不快ではなかった。逆に、その苦みが私を現実から引き離してくれるような気さえする。
「くぅっ♡んむ……♡♡♡ぢゅっ♡んっ♡んっ♡♡んっ♡」
ちゅぷ♡たぷんっ♡♡ちゅぱっ♡ちゅぱっ♡♡むにゅむにゅむにゅっ♡♡♡
亀頭を舌で舐めしゃぶりながら、ゆっくりとおっぱいで幹を揉みこんでいく。
まるで心臓が二つできたみたいに鼓動がドクドクと重なっていくのがわかった。
「初めてにしては、とても上手だ――もう少し、奥まで咥えてみるといい」
「ふぁ、ぃ……♡♡♡んぇっ♡♡♡ぉむっ♡む゛ぅっ♡♡♡ッん゛んぅっ♡♡」
言われた通り、おっぱいを縦に押しつぶして口の奥の方までおちんぽを咥えこむ。
ぢゅぽぢゅぽっ♡と淫らな音を立てて肉棒をしゃぶっていると、こっちも忘れるなと言わんばかりにおまんこを刺激された。
「んくぅうっ♡♡♡ん゛ぉっ♡む゛♡♡んぅっ♡♡♡」
舌で淫襞をかき分けられて、いやらしい蜜をぢゅるぢゅると吸われてしまう。
それだけでも腰が引けてしまうくらい気持ちいい――だけど、ルーカスはそこで責めをやめようとはしなかった。
「気持ちいいのはわかるが、奉仕を止めないように……ッそう、舌をたっぷり絡めて……」
ルーカスがおまんこを舐めるたびに、彼の鼻先が淫芽に擦れてより気持ちいい。
あまりの気持ちよさに口での奉仕がおざなりになると、すぐさまヴィルヘルムが声をかけてくれた。
「んん゛ぅ♡♡♡んぐっ♡ッはぁっ♡♡♡ちゅぱっ♡ちゅっ♡♡♡ぢゅるるっ♡♡」
ぢゅぼっ♡ぢゅぼっ♡ぢゅぼっ♡♡♡ぬぱっ♡ぬぱっ♡♡♡たぷんっ♡♡♡
胸を自分で揉みながらおちんぽを刺激し、頬の柔らかな部分を亀頭で犯されると先ほど感じていた強烈な愉悦の波が再び頭をもたげてくる。
「ん゛っ♡♡♡んはぁっ♡♡♡やっ♡もぉっ……♡♡♡」
ガクガクガクッと腰を震わせて、ルーカスの唇におまんこを押しつける。
自分が自分ではなくなってしまうような感覚を覚えていると、胸の谷間からおちんぽを引き抜いたヴィルヘルムがそっと問いかけてきた。
「こんな時は、なんて言うんだった?」
「ぁ――イ、イきます♡♡♡気持ちよすぎてイっちゃう♡♡あ゛っ♡あぁあっ♡♡♡クるぅっ♡気持ちいいの♡いっぱいキちゃう♡♡♡おまんことおっぱいめちゃくちゃにされてイく♡あ♡あああっ♡♡♡」
体の内側をぐちゃぐちゃに搔き乱されるような、もどかしい感覚――もっと気持ちよくなりたいと身を震わせた瞬間に、体内でわだかまっていた熱が一気に弾けた。
「ッひあっ♡♡♡あ゛♡♡♡イくイくイくぅっ♡♡♡ヴィル♡ルーカス♡♡♡見て♡お願いっ♡♡メルヴィがイくところみてぇっ♡♡♡」
ガクンッ♡と大きく身を震わせた私は、甘い悲鳴を上げながらそのまま絶頂を極め――そして、ぱたりと寝台の上に崩れ落ちた。
「ッはー♡♡はーっ♡♡♡」
「初イキおめでとう、メルヴィ様……盛大にイけてよかったね」
がくんっ♡がくんっ♡♡となおもいやらしく腰を振る私に、ルーカスが笑いかけてきた。
「僕も――メルヴィ様が気持ちよさそうにしてるところ見てたら、おちんぽ苦しくなってきちゃった……♡ね、メルヴィ様でオナニーしてもいい? いいよね?」
「おい、ルーカス……」
「ヴィルヘルムもそんなちんぽバキバキに勃起させて説得力ないよ? 手で抜いてもらおうと思ったけど、メルヴィ様はもう動けないだろうし……」
視線を絡ませた騎士二人が、自分のペニスに手をかけたのはほとんど同時だった。
「僕たちがイくところも、ちゃんと見ててね♡」
蕩けるような笑みの後、二人がたっぷりと精液を吐き出すまで――私は淫らなその動きを目に焼き付け、肌に感じる精液の熱に体を震わせたのだった。
「これから毎日、俺たちが君に教えてあげよう。男の体のつくり、癒し方――淫らな花嫁に慣れるように努力しようか、メルヴィ?」
「はい――いっぱい、メルヴィにきもちいいこと、教えてください……♡」
陶然とした意識の中で、そう答える。
そしてその言葉通り、私は輿入れまでほぼ毎日にわたって、二人の騎士に淫らな作法を手取り足取り教えこまれることになったのだった。
● ● ●
「ハルティカイネン王国第一王女、メルヴィ・ハルティカイネン殿下――ご入来!」
フロレンティア帝国への輿入れは、冬の冷たい空気が残る年明けに行われた。
私が母国から携えたのは、母の形見である一振りの短剣と二人の騎士たち――輿入れに際してお父様からの言葉はなく、異母妹が吟遊詩人の子を妊娠したことで王宮は大騒ぎだった。
とにかく、そんな状況下であっても私の輿入れはつつがなく行われた。政治的な利用価値が低いため、ノエル皇太子が持つ後宮の末席に加えられることになったのだ。
「――メルヴィ・ハルティカイネンと申します。フロイツ皇帝陛下、並びにノエル皇太子殿下……この度は入内の誉れを頂き、恐悦至極に存じます」
一般的な貴族の子女であれば、皇帝陛下を前にした挨拶は行わずまっすぐ後宮へ向かうが、私の場合は一国の王女――国王の長子であるということから、特別に挨拶を行うことになった。
もちろん、私の側にはヴィルヘルムとルーカスが控えている。
彼らは母国での一切の権利を放棄して、私のためにこの国までついてきてくれたのだ。
「メルヴィ王女、顔を上げなさい。……遠路はるばるの旅路、大変にご苦労だった」
「陛下のお慈悲に感謝いたします。これよりはわたくしも、陛下の臣民として誠心よりお仕えいたします――」
フロイツ皇帝は、もうすぐ五十歳という年齢が嘘のように若々しい偉丈夫だった。
きらきらしい銀髪と、その下にある青い瞳がどこか冷たさを感じさせるが、口調は気さくで穏やかなものだ。
「ノエル、お前からもメルヴィ王女に挨拶を」
「……ノエル=ブランシュ・ド・ヴィルパン。君が住まう後宮の主だ」
手短にそれだけを告げたのが、皇帝の側に控えている皇太子――私が嫁ぐ、ノエル皇太子だった。
父親の姿にそっくりな彼は、切れ長の目でじっと私のことを見つめている。
「こまごまとした挨拶は後ほど……今はゆるりと休むがいい」
「は――ありがとうございます、ノエル殿下……」
威圧感で言えば、父親のそれの方が大きいと思う。
けれど、ノエル皇太子の口調はどこかとげとげしい。政治的手腕は非常に優秀で、私心を排して政治を行う姿は、一方で悪魔的とも呼ばれるほどに冷たいものだと聞く。
(この方に嫁いで、やっていけるのかしら……)
興味がないと言わんばかりに顔をそむけたノエル皇太子と苦笑気味の皇帝陛下に頭を下げて、私は宮廷百官が居並ぶその場を辞した。
後宮に用意された私の部屋は、ノエル皇太子の寵姫が住まう宮とは離れた離宮だ。
「うわぁ、冷宮そっくり。どこの国でもこういう場所ってあるんだなぁ……」
「まだこちらの方が装飾が豪華だな。仮にも他国の王族を迎え入れるのに、これは些かお粗末と言えるだろうが」
現在後宮には、八人の妃候補がいる。
その中でも末端に位置するのが、恐らく私だろう。
帝国貴族、アルトウェーン公爵令嬢が現在その寵愛を得ているという話は聞くが、他の妃候補についてはほとんど情報がなかった。
「でも、少し落ち着くわ。あまりきらびやかな宮殿は得意じゃないし……それに、この宮殿には植物園もあるんですって」
母国から持ってきた荷物が運び入れられたのは、中央の宮殿からは少し離れた小ぢんまりとした館だ。
一応離宮を与えられたという形にはなっているが、恐らく初夜以外はあまり皇太子も立ち寄らないのだろう。
「まぁ、メルヴィ様がいいなら僕はそれでいいけど」
「同感だ。中央で政治の道具にされるよりは、こうした場所でゆっくりできる方がいい」
二人はそう言って、荷解きの手伝いをしてくれる。
帝国側から侍女を数人つけられたけれど、やっぱり慣れている二人の方が気分が楽だ。
「その……今日、なのよね?」
「そうですね――僕たちはあくまで護衛なんで、外に控えてるって形になりますけど」
「呼ばれたらすぐに馳せ参じる。だから、なにかあったらすぐに声をかけてくれ」
――輿入れを終えたということは、私は今日からノエル皇太子の妻になる。
ということは、今夜皇太子はこの部屋を訪れるのだろう。これまで、しっかりと練習してきたこと――男の人をどれだけ悦ばせることができるのか、その成果を示さなくてはならない。
「怖いことなんてなにもないよ。気持ちいいだけ――教えた通り、ノエル皇太子のこともたくさん気持ちよくしてあげればいいんだ」
「メルヴィなら大丈夫。いつも俺たちにしているみたいに触れていればいいんだ」
本当に大丈夫なんだろうかという不安を、ヴィルヘルムとルーカスが優しくぬぐい取ってくれる。
「うん――ありがとう、二人とも」
私の、たった二人だけの騎士。
彼らに教えられたとおりに、皇太子殿下を癒して差し上げる――それが、ここでの私の使命だ。
うまくすれば、母国にだって吉報がもたらされるだろう。そうなれば民だって、今より豊かな暮らしができる。
「私――頑張る、ね」
熱を宿した体をドレスで包んで、私はその日ノエル皇太子がやってくるのを待った。食事を終え、侍女たちに体を清められた後は、純潔を表す白いドレスで一人彼を待つことになる。
ヴィルヘルムとルーカスは、初夜の間部屋に入ることは許されない。その代わり、万が一のことが起こらないようにとこの館全体を警護して回るのだという。
(二人がいないのは心細いけど――他の男性を入れるわけには、いかないものね)
一人きりの部屋は、どこか寒々しい。
静かでそれほど物もない、広いだけの部屋――そこでノエル皇太子のことを待つ時間は、まるで永遠のように感じられた。
「――メルヴィ様」
と、扉の外から声がかけられたのは、それからいくばくか時間が経ってからだった。
侍女がそっと扉を開けると、そこにはゆったりとした服装のノエル皇太子が立っている。眼光は昼間と同じく鋭いまま、相変わらず私のことをじっと見つめていた。
「皇太子殿下が、今宵はこちらで過ごされると」
「は、はい――お待ちしておりました、ノエル様」
侍女は二人分のお茶を用意して、そのまま部屋を辞してしまう。
「気を付けろ、出された茶を不用意に飲むものではない……先日、妃候補の貴族が一人それで死んだ」
「えっ……」
手持ち無沙汰で、用意されたお茶に手を伸ばそうとした時。ふと、ノエル皇太子がそんなことを言い出した。
「銀器を使っても発見されない類の毒薬だ。……恐らく、お前の分の茶器にも仕込まれている」
そう言うと、彼は私が手に持っていた茶器をそっと取り上げた。
そして窓際に立つと、月の光にお茶の中身を当てる。
「メルヴィ、こちらへ――私の隣に来るといい」
「……はい、失礼いたします」
ノエル皇太子の隣に立つと、彼は懐から小さな薬包紙を取り出し、その中身を茶器に注いだ。
「あ……」
「色が変わったな。……心当たりは? お前が連れてきた騎士たちはこのようなことをするような人間か?」
「いいえっ! 彼らは絶対に、そのようなことは――私に、絶対の忠誠を誓っている者たちです。茶器に毒を仕込むなんて、そのようなことはあり得ません」
紅茶が入れられていた茶器の中身は、皇太子が注いだ粉末により黒く変色していた。
それでも、こんなことをヴィルヘルムとルーカスが行ったとは思えない。彼らは母が毒殺された現場を見ているのだ――私を害そうとするなんて、考えられなかった。
「……随分と彼らを信用しているようだ」
「幼い頃から、側におりました。私にとっては兄のような……かけがえのない存在です」
目の前で毒を盛られたというのに、皇太子の表情はあまり変わらない。
一歩間違えば血を吐いて倒れていたかもしれない状況を、まるで毎日の日課であるかのような反応を見せる。
「そうか。では侍女を一新しよう――私にも、心当たりがないわけではない」
「心、当たり……」
「このような立場にいれば、暗殺未遂など日常茶飯事だ。……そして、この毒で私は殺せない」
そう言うと、皇太子はどす黒く変色した茶器の中身を一息に飲み干した。多分に毒が含まれているそれを飲んだ瞬間、彼の唇は真っ赤に染まる。
内臓が負荷に耐えられなかったのか、少量ではあるが血を吐いたのだ。
「ノ、ノエル様!」
「騒ぐな。問題ないと言ったはずだ――幼い頃から、大抵の毒薬には耐性をつけてきた。だが――些か量が多いな。確実にお前を殺すためだったのか、あるいは……」
「いくら耐性があるからといって、このような……お召し物も汚れてしまいます。――今、お水もお持ちしますから」
ボタボタと唇の端から滴る血液は、彼が喋るたびにその着衣を汚す。
元々白い彼の肌にも赤黒い汚れがついてしまうのを、近くにあった手近な布で拭った。
「血が、怖くはないのか」
「近衛の騎士たちの手当てをしたことが、何度かあります。それよりも解毒薬は……」
「必要ない。じきに治まる……だが、鉄錆臭いのはかなわんな」
そこでようやく、ノエル皇太子は不快そうに眉を寄せた。
慌てて水差しから水を汲み、皇太子に差し出す。すると、彼はゆっくりとそれを飲み干した。
「暗殺に対する用心がないと思えば、血は見慣れているのか。よほど、あの二人の騎士が優秀と見た」
「……私には、もったいない二人です。母が死んでから、彼らが私のことを守ってくれていました」
自慢の騎士たちが褒められたことで、胸の奥がほんのりと温かくなる。
すると、皇太子は私の手を引いて寝台に腰かけると、深く息を吐いた。
「私の母も、毒で死んだ」
「え……ノエル様のお母様ってことは、つまり……」
「皇后だ。後宮に妃は数多くいるが、皇后はたった一人だけ――政略結婚だったが、父はこれ以上ないほどに嘆き悲しんだ。お前と、境遇は似ているというわけだ」
淡々と、事実のみを口にする皇太子の表情は変わらない。
だが、あの皇帝陛下が身も世もなく嘆き悲しむ姿というのはあまり想像ができなかった。
「徹底的に毒の耐性をつけるようにと教育を受けたのはここからだ。私が死んでも次期皇帝の資格を持つ者はいるが――皇后の子どもは私だけだからな。父も、私を帝位につけようと必死なわけだ。食事にはいつも、致死量ギリギリの劇薬と、解毒剤を同時に盛られていた」
実母は毒で死に、実父からは食事に毒を加え続けられる――想像を絶するようなその境遇に、私は言葉を失った。
大国の皇太子というから、その生活は順風満帆であると思っていたのだ。多くの人間にかしずかれ、何不自由ない生活を送っているとばかり思っていた。
だが、その実情は私が思っていたよりもずっと過酷で、悲惨なものだった。
「例えばお前が、体のどこかに毒薬を隠し持っていたとして……恐らく、それでは私は殺せない。先んじて、これだけは言っておく」
「そんなことを言わねばならないほど、寝所に毒を持ち込まれたことがあるのですか……?」
「幾度もな。国の外からやってくる者は大抵そうだし、国内の貴族も――メルディ、お前はどうだ?」
まるで試されているかのような言葉だったけれど、それに対して怒りの感情は沸いてこなかった。
それだけ命の危険に晒されていれば、他人に対して懐疑的にもなるだろう。
「――それは、殿下ご自身の目でお確かめください。私が口でなにを言おうと、きっと目で見なければ心から信じることはできないでしょう」
「道理だな。しかし……随分と肝が据わっている」
クッと低く笑った皇太子が、そのまま私のことを寝台に押し倒す。
反転する視界の中で、一瞬だけ彼の表情が陰ったように見えたのは気のせいだっただろうか。
「殿下――」
「何のために私がここにきたのか、知らぬわけではあるまい」
後宮に入った以上、誰であっても一度は彼の訪問を受ける。
一夜をノエル皇太子と過ごし、その素質を問われるのだ。
「……覚悟は、できております」
「唇に――毒を塗っているのかもしれないな」
冷たい色の瞳が細められると、彼の指先がそっと唇をなぞった。
「っう……」
ルーカスもヴィルヘルムも、唇には触れなかった。口淫はたっぷりと教え込まれたけれど、ついぞキスを交わすことはなかったのだ。
「お確かめ、ください……」
ほんの少しの恐怖と、どこか諦念めいたもの――それを飲み下して呟くと、熱い唇がそっと私のそれを塞いだ。
「ん、ぅ……♡」
その瞬間、大きく体が震える。
ただのくちづけ――触れるだけの、ままごとじみたキスだったが、それでも私の体を熱くさせるのには十分だった。
「んぁっ♡む……っ♡♡♡ん、ふぅっ……♡」
そっと唇を舌で舐められて、角度を変えながら口吻を繰り返される。
柔らかく唇を食むそれは私にとって初めての経験で、一つ二つと小さな音が重なるたびに体が甘く疼きだした。
「ぁむ♡んっ――♡♡♡で、んかっ……♡」
ガクガクと情けなく腰を揺らしながら、必死で目の前の人の名を呼ぶ。
すると、長い指が私の指を絡めとった。ゆっくりと唇が離れると、重なり合っていた場所の熱が指先に移動するような気がした。
「メルヴィ……お前、今まで男に抱かれたことは? 隠し立てをする必要はない――私とて、他の妃候補と肌を交わしている」
「……ない、です。抱かれたことは、一度も」
「――お前を、キスだけで蕩けるような体にしたのは誰だ、と聞いている」
二度同じことは言わない――低く艶めいた声で囁かれて、私はぎゅっと目を閉じた。
ここには誰もいない。ルーカスも、ヴィルヘルムも――そして彼らが私の寝所を訪れることは、もう二度とないのだ。
「……母国で、手ほどきを受けたことはあります。ただ、それはあくまで嫁ぐまでに与えられた義務のようなもの――心は全て、殿下に捧げると誓っております」
ノヴレスオブリージュ。
私は私の使命を果たさなければならない。
月明かりの下で物憂げに目を細める彼は、きっと誰も信じられないのだろう。
たくさんの妃候補がいるのに、毒を盛った盛られたと疑心暗鬼にならなければならないような人生――私が生きてきた時間よりも長い間、彼はその恐怖と戦い続けてきたのだ。
「心、か。確実性のない言葉だ――子を孕めば欲が出るぞ」
「いいえ……もとより父王にも見放された身です。多くは望みません――その欲がどれほどの悲劇を引き起こすかを、私は身をもって知っていますから」
人が近づかない、薄暗い冷宮。
あの場所が心地いいと思えるほど、私は長らくそこにいた。ただ穏やかに、命の危険に晒されることなく過ごすことができればそれでいい――それさえできるなら、私はなんだって彼に差し出すつもりでいた。
「なるほど――そうだったな。お前は知っている……権力というものがどれほど愚かしいものか」
自嘲するように笑ったノエル殿下が、もう一度唇を重ね合わせてくる。
その手がドレスの裾の中に潜り込み、うっすらと太腿を撫でると、教え込まれた快楽への期待がどんどんと膨らんでいく。
「っふ……♡」
「敏感な体だ。少し触れただけでこれか」
「ん、やぁっ……♡ぁ♡ごめ、なさいっ……♡♡」
太腿をぐっと掴まれただけで、お腹の奥がどんどん熱くなる。
初夜の褥で、私ばかりが気持ちよくなるわけにはいかない。それはわかっているのに、彼が触れた場所はどんどん熱くなっていく。
「叱責しているわけじゃない――メルヴィ、私とお前は似ているな」
ちゅ、ちゅ、と唇を重ねながら、指先は足の付け根へと伸びていく。
柔らかく繰り返されていたキスが終わると、彼はそのまま唇で胸元のリボンを解いた。
「ッひぅ♡」
「それに、お前は美しい――父上に気を付けろ。あの人に目をつけられたら終わりだ……それこそ宮殿の一室に閉じ込められて、子を孕むか気が触れるまで抱かれ続ける」
「そん、なっ――ぁ、あっ♡♡」
物騒な脅しとともに、裸体をあらわにされる――じっとこちらを見下ろす視線に、私はごくりと喉を鳴らした。
「だがお前は、私のものだ。私の後宮に入った……安心しろ。いくら父上でも、息子の持ち物に手出しはしないだろうさ」
持ち物という言葉に、心が揺れなかったわけではない。
けれど、この人はきっとこういう言葉で自分を守らなければならないほど傷ついてきたのだろう。そう思うと、怒りよりも憐れみが勝った。
「そう、です……私は、殿下のものです」
「物分かりがいいな。嫌いではないぞ。姦しく騒ぎ立てるしか能がない女どもよりよほどいい」
言うや否や、ノエル殿下はむにぃっ♡と私の胸を強く揉んだ。
「ひ、あぁっ♡♡♡ぁっ♡あんっ♡」
体が痺れるほどの快楽に、甲高い悲鳴が漏れる。
すると、彼は気を良くしたようにたぷたぷと両方の胸を鷲掴みにし、円を描くように揉みしだき始めた。
「はっ♡♡ひぁ♡でん、かぁっ♡♡♡そんなに強く揉んじゃ、ぁあっ♡」
「本当に感じやすい体だ――胸も柔らかく、私に従順じゃないか」
むにゅっ♡むにっ♡♡♡たぷんっ♡ゆさっ♡ゆさっ♡♡♡むにゅぅっ♡♡♡
形が変わるくらい激しく胸を揉みしだかれて、どんどんおまんこが熱く濡れてくる。
「ぉ゛っ♡♡お゛ぅっ♡おっぱいだめ♡♡♡めちゃくちゃに揉まれたらっ……♡ん゛ぁ♡あ゛っ――♡♡」
「揉むだけでは芸がないと? それならたっぷりと、この豊満な乳房を堪能させてもらおう」
彼が言う通り、私の胸は従順なほどによく跳ね、沈み込む指先を包み込むように歪んだ。
それでも責めの手が止まることはなく、殿下は色づいた左右の乳首を同時に抓りながらキスを繰り返した。
「んむ゛ぅううっ♡♡♡ん゛ぉっ♡ンっ――♡ちゅぱっ♡ぢゅるるるっ♡♡♡んくぅうっ♡♡♡」
先ほどの触れるだけのキスとは違う、捕食のようなガチベロチュー♡
舌を絡められて唾液を啜られ、頭の中がじぃんと痺れてくるのがわかった。
「んぉ゛♡♡ん゛ぁっ……♡♡ぷ、はぁっ♡♡♡」
「義務とやらで教え込まれたにしては、ずいぶんと淫らな表情を見せるんだな? メルヴィ――妃候補として最初の務めだ」
ぢゅぱっ♡と音を立てて唇が離れると、彼は自分が着ていたゆったりとしたローブを紐解いた。
鍛え上げられた美しい体に見とれる間もなく、ノエル殿下は私の顎を掴んで顔を向けさせた。
「っあ……♡」
「男の性器を見るのは初めてか?」
それには、ゆっくりと首を横に振った。
ヴィルヘルムやルーカスのそれと比べても遜色ない――いや、明らかに一回りほど大きなおちんぽが、赤黒く怒張して涎を垂らしている。
「殿下をお慰めするのに……臣の手を、借りたことがあります」
「なるほど。ではその手管、私の前で披露してみるがいい――うまくできれば、痛みを与えることなくお前を抱いてやろう」
その言葉に、私は再び唾を飲んだ。
張り詰めた肉棒にそっと手を伸ばして、頭の中でルーカスやヴィルヘルムと過ごした夜を思い出す。
「で、では――誠心誠意、ノエル様と……ノエル様のおちんぽに、ご奉仕させていただきます……♡」
視線が大きなおちんぽに釘付けになって、目を逸らすことができない。
教わった通りにすればきっと大丈夫。そう自分に言い聞かせて、まずは亀頭を手のひらでマッサージする。
「ノエル様、っ……♡あ、すごい……♡♡透明な先走り♡ずっとトロトロいってる♡♡♡」
くぱっ♡と広がった鈴口が可愛らしくて、たまらずに舌を伸ばす。
冷たい美貌の下に、こんな熱くて大きな――規格外ともいえる大きさのおちんぽを持っているだなんて、想像ができなかった。
「んっ……♡おちんぽキス、熱い……♡♡」
尖端に唇を押しつけて、先走りと唾液を舌でくちゅくちゅと混ぜ合わせる。
この苦みも、ずいぶんと慣れてしまった――そのまま喉の奥までおちんぽを咥えこんでみると、喉奥までのストロークでは肉竿を咥えきることができないことに気付いた。
(本当に大きい……♡♡お口まんこ、めちゃくちゃに広げられちゃってる♡♡♡)
圧倒的な質量で咥内を犯され、支配される悦びがビリビリと脳を灼く――子宮が絶え間なく疼き、この雄に犯されたいという雌としての本能が揺さぶられた。
「んごっ♡♡♡ぉ゛っ♡むうぅぅっ……♡♡♡んむっ♡ん゛んっ♡♡♡むちゅぅっ♡♡♡」
じゅるっ♡♡♡ぢゅるるっ♡ちゅぱっ♡ぢゅぱっ♡♡ずろぉ~~~~♡♡♡
喉の奥を締め付けながら、幹の部分はたっぷりと唾液を絡める。唇で覆うことができない根元の部分は、睾丸と一緒に手のひらや指でゆっくりと刺激を繰り返した。
(これ♡これだめ♡♡♡フェラだけでおかしくなりそう……♡♡♡ずっと♡ずっとこのおちんぽに犯されるために教育されてたんだ♡♡♡)
圧倒的な王の才気にあてられて、私は懸命に口腔奉仕を繰り返した。
いつの間にか自分で淫らに胸を揉み、犯してくれと懇願するように腰を揺さぶる――そんな浅ましい私の姿を見下ろしながら、ノエル殿下は徐々に腰を動かしてくる。
「お゛っ♡♡♡ん゛ぅうっ♡」
「さすがだ、メルヴィ――舌がたっぷりと絡みついて、っ……心地がいいぞ」
ずこっ♡ずこっ♡♡と強く腰を打ちつけられて、勝手に体が欲情する。
口をおまんこみたいに使われているのに、その苦しさすらも快楽になって体を苛んでくる。
「ぉ゛っ♡♡♡ぉ゛むっ♡んっ♡んっ♡♡♡んっ♡♡♡ふぁっ……♡おちんぽおいひぃ♡♡♡ノエルさま♡♡♡ノエル様のせーし♡メルヴィにください♡♡♡メルヴィの喉まんこに皇太子せーしいっぱい出して♡♡喉孕ませてください……♡♡」
いっぱい精液を出していただけるように、裏筋もしっかりと舐めて刺激を繰り返す。
ぬ゛ろぉ……♡とおちんぽを口から引き抜いて亀頭から根元までを満遍なく舐めしゃぶりながら、我慢ができなくなっておまんこに指を伸ばした。
「は♡ぁむっ……♡♡んんぁっ♡♡」
「悦いぞ――望むまま、喉奥に出してやろう。その貪欲な膣奥も、後で嫌というほど犯してやる」
ずにゅっ♡♡♡ぢゅるっ♡♡ぢゅぱっ♡ぢゅぱっ♡ぢゅぱっ♡♡♡
舌と頬肉で目一杯おちんぽを扱くと、どんどんピストンの速度が上がってくる。咥内を犯すおちんぽの質量がズンッ♡と重くなったことで、射精の兆しを感じた。
「ん゛っ♡んんぅっ♡♡♡ぉ゛ッ♡♡ん゛ぉ゛♡♡んぐぅうっ♡♡♡む゛~~~~♡♡」
ぶぢゅっ♡♡♡びゅるるるっ♡ぶびゅ~~~ッ♡♡ぼぢゅっ♡♡びゅくっ♡♡♡
「ぉ゛、ほっ……♡♡」
こってりとした精液が、口の中に流れ込んでくる♡♡
飲み込むのも大変な特濃精液♡こんなのナカに出されたら大変なことになっちゃう♡♡
「ふくっ……♡んぁっ♡♡♡ん゛っ……♡」
じっくりと時間をかけて、吐き出された大量の精液を嚥下する。
熱を失ったおちんぽはずるぅ♡とお口まんこから引き抜かれるが、火照った体はそれだけでは足りないと悲鳴を上げ始めた。
「すべて飲んだか?」
「はい……♡一滴残らず、せーえき飲み干しましたぁ……♡♡」
イガイガと喉に絡みつくそれは、決して美味しいものではない。
だけど、飲み込んだそれが熱を発しているかのように、お腹が放射状に温かくなった。
出されたものをすべて飲み込んだのを証明するのに口を大きく開けると、ノエル殿下は満足げに目を細めた。
「ノエル、さま……♡まだご満足されてませんよね? おちんぽ、また大きくなってる……♡」
あれだけ射精をした後だというのに、ノエル様のそれはまた少しずつ硬さと熱を取り戻しているようだった。
「メルヴィの体で満足していただけるように、頑張りますから……だから、その――こちらでも、たくさんおちんぽを扱いてください……♡」
体勢を変えて、はしたなく涎を垂らすおまんこを見せつけるように指で開く。
あまり頻繁に変わることのない彼の表情が声援に歪むと、私はすぐに半勃ちになったおちんぽを胸に押し付けた。
「メルヴィ――」
「いっぱい、練習したんです……♡ノエル様に気持ちよくなっていただけるように、たくさん――」
ぬりゅっ♡ぬりゅっ♡♡とむちむちおっぱいをおちんぽに押し付けて、熱を取り戻しつつあるそれをゆっくりと愛撫する。
「ノエル、さまぁ……♡」
支配されたい。組み敷かれたい。彼に奥の奥まで満たされたい。
冷たく平坦だった彼の感情を少しでも動かすことができると、そんな欲が頭をもたげてくる。
ノエル殿下は先ほど言ったはずだ。欲望は、身を滅ぼしかねない。
頭では理解しているのに、本能が彼にかしずいてしまう――ずりずりと乳肉を擦りつけ、再び硬さを取り戻した肉棒が鼻先に突き付けられる。
「っふ♡♡♡」
「頭のいい女だと思っていたが、これほど淫らだとは――一体誰が、お前に肉の快楽を教え込んだのやら」
妬けるな、と、地を這うような声が聞こえた。
低く子宮に響くその声で、とぷりとおまんこから蜜がこぼれる。
「先ほどの約束通り――痛みを与えずに抱いてやろう。お前の中から、お前を愛した男たちの面影が消えるまで」
再び寝台に押し倒された私は、両足を大きく開かされた。
秘部が丸見えになるような恥ずかしい格好をさせられ、はしたなく涎をこぼすおまんこにずりずり♡と熱杭を擦りつけられる。
「ッは♡♡♡んぁあっ♡おちんぽ♡♡おちんぽ熱い♡♡♡ァっ♡だめ♡♡♡こんなっ♡♡こんなに熱くてすごいの知らない♡♡」
ここは、ノエル殿下のための場所だから。
だから二人の騎士たちは最後までおちんぽを挿入れてはくれなかった。
体だけを淫らに変化させられながら、純潔だけは守り通した――我ながらアンバランスな状態だが、それゆえに期待感も大きい。
「おちんぽ♡♡♡おちんぽください♡♡ノエル様のガチガチ勃起おちんぽ♡♡メルヴィのはしたないおまんこに突き立てて♡教えてください♡♡♡私が――」
ひぐっ♡と喉が鳴った。
早く満たされたい。早く――この男の、モノになりたい。
そうなることが、私に求められていることだから。ヴィルもルーカスも、そのために力を貸してくれたのだから。
「私がノエル様の♡♡rb:雌 > モノ]]だって、体に刻み込んでください……♡♡」
懇願すると同時に、熱いものがみちみちと蜜口から奥に突き立てられる。
「ッお゛……♡♡♡ほ、ぁっ♡♡ん゛ぉっ♡ひ、ッ――♡♡♡」
みぢぃっ♡♡ぬちっ……♡ぐぷぐぷ♡♡ずっ♡ずっ♡♡ずっ♡♡♡
ゆっくりと、緩慢すぎて時間が永遠に感じるほど長く――その形を覚えさせるかのように、熱いおちんぽがゆっくりと隘路を進む。
「だ、ぁあぁぁっ♡♡♡はい、ってる♡おまんこ♡♡♡熱いの入ってきてるぅっ……♡♡ぉ゛っ♡ひぎっ♡♡ぃ♡♡♡」
ぶづんっ♡となにかが千切れたような感覚があったけれど、それすらも気にならないほどに気持ちいい……♡
「ンぉ♡♡♡きもち♡気持ちいい♡♡おちんぽずぽずぽされるの気持ちいいの♡♡ッあ゛ぁっ♡イく♡イっちゃう♡♡♡おちんぽ突き立てられただけでイくぅ♡♡♡」
「あぁ――いいぞ。存分にイくといい……ッ、挿入だけで、達するとは――」
淫乱め、と低く笑う声に、堪えきれずイってしまう。
狭いお腹の中をいっぱいに満たすおちんぽをきゅんきゅんと締め付け、体を弓なりに反らしたまま極める絶頂は、普段よりも深く強烈なものだった。
「あ♡あ゛~~~~~♡♡♡イってる♡イってるから♡♡♡うごいちゃらめ♡♡壊れる♡今動いたら壊れちゃう♡♡♡」
「教えて……ッ、ほしいのだろう? お前が誰のものか、この淫らな体は誰のためのものか――ならば私の前で存分に果てよ。そして、何度も自覚するがいい」
ぐぽっ♡ぐぽ♡ぬっぽぬっぽぬっぽ♡♡♡どちゅっ♡ごちゅぅっ♡♡♡
「ぉ゛っ♡お゛ぉっ♡♡♡ん゛ぉ♡お゛♡♡♡そんにゃ♡らめ♡♡♡強くごちゅごちゅって♡♡♡ッひ♡♡イイ♡きもちいいのいっぱいクる♡♡♡イく♡イく♡♡♡イきますぅうぅぅっ♡♡♡」
皇太子のガチピストンすごい♡♡おっきなちんぽで子宮押し潰されそう♡♡
こんなの誰だって勝てるはずない♡女にされてる♡わからせられちゃってる♡♡♡
「淫乱な新妻だ――ハルティカイネン王国の第一王女は、貞淑で清廉な乙女だと聞いていたが」
「ご♡ごめんなしゃい♡♡♡いんらんでっ♡えっちな王女でごめんなさい♡♡ずっと待ってたの♡♡おちんぽ♡おちんぽでズコズコって♡♡♡奥までいっぱい愛してほしかったの♡♡」
「お前の大切な騎士様とやらは、本当に律義だな――主の純潔を守りながら、ここまで淫蕩な女に仕立て上げるとは」
蕩け切った私の唇を吸い、突き上げられるたびに揺れる乳房にそっと触れられる。
「お゛っ♡♡♡ん゛ぉっ♡イくのっ♡イくのとまんにゃいよぉ♡♡♡ピストンはげしすぎりゅ♡♡おまんこ媚びちゃう♡きゅ~~っておちんぽ締め付けちゃうぅ♡♡♡」
セックスの快楽は、母国で繰り返された教育とは比べ物にならないくらい絶大だった。
夜ごと身動きが取れなくなるほどに体をまさぐられ、奉仕を繰り返す悦びを体に叩き込まれていたのに、ノエル様はあっさりとその快楽を凌駕する。
「ノエルさま♡♡あっ♡きもちっ♡きもちいい、ですか……? メルヴィのおまんこでっ♡気持ちよくなってくださってます、か……?」
「あぁ――これほど、相性がいいとは……ッ、気を抜けば、こちらが持っていかれそうだ」
ぬちっ♡ごちゅごちゅごちゅっ♡♡ずっぽずっぽずっぽ♡♡ばちゅんっ♡♡♡
深く打ち込まれる肉の杭に、私は何度目かもわからない絶頂を極めた。
支配されているという感覚が強くなればなるほど、私の体は淫らに疼いて雄の種を請う。
「私のものになると、そう誓ったな? ならば宣言しろ。お前が、誰の妻で、その身を誰に捧げるのかを」
ぬごっ♡♡♡ぬごっ♡♡♡ぬごっ♡♡♡
一言一言、言葉を区切るたびに奥を突き穿たれて、丸いおっぱいがぶるんっ♡ぶるんっ♡♡といやらしく揺れる。
「ノエル様のものです♡♡♡旦那様のっ♡ノエル様のためだけにっ♡♡♡いっぱいえっちなお勉強をしたんです♡♡♡メルヴィのすべては♡ノエルさまのもの、ぉ゛……ッ♡♡♡」
ぐりぐりぐりっ♡♡♡と亀頭でポルチオを刺激されて、頭の中でバチバチと火花が弾ける。
とっくに限界を超えている体の内側で、突き立てられたおちんぽがズンッと質量を増す。
如実に感じられる射精の予感は、私の頭の中を真っ白く塗りつぶしていく。
「はっ♡♡♡ぁひっ♡せーし♡♡♡せーえき出してください♡♡♡ノエル様のこってり精液でメルヴィのお腹いっぱいにして♡♡♡いっぱい出してぇ♡♡♡」
「望みどおりに、ッ……膣内に、たっぷりと射精してやる――だが一度で終わると思うな。夜が明けるまで、何度でも――」
甘く囁かれ、濡れた舌で耳をの形をなぞられる。
銀色の髪が月明かりに煌めいた瞬間、熱い飛沫が膣奥に叩きつけられた。
「ぁ、え゛ぇっ♡♡♡でてりゅ♡お゛っ♡お゛♡♡お゛っ……♡♡♡熱いのでてるぅ♡♡♡せーえきでっ♡おまんこやけどしちゃう♡♡♡あつあつ精子ごくごくしちゃうぅっ♡♡」
どぴゅるっ♡♡♡びゅる♡びゅ~~~~♡♡どぷっ♡どぷっ♡♡♡
二回目とは思えないほどの量と濃さで、私のお腹は真っ白な液体で満たされてしまった。
それと同時に深い絶頂を極めたが、長い射精の後に引き抜かれたおちんぽはまだ完全に萎え切ってはいない。
「メルヴィ――もう一度、だ。できるな……?」
舌なめずりしたノエル様が、水差しの水を口に含んでから口移しで飲ませてくれた。
少し温くなったそれで喉を潤しながら、逞しい背中に腕を回す。
「は、い……♡何度でも、ノエル様が満足されるまで――」
熱を吐き出された子宮がきゅう♡と疼いた後は、朝まで何度も抱き合うことになってしまった。
● ● ●
「メルヴィ様、話聞いてた?」
「えっ? ……ごめんなさい、ぼんやりしていて――」
まるで、幻想のような夜を過ごした翌日――私は昼過ぎまでベッドから起き上がることができず、朝方に館を出たノエル様の見送りもできなかった。
それでも一切の咎めがなかったのは、彼がその必要はないとヴィルヘルムたちに言い含めてくれたかららしい。
「だから、ノエル皇太子のこと……いきなり声をかけられてびっくりしたんだよ。『お前がルーカス・パーシヴィルタか』って」
夜を徹しての警備を大儀だとねぎらった後、彼は休憩していたルーカスとヴィルヘルムの二人を自分の元に呼びつけたらしい。
「別に徹夜くらいだったら、僕らも疲れたりはしないんだけど――昨日はちょっとね」
「え……なにかあったの?」
「――館の外に蛇が出た。毒があるといけないから駆除したんだが、これがかなり多くてな」
よく見れば、ヴィルヘルムもルーカスもどこか疲れたような表情をしている。
その蛇とやらがよほど多かったのか――夜じゅうその駆除に当たらせてしまったと思うと、流石に心が痛む。
「それなら、誰かにお願いしてしっかりと駆除してもらった方がよさそうね。ノエル殿下に頼んで――」
「あぁ、蛇はもう大丈夫。ノエル様に直接お願いして、もうあんな危ないものは近づけないって約束してもらえたし……ね、ヴィルヘルム?」
ルーカスがにっこりと口角を上げる。
恐らく専門の庭師かなにかに頼むのだろう。きっと、その方が安全に処理も終わるはずだ。
「そう……よかった。二人が怪我をしてしまったら大変だもの――蛇に噛まれたりしていない?」
「俺たちが遅れを取ることはあり得ない。……あー、それがたとえ、蛇だとしても」
心配はいらない、と微笑んでくれるヴィルヘルムに、ほっと安堵する。
確かに、二人は剣の熟達者だ。私が心配するようなことはなかったのかもしれない――とはいえ、怪我がなくて本当に良かった。
「そうそう、それでね? ノエル様がいきなり声をかけてきたから、何事かって思ったんだけど――昨日の夜、すごかったみたいだね?」
「え、ぇっ……?」
「セックスしたんでしょ? ノエル様と――」
少しだけ声を低くして囁かれる言葉に、一気に顔が熱くなった。
あの後、本当に朝日が昇るまで抱かれ続けた体は、未だに倦怠感が残っている。
「ノエル様、メルヴィ様のことがとっても気に入ったんだって。だから、晩餐を一緒にって……無理をさせたから、体調が悪いようだったら日を改めるとは言ってたけど」
皇太子からの晩餐の誘い――無論、それを断ることは私の立場で許されてはいない。
ただ、それでも体を気遣ってくれたのは彼なりの優しさなのだろう。
「あ……昨日、お茶に毒が入っているって言われたから……そのことを心配してくださったのかも」
「毒だと? ――だから、朝から侍女の入れ替えがあったのか。どうりで慌ただしいと思った……」
毒、と口にした瞬間、ヴィルヘルムがぐっと眉を寄せた。
「う、うん。すごく驚いたけど、その――ノエル様がすぐに見抜いて下さったから、私は大丈夫……」
ただ、それを飲み干したノエル様の方が体調を崩してはいないだろうか。
毒の耐性はあると言っていたけれど、体が反応して血を吐き出してしまった以上ダメージはあるだろう。
(いや……でも体力は全く衰えなしだったから……)
反射的に毒を吐き出そうとして体が反応したのかもしれないけれど、それは本人にしかわからないことだ。
「心当たり……いや、あの皇太子ならそんなの死ぬほどあるよね……子どもの頃からすごい回数暗殺未遂されてるみたいだし」
「逆に賊を返り討ちにして、部屋の真ん中で血だらけで立ってたこともあるとか。どちらにせよ、彼が原因であることは間違いがなさそうだが」
そこまで物騒な国だとは思わなかった。
王族が命を狙われることは、それほど珍しいことではない。母国でも王侯貴族の暗殺は年に何度かあったし、これほど規模の大きな国になれば皇太子の首を狙う人間も多くいるだろう。
「……とにかく、晩餐はぜひご一緒にと伝えてくれる?」
「わかった。……皇太子が君のことを気に入ってくれたなら、特訓の成果もあったというものだ」
ヴィルヘルムが薄く笑うと、軽く頭を撫でてくれた。
そこだけは、冷宮にいた時と変わらないまま――大きな手のひらの感覚に、笑みがこぼれる。
「僕たちはメルヴィ様の幸せを願ってる。もしそれを害するなら、皇太子だって容赦はしない……なにかあったら、すぐに僕たちを呼んでね?」
「えぇ。二人ともありがとう」
私が笑いかけると、二人は少し休むと言って下がっていった。二人とも夜通しの警護で疲れているのだろう。
晩餐の場には一人で向かってもいいかもしれない。わざわざ疲れている彼らを連れて歩かずとも、ノエル様がいる場所では多くの兵士たちが護衛に携わっている。
(ずっと気を張りっぱなしだっただろうし……慣れない土地で疲れているのは、私だけじゃないわ)
むしろ、彼らの方がずっと気を張っていただろう。
道中の護衛からなにから、ヴィルヘルムとルーカスは私の世話をほとんど買って出てくれていた。
おかげで安全にこの国に到着することができたが、そろそろ二人にはゆっくりとした休暇を与えてのんびりとしてもらいたい。
一人で静かにそんなことを考えていると、一人の侍女が扉を叩いた。
ノエル様は本当にこの宮の侍女を全員入れ替えてしまったらしく、見知らぬ少女が私の前で腰を折る。
「メルヴィ様、お召し替えを――ノエル殿下とのお食事の時間です」
「え、えぇ。ありがとう」
「ご安心ください。わたくしは殿下直属の護衛侍女でございます。……お二人いらっしゃる騎士の方々は、お休み中でしょうか」
私とそれほど変わらない年頃か、あるいは年下――それくらいの侍女が、隙なく部屋の中を見渡した。
「えぇ――寝ずの番をしていたから、少し休んでもらったの。外には護衛の兵士もいるし……」
「左様ですか。それでは、わたくしが殿下の元まで護衛を務めさせていただきます」
供ではなく護衛、というところに、若干の違和感を覚える。
王宮の中はそれほどに物騒なのか――不安に思って尋ねてみると、侍女は申し訳なさそうに頭を下げた。
「殿下は、あることを危惧しておられます。わたくしの口から申し上げることはできませんが、これに関しては騎士様方もご承知のはずかと」
「そ、そうなの……? 詳しい話は――ノエル様から聞けばいいのかしら」
「はい。ぜひそうしてくださいませ。……ことは枢機でございます。ここでお話しできないことをお許しください」
とにかく、彼女の口からどんなことがあるのかを聞くことはできないらしい。
(やっぱり、直接ノエル様からお話を聞かないことには…)
そう考えて、ドレスを着替えて彼が待つ場へと向かう。
皇太子宮――春の宮と呼ばれる豪奢な宮殿に招かれた私は、侍女に護衛されながらノエル様が待つ部屋へと案内された。
豪華な調度品や趣向を凝らした彫刻たちが並ぶ春の宮は、母国の宮殿とは比べ物にならないほどに広い。迷子にならないように歩いていると、甲高い女性の声が聞こえてきた。
「お待ちくださいませ、殿下! なにかの間違いです! こんな――このようなこと、わたしは決して!」
「……あの、なにかあったの?」
「恐らくは――アルトウェーン公爵令嬢でしょう。本日付で、殿下より暇(いとま)を出されたはずです」
「暇? でも、アルトウェーン公爵令嬢って……」
それは確か、この国で最もノエル殿下の寵愛を受けている女性の名だ。
そんな女性が後宮から暇を出されるというのは、なかなかの非常事態のはず。
「……皇太子殿下への毒殺未遂容疑がかけられているのです。要職にあったアルトウェーン公爵も、本日付で役職を解かれております」
疑問符を浮かべる私に、侍女がそう教えてくれた。
「毒殺、未遂……」
他人を信じることができないほど頑なになった、ノエル殿下の生い立ち――何度も繰り返される暗殺未遂と次期皇帝となるために施された教育で、彼は他人に対して厚い壁を作るようになった。
だが、それは公爵令嬢も知っていたことではないのだろうか。昨夜、なにも知らない私に彼が話してくれたように――彼女だって、彼の生い立ちを理解しているはずだ。
「わたしが殿下のお飲み物に毒を混ぜたなど! そのような戯言を――放しなさい! 殿下! どうかお話を――」
ヒステリックに叫ぶ声が、どんどん遠くなっていく。
恐らくはノエル殿下を守る兵士たちによって連れ出されたのか――姿は見えずとも、その声から悲惨さは十分に感じ取ることができた。
「……連れていかれたようですね。さぁ、参りましょう」
「で、でも……公爵令嬢は大丈夫なの……?」
「皇太子殿下に害をなしたとなれば、相手がどのような貴族であろうと逆賊となります。最近は、父君であるアルトウェーン公爵も、娘が殿下の寵を得ていると強気になっていたご様子ですから……」
淡々とそう述べる侍女に、私は言葉を返すことができなかった。
それと同時に、自分が今までどれだけ政争の場から離れていたのかがわかる。貴族間の足の引っ張り合いや権力を求める戦いは、冷宮で暮らす後ろ盾のない私には縁遠いものだった。
「殿下――メルヴィ様をお連れしました。護衛の騎士様方は、現在お休みとのことです」
「休み? ……なるほど。エリーゼ、二人をここに連れてこい。それと、メルヴィはこちらへ」
到着したその場所は、ノエル殿下の私的な友人や近しい者しか入ることができない春の宮の最奥――白い大理石のテーブルの向こう側で、彼は何事もなかったかのように椅子に腰かけていた。
「座るがいい。体は大丈夫そうか?」
「は、はい。ありがとうございます……その、先ほどの騒ぎは一体」
きっちりと軍服を着こんだノエル様は、私に席を進めると片眉を上げた。それからふと視線をずらすと、隣に立っていた侍従からガラスの小瓶を受け取る。
「昨夜、お前が飲もうとしていた茶に仕込まれていた毒だ。アルトウェーン家に伝わる秘伝の毒薬……私でなければ確実に死んでいたし、致死量をはるかに上回る量が混入していたせいで、図らずも血を吐くことになった」
すっと目を細める彼の表情は、どこまでも冷たい。
その場の空気が凍り付くほどの威圧感に、私も口を開くことを一瞬ためらってしまった。
「で、ですが――本来、毒を飲むはずだったのは私です。それに、アルトウェーン公爵令嬢のことは、殿下も大切に思っていらっしゃったのでは……」
「昔から決められていた正妃候補の一人というだけだ。アレを皇后に据えればアルトウェーン公爵家がさらに増長する……それに、結果はどうあれ私の体に傷をつけたのであれば、断罪は免れない」
視線が絡むと、ノエル様は薄く微笑んだ。
酷薄そうに見えるその笑みに、思わず身がすくむ――だが、同時に痺れるような体の疼きを感じたのも確かだった。
「私の元に嫁いできた人間を殺そうとしたということは、ひいては私自身――この帝国そのものに弓引く行為だ。次期皇后に毒を盛ったのならば、なおさらな」
「……次期、皇后?」
「父上に申し出た。ハルティカイネン王国第一王女メルヴィを、私の正妃として迎え入れると――父上も歓迎していたぞ。皇后に据えるつもりがないなら自分の後宮に連れ込んだとまで言っていた」
その点だけは油断ならない、と軽く眉を寄せるノエル様だったが、突然告げられた「次期皇后」という言葉に私はぽかんと口を開けていた。
「これまで死んだ数人の妃候補も、あの女が仕向けた刺客や毒薬が原因だった。手をこまねいているわけにもいかないとは思っていたが、此度のことでしっかり立証が――メルヴィ?」
「き、聞いておりません……! 私は、てっきり側妃の一人として殿下をお支えするものだとばかり――」
大陸の片隅にある小さな国の姫などより、正妃にふさわしい人はもっと他にもいるのではないか。
そんな考えが頭をよぎるのと同時に、寝台で冷たくなっていた母のことを思い出す。
「信じるに値しない人間を、正妃として側に置くことはできない。国民にとっても、そのような人間を国母として敬えというのは無理な話だ――それに、これはもう決定事項だ。皇帝陛下の許可を得た以上、私ですらこの話をなかったことにしたいとは言えない」
鋭い眼光が、まっすぐにこちらを射抜いてくる。
逃れがたい強力なカリスマに言葉を失うが、次に続いた言葉は思いもかけないものだった。
「心配しなくても、お前の身に危険が及ぶことは私が許さない。ここはフロレンティア帝国だ。……お前が頼るべきはあの騎士二人ではなく、私だということを忘れるな」
「え……」
「母御を目の前で亡くしたのだろう。考えていることの予想はつく……準備が整い次第、お前の居館を春の宮へ移す」
告げられた言葉は、私の不安を的確に表すものだった。
春の宮、つまりこの宮殿に私の部屋を移す――それはつまり、本格的に私が次期皇后としての待遇と教育を受けるということだ。
「お前たちも、それで異論はないだろう」
視線を上げたノエル様は、そこで私の背後に向かって声をかけた。
すると、そこには休んでいたはずのルーカスとヴィルヘルムが立っている。
「もちろん、私たちに異論はございません」
「僕たちもちょっとまずいと思ってたんですよ。昨日の夜、一体何人の刺客を退けたと思ってるんです? せっかくの初夜が血まみれになるところだったじゃないですか」
「し、刺客? 蛇の駆除をしていたんじゃ……」
先ほどの侍女が、二人を呼びに行ったのだろうか。
いつの間にか背後に立っていた二人が口にした『刺客』という言葉にも驚きを隠せない。彼らが夜通し行っていたのは、蛇退治のはずだ。
「えーと……ほら、メルヴィ様を怖がらせちゃうといけないし……それに、誰が聞いてるかもわからないからね。大方黒幕は公爵令嬢だろうって思ってたけど、不用意なことを言ってメルヴィ様を危険な目に遭わせたくなかったんだ」
眉尻を下げたルーカスが、申し訳なさそうに頭を下げる。
「だが、その公爵令嬢ももういない。そして、君の次期皇妃としての立場が定まったなら――隠し立てをする必要はない。昨日の夜は、あちこちで暗殺者が君と皇太子殿下を狙っていた」
恐ろしい言葉に、背筋に冷や汗が流れる。
そんなこと、これっぽちも気付かなかった――私とノエル様が寝所にいる間、彼らはずっと剣を振るっていてくれたのか。
「そんな……」
「メルヴィ様の護衛が、僕たちの仕事だ。……皇太子殿下も、これで僕たちに翻意がないことは信じてくださいましたよね?」
皇太子への忠誠と、帝国へ敵意がないことの証明。
彼らはそのために剣を振るい、私たちを狙っていた暗殺者たちを退けたのだ。
快楽の只中で陶酔していた私は、なにも知らなかった。なんのために彼らが護衛を買って出てくれたのか、その意味もしっかりとは理解していなかった。
「あぁ。私の思った以上に、お前たちはいい働きをしてくれた――だが、まだだ」
食前酒に手をかけたノエル様は、ともすれば酷薄そうに見える笑みを唇に浮かべて二人の騎士に命じる。
そしてその命令は、私に対しても向けられていた。
「食事が終わった後、奥に――私の部屋に来るといい。メルヴィだけではなく、三人ともだ」
「……僕たちも? 皇太子殿下の居室に、ですか……」
少し驚いたような声を出したルーカスに、青い視線が向けられる。
冬の凍った湖のような、深い色の視線だ。
「これは命令であり、お前たちへの褒賞でもある。――大儀だったな」
じっと彼らを見つめるノエル様の視線は、どこまでも冷たい。
なにも知らない――知ろうともしなかった私にとっては、彼のその表情の意味は完全に理解しきれるものではなかった。
「……その命に従います、ノエル殿下。私たちは決して、殿下の敵ではなく……すべては我が主、メルヴィ様のために成したこと」
「理解をしているから腹立たしい。……お前たちはずいぶんとメルヴィから信頼をされているようだ。母国では手ずから教育係として彼女を教え導いたそうな」
その言葉に、私はこれまでのやり取りをようやく理解した。
……彼らが言っているのは、単なる忠誠心の話じゃない。
つまりこれは――これは、閨でのことでの話だ。私が教えを乞うたのが二人であると、殿下に直接話したわけではないが……聡い彼は、やはりどこかで気付いてしまったんだろう。
「メルヴィ、異論はないな」
ふと視線をこちらに向けられてそう尋ねられても、私には拒否権がない。
ノエル様がそう望まれた以上、私はそれに従うしかないのだ。
「……はい、ノエル様」
三つの視線が、それぞれ私の体を射抜く。
無言で、けれど言葉よりも雄弁に語るその視線を受けて、ドレスの中がじわじわと熱くなっていった。
食事を終え、侍女たちに体を清められた私は、そのまま彼が待つ部屋へと案内された。春の宮はその広大さもあって、次期皇妃となる女性の部屋や彼女の世話を行う侍女たちの部屋までが徹底して決められているらしい。
「殿下は普段、こちらでお休みです。他の宮へ向かわれることもありますが――今後は、そのようなこともないでしょう」
昨夜よりも丁寧に、高価な香油もたっぷりと体に塗りこめられる。
母国にいた時すら受けたことがないほどの丁重な扱いは、彼が私を正妃にと定めたからだろう。
(ここに……ルーカスたちもいるのよね……?)
私だけではなく、三人全員がノエル様の部屋に来るようにと命じられたのだ。
豪奢な扉の前に立った私は、妙に上ずった声で部屋の主の名を呼んだ。
「ノ、ノエル様……メルヴィです。支度が整いました……」
ゆっくりと扉が開かれると、暖炉の火に温められた空気がふわりと頬を撫でた。
皇太子の私室――大きな天蓋付きのベッドと、その傍らには造りのしっかりした安楽椅子、さらに大きな書棚が五つも壁に沿うように並んでいた。
「ぁ……」
「こちらだ、メルヴィ」
そして、ノエル様はその安楽椅子に腰かけ、ゆったりと葡萄酒を楽しんでいる。
まさしく豪華絢爛と形容できるその部屋に一歩足を踏み入れると、彼は柔らかく微笑んで私を寝台に誘う。
「そう固くなる必要はない。ここでは誰も、お前に毒など盛ったりはしないのだから」
「ど、毒のことを心配しているわけでは――」
彼に仕えることが許されているのは、私心を持たず忠実に職務を全うする者たちだけ。王宮の中でも特に厳しい鍛錬と試験を受けた精鋭たちが、この春の宮での奉仕を認められるらしい。
「お前の騎士たちと、幾分か話をしていたところだ。……母国では随分と冷たい扱いを受けていたようだ。だが、それもこれまでの話。お前を冷宮に閉じ込めた父親は、今に手のひらを反すことになるぞ」
クッと低く笑ったノエル様の表情は、先ほどの冷たいものとはまるで違う。
「そう、でしょうか……」
「お前がそう望むのなら、ハルティカイネン王国の国王の首などすぐに挿げ替えることができる。……どうする?」
「それは――そんなことは望んでいません。急に王が変われば、困惑するのは民の方です。父は……確かに私と母を冷宮へ閉じ込めました。けれど、民にその事情は関係ありません」
家族の問題と国の問題を、一緒にはできない。
それに、この国に嫁いだ以上、直接父と顔を合わせる機会はきっともうないだろう。ノエル様が皇帝という立場に就いた後はなおさらだ。
「なるほど。自分の立場よりも国民の暮らしを考えるか。あぁ――それでいい。それでこそ私が望んでいた正妃の姿にふさわしいものだ」
彼は――自分が信用できない人間の前では、笑わないのではないだろうか。
ノエル様が私のなにを気に入って正妃にと望んでくれているのかはわからないけれど、少しでも私のことを信頼して穏やかな姿を見せてくれているというなら、それは素直に嬉しい。
「……失礼します」
そっと寝台に上がり、ヴィルヘルムが差し出してくれた温かいお茶をゆっくりと飲む。
「不用意に出されたものを飲むなと言ったはずだが?」
「か、彼らは私の騎士です。二人が私に毒を盛ることはあり得ません」
そう言うと、ノエル様はなにが気に食わないのかムッとした表情を浮かべた。
「お前の夫は、その二人ではなく私だ」
「ぞ、存じております」
「……なにも、わかってはいない。ヴィルヘルムとやら、手はずは先ほど伝えた通りに」
先ほどまでの上機嫌さはどこへやら、ノエル様はヴィルの方を見てそう告げると、ゆったりとした安楽椅子の上で足を組み替えた。
「かしこまりました。――ルーカス、大丈夫そうか?」
「僕はいつだって。……ごめんね、メルヴィ様。これも皇太子殿下からの命令だから」
「え――ど、どういうこと? ルーカス……」
きし、と小さな音を立てて、ルーカスとヴィルヘルムの二人がベッドに上がってくる。
母国ではほとんど毎日のように見ていた光景。だが、ここはハルティカイネン王国ではなくフロレンティア帝国だ。
ここで――私と共に寝台に上がることができる人物は、今のところノエル様だけのはず。
「ノ、ノエル様ッ!」
「そこの二人に話を聞けば、あっさりと教えてくれたぞ。お前を私の寵姫とするために、夜ごと淫らな手練手管を教え込んだと――なるほど、教育の成果は出ていたようだ。昨夜のお前は清廉でありながら、淫乱な娼婦そのもののようだった」
ルーカスの指が、そっと肩に掛けられる。それと同時に、ヴィルヘルムがドレスの腰紐を軽く引っ張った。
――『そういう目的』のために作られたドレスは、紐を引っ張るという動作だけで容易く解かれてしまう。
「そこで、私から二人にある任務を命じてみた。……メルヴィと私に対する忠誠心の証明として、今宵はその手でメルヴィを愛で高めてみせろ、と」
「そ、んな! 待ってください! 彼らの忠誠心は本物で――」
「メルヴィ、どうか落ち着いて。……今まで通りでいいんだ。殿下は、俺たちに乱される君の姿を見たがっている。……大丈夫、たくさん気持ちよくなったら、ちゃんと殿下に抱いてもらおう」
しゅるっ、とあっけなく腰紐がほどかれて、香油がたっぷりと塗りこめられた裸体があらわになる。
「っあ……」
「心配しないで。僕たちは、メルヴィ様に幸せになってもらいたいだけだから」
ふるん、とこぼれ落ちた乳房を、背後からヴィルヘルムが持ち上げる。
後ろから抱きしめられる形になりながらたぷたぷと胸を弄られるだけで、甘い快感が体を支配する。
「ひぁ♡あっ……♡ヴィル、ゥっ……♡」
気持ちよく、してもらえる。
二人の手でたっぷりと教育された私の体は、ほんの少しその指先が触れるだけで期待感に震えた。
理性よりも本能の部分で、どうしたら今よりももっと気持ちよくなれるのかを探ってしまう――そんな私の淫靡な願いに気付いたのか、ルーカスがゆっくりと足を開かせてくる。
「メルヴィ様が気持ちよくなるところ、殿下にちゃんと見てもらいましょうねぇ」
下着が取り払われて、恥ずかしい場所が丸見えになってしまう。
既におまんこは軽く濡れ始めていて、期待感にヒクついたその場所に紺青の視線が注がれる。
「やっ……♡♡み、見ないでっ♡ノエル様っ……」
「嘘つき。たくさん見てほしいんだよね? ほら、どんどん乳首も尖ってきて――おまんこだって濡れてきてる。皇太子殿下の前なんだから、素直にならなくちゃ」
ね? と首を傾げたルーカスが、蜜を湛えたその場所に指先を押し込んでくる。
「ぁひっ♡♡♡」
「ほら、もうトロトロだ――殿下、見えてます? メルヴィ様ったら、とっても感じやすくて……こうしてほんの少し触っただけで、可愛い声を出してくれるんですよ」
くちっ♡ぬちぬちっ♡♡♡くぷ……♡ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡♡
ルーカスの指先が、おまんこの入り口をたっぷりと掻き回す。
それだけでも淫らに腰が揺れてしまうほど気持ちいいのに、背後のヴィルヘルムが同じタイミングで胸を揉む力を強めた。
「ぁ゛うっ♡んっ♡♡♡やっ――だめぇ♡♡力任せにおっぱい揉んじゃっ、あっ♡♡♡」
「乳首がしこってきた……殿下に見られて感じているんだな、メルヴィ」
「ち、ちがっ……やぁっ♡♡♡やめて♡おねがいっ♡♡二人とも――こんな、ぅああっ♡♡♡」
くりくりくりっ♡と乳首を捏ねられながら、おまんこを指先でいたぶられる。
口ではだめだと言いながらも、体の方は浅ましく快楽に反応してしまうのだ。
「メルヴィ様、顔真っ赤にしてかわいい……♡我慢しない方が、もっと気持ちよくなれるよ? ほら、もっと足開いて……」
ぐぐっ……と更に大きく足を広げてから、ルーカスはちゅぷっ♡とおまんこに吸い付いてきた。
巧みな舌先が割れ目からクリトリスまでを舐め上げると、それだけでイきそうになってしまう。
「ひぅうっ♡♡♡らめっ♡やっ♡ぁ゛♡あっ♡ぁんんッ♡♡♡おまんこなめちゃだめぇっ♡♡♡ルーカス♡許して♡♡もっ……イく♡すぐイっちゃうぅうっ……♡♡♡」
「おっと、まだイってはいけない――イかせてほしいのなら、殿下の許可を得ないと。メルヴィはもう、ノエル殿下の妻なんだから」
強烈な快楽に体を震わせる私を、ヴィルヘルムが背後から押さえつけるように抱きしめてきた。
イきたい――気持ちよくなりたいのに、そのためにはノエル様から許可を得なければならないなんて……。
「そ、そんなことっ……ぁあっ♡」
「今更なにを恥ずかしがることがある? 殿下におねだりして、たっぷりイかせてもらったらいい――淫乱なメルヴィは我慢できないだろう?」
こりゅっ♡こりゅっ♡くりくりくりっ♡♡♡
ぢゅるるっ♡ぢゅぱっ♡ぢゅ~~~♡♡♡ぢゅぽっ♡ぢゅぽっ♡♡
おっぱいとおまんこを同時に嬲られて、イきたいのにイかせてもらえない――忘我の極致に達する一歩手前で彼らはその責めの手を止めて、私に甘く囁いてくるのだ。
「我慢しないでおねだりしようよ♡僕らも、メルヴィ様がイくところ見たいなぁ……あっ、殿下が嫌なら僕らがイかせてあげようか? もちろん、ちゃんと殿下の許可を得てからだけど――」
ねぇ? と言葉尻を上げるルーカスに、視界の端でノエル殿下が非常に不機嫌そうな表情を見せた。
でも、すでに私の体はそれどころではない。早くイきたい。お腹の中にわだかまる熱を思い切り爆ぜさせて、理性を無くしてイき狂えたらどれだけ幸せだろう――♡
「っや……♡やら、ぁっ♡♡♡ノエル、様♡見ないで♡見ないでくだひゃ、ぁっ♡♡♡」
ぢゅるるるっ♡♡♡と勢いよく蜜を啜られて、背中が大きくのけぞった。
(だめだ――夫以外の♡ノエル様以外の男にイかされる♡♡ノエル様の前でルーカスとヴィルにイかされちゃう♡♡♡)
「許しを請うんだ、メルヴィ。一番いやらしい声と表情で、殿下に『イかせてください』って言うだけでいい――わかるだろう?」
「そんな、ぁあっ♡♡♡やっ♡のえ、ッ♡♡♡ノエル、さまぁっ♡」
他の男の手で乱されながら、彼に許しを請うなんて――幻滅されてしまう。嫌われてしまう。
そう思った瞬間、胸が強く締め付けられるような気持ちになった。
小さなころからずっと一緒にいた二人だって、私にとっては大切な人なのに――その手を振り払ってノエル様に助けを求めようとする、自分の浅ましさに腹が立つ。
「ッう……や、ぁあっ……」
「――メルヴィ」
ボタボタと、両目から大粒の涙がこぼれ出した。
大好きなのに――家族のように愛している二人と、そこの孤独に寄り添いたいと思った夫を比べられるわけがないのに。
比べてしまった瞬間に、大切な人ちが自分の側を離れていってしまうのではないかという気持ちになる。
もう、一人は嫌だ。
「ゆる、して――もう、やだっ……」
「……退け」
はらはらと涙がこぼれ落ちて、シーツに吸い込まれていく。
すると、ノエル様が椅子から立ち上がり、すぐさま二人の騎士たちをその場から退かせた。
「ぁ、ノ、エル――」
「戯れが過ぎたな。許せ」
短く告げたノエル様が、ぎゅっと私の体を抱きしめる。
おずおずと背中に腕を回すと、より強い力できつく腕の中に閉じ込められた。
「つまらない悋気だ。お前が――私より、彼らに信頼を置いているのが許せなかった」
額と頬、それと涙で濡れた目元に、次々とキスが落とされる。
宥めるようなそのキスに、強張った体からどんどんと力が抜けていった。
「ふ、ぁっ……♡」
「えっ、僕たち悪者みたいじゃないですか。殿下がメルヴィ様のこと蕩かしてやれって言ったのに」
そう言って頬を膨らませるルーカスだったが、その表情はそれほど不満げでもない。恐らくは、本当に彼の命令で――そしてきっと、私のためにしてくれたことなんだろう。
「悪者など……褒賞を与えただろう? 一時とはいえ、正妃の体に触れたんだ。本来ならば許されないことだが――長らくメルヴィのことを守り、慈しんできたお前たちへの労いだ」
ツンとした表情でそう言うと、ノエル様はおもむろに私の唇に吸い付いてくる。
薄い唇が隙間なく重ね合わせられ、熱い舌先が咥内に入りこんできた。
「んんむぅっ……♡♡ぷぁっ♡ぁっ♡んむっ♡♡♡」
深いくちづけは、快楽を従順に受け取るためのスイッチを簡単に押してしまう。
ぶるっ……♡と背筋を震わせてノエル様の体に縋りつくと、彼はそのまま私の体を寝台に下ろした。
「お前たちも、メルヴィと私の仲が心配なのだろう? 慕っていたアメルダ王妃を目の前で亡くしたのだから――当たり前と言えば当たり前だろうが」
ナイトガウンを脱いだノエル様が、ベッドの脇に控えている二人に声をかける。
その瞬間に二人の表情が暗く翳ったのを見るに、その心配は図星だったらしい。
王の寵愛が亡くなれば命すら危うい――私をお母様のような目に遭わせないために、二人はあれこれと手を尽くしてくれていたのだ。
「心配しなくても、私がメルヴィを手放すことはない。もしもあるとしたら、それは私の命が尽きた時だ」
きっぱりとそう言い放ったノエル様が、先ほどまでヴィルの手で捏ねられていた乳房をぐにぐにと揉みしだいてくる。
柔らかく揉み上げたかと思うと、次は形が変わるほどに強く捏ねまわされ、体の内側がどんどん熱くなってくる。
「ッひああっ♡♡♡やっ♡ノエル、さま♡♡♡あっ♡あ♡そんなっ♡はげ、しっ……♡♡♡」
むにゅっ♡むにっ♡♡♡と何度も胸を刺激され淫らに腰をくねらせる私を、ヴィルとルーカスが見つめている。
見られていると思うと羞恥心が余計に燃え上がって、媚薬のように頭の中を焦がしてきた。
「ひ♡ぅああっ♡♡ぁ゛っ♡あぁぁッ♡♡♡だめ♡みられてるのにっ♡♡♡おっぱいだけで感じちゃってるところ♡ヴィルとルーカスに見られてるのにぃっ♡感じるの止まんない♡♡ッお゛♡だめだめだめぇっ♡♡♡乳首吸わないで♡今♡今そんなことされたら――♡♡♡」
乳輪の中心で主張する乳首を、ノエル様の咥内でぢゅぷぢゅぷと舐めまわされる。
敏感になったその場所をきつく吸われ、更にもう片方の胸を強く揉みこまれた。
「ん゛、ぉ♡♡♡らめ♡イく♡♡こんなのされたらイっちゃう♡♡♡おっぱいだけでイく♡♡♡ッひ♡♡♡ぁ゛っ♡あ゛♡♡イっぐぅぅぅっ♡♡♡」
がくんっ♡がくんっ♡♡♡と大きく腰を跳ねさせて、絶頂を極める――二人に高められていた体は簡単に限界を迎えて、私はノエル様の腕の中でぐったりと四肢を弛緩させた。
「はっ♡♡♡ッひあ♡♡♡」
「なんとまあ――お前たちの教育は成功したみたいだな。これほどまでに敏感で、淫靡な体に仕立て上げるとは」
「……恐縮です。お気に召していただけましたか?」
「これ以上なく。……普段は凛としていて、王族としての気品を損なわないメルヴィが、褥ではこれほどに乱れるというのが気に入った」
上唇を軽く舐めたノエル様が、熱い肉の塊を内腿に当ててくる。
それがなんであるのかは見なくてもわかる――早く膣奥に突き立ててほしいと、さっきからおまんこがヒクヒク疼いて仕方がなかった。
「お゛♡♡♡ぁ、うっ♡♡」
「これがなにかわかるか?」
「お、おちんぽ♡おちんぽです♡♡♡ノエル様のおっきなおちんぽ♡♡はやくっ♡はやくおまんこズポズポしてください♡♡♡旦那様おちんぽ♡メルヴィのおまんこで気持ちよくなって♡♡♡」
へこっ♡へこっ♡♡といやらしく腰を振って、早く挿入してとおねだりをする。
すると、ノエル様はこれ以上ないくらい艶やかな表情で微笑み――私の腰を、ぐっと持ち上げた。
「望みどおりにしてやろう。信頼している従者の前で犯されて、淫らにイき果てるといい」
「ッぃ゛、ぎゅっ……♡♡♡お゛っ♡ッほぉ゛ぉっ♡♡♡キたぁ♡♡♡ノエルさま♡ノエルさまのおちんぽ入ってきてる♡♡♡いっぱいズコズコってしてください♡♡♡旦那様専用おまんこに種付けして♡♡♡」
ずにゅっ♡♡♡ぬ゛~~~~♡♡♡ずこっ♡ずこっ♡ずこっ♡♡どちゅっ♡♡♡
一気に最奥まで突き立てられたおちんぽが、気持ちいいところ全部擦り上げていく♡
「お゛ひっ♡♡♡そんにゃ♡いきなりそんな激しく♡♡♡お゛っ♡お゛っ♡♡♡お゛♡♡気持ちいいところ突かれたらっ♡イく♡またっ♡♡♡またイっちゃうよぉ♡♡♡」
「イけ――イけっ♡とろとろメス顔で堕ちろ♡私なしでは生きられなくなってしまえ……!」
ごちゅごちゅっ♡と弱い場所を何度も突きあげられて、軽イキを何度も繰り返す。
貪欲なおまんこはきゅんきゅんとおちんぽを締め付けて、的確に快楽を伝えてくれた。
「あー……ダメだぁ。メルヴィ様のいやらしいところ見てたら、どんどん勃ってきちゃった……♡ね、メルヴィさま……お口寂しくない? おまんこは旦那様に気持ちよくしてもらって……お口は、僕で気持ちよくなろう?」
へにゃ、と笑ったルーカスが、ふらふらと寝台に近づいてくる。
「殿下、メルヴィ様のお口だけ貸してくれません? 僕たち、ずっとメルヴィ様のことが好きだったけど
――もうとっくに殿下に堕ちちゃってますもんね。だから、お口だけ……それだけで我慢しますから」
ね? と小さく首を傾げたルーカスに、ノエル様は王族らしい鷹揚さで頷いた。
「今宵だけは、特に許す。ヴィルヘルム、お前も来い」
ごりゅっ♡と奥を突き上げながら、ノエル様が二人を呼びつける。
ヴィルはなにも言わなかったけれど、私のことを見下ろす眼はギラギラと貪欲に輝いていた。
「メルヴィ、わかったな? 二人のこれまでの献身をねぎらうために――お前の手と口で、彼らを満足させるんだ。……ノヴレスオブリージュ、高貴な者の責務を果たせ」
何度も、自分に言い聞かせてきた言葉。
それを耳元で囁かれて、頭が痺れた。そう――これまで私のために生きてきた彼らに、満足してもらわないと……♡
「は、い……♡♡♡二人とも、今までありがと……♡お礼にたくさん、気持ちよくなってね♡」
目の前に突き出された二本のおちんぽのうち、一本の幹に舌を這わせる。
同時にもう一本のおちんぽはゆるゆると手で扱き、熱く逞しい肉の感触を全身で受け止める。
「ん゛っ♡んごっ♡♡♡ぉ゛っ……♡♡ぉむぅっ♡♡♡ぢゅるるっ♡ぢゅぱっ♡♡♡」
「う、わっ……やば、これ気持ちよすぎる……」
焦ったような声を出したルーカスが、私の咥内にぬ゛ぢっ♡とおちんぽを突き立ててきた。
「ん゛ぉ♡ぉ゛♡♡♡ッ、んぐぅっ♡♡」
咥内を熱い肉竿でいっぱいに満たされて陶酔する私のおまんこを、ノエル様が突き上げてきた。
「ん゛っ♡♡んぅ♡♡♡む゛ぅ~~~♡♡♡」
ぢゅこぢゅこぢゅこっ♡♡ちゅぱっ♡しこしこしこっ♡♡♡ぬぷっ♡ぢゅぷっ♡♡♡
ドクドクと脈打っているヴィルのおちんぽもたっぷりと扱きあげて、今度はそちらの鈴口にも吸いつく。
ルーカスが寂しくならないようにと、唾液で濡れた彼のおちんぽには丁寧な手淫を繰り返した。
「ッ……メル、ヴィ」
は、と熱い息を吐いたヴィルヘルムが、汗に濡れた私の髪をかき上げて頬の内側を刺激する。
「んぅ♡ん゛っ♡♡♡んぁあっ♡♡はっ♡♡ぁ゛うっ♡きも、ち……♡♡♡」
先走りと涎でドロドロになった唇を開き、二人のおちんぽを両手でぢゅこぢゅこ♡♡と扱きあげる。
私の手をオナホのように使いながら、二人の騎士たちは徐々に呼吸を荒く乱していった。
「あっ♡あっ♡あっ♡♡ノエル様♡♡ナカでおちんぽ♡またおっきくなってる♡♡♡」
「美味そうに男のモノを頬張るお前を見ていたら、私でなくともこうなるだろうさ……ッく、ナカで受け止める、準備はできたか?」
ごりゅっ♡どちゅっ♡どちゅっ♡♡♡ぬぼっ♡♡♡
子宮が潰れてしまうんじゃないかというくらい強いピストンで最奥を穿たれて、女として一番敏感で繊細な部分が屈服する。
熱い彼の種を欲して、おまんこが切なく蠢動した。
「はっ♡はい♡♡♡メルヴィのおまんこ、準備できてます♡♡♡ノエル様のせーえき♡どろっどろであつあつの精子ぴゅっぴゅってしてください♡♡♡ヴィルと、ルーカスはこっちに出して……♡♡♡」
大きく口を開けて、喉まんこで二人分の精液を受け止める準備をする。
おちんぽを擦る手を速く動かすと、すでに張り詰めていた肉杭がビンッ♡と更に質量を増した。
(お口にも種付けされちゃう……♡♡おまんこの中もドロドロ精液でいっぱいになって、精液づけにされちゃうんだ――♡)
期待感に身を震わせながら愉悦に身をゆだねると、下から一層強い突き上げが襲い掛かり、一瞬で熱が爆ぜる。
「ひ、ぉ゛……♡♡♡あつ♡ノエル様のせーえきあついぃ♡♡♡んはっ♡ぉ゛っ♡♡♡おまんこ♡せーえきゴクゴクしちゃってる♡♡♡ぉひっ♡♡ひっ♡♡♡イっ……♡♡」
「ッく――メルヴィ……っ締めつけ、すぎだ……」
焦ったような声を出したノエル様が、どぷどぷっ♡♡と勢いよく精液を注ぎ込んでくれる。
それよりも一拍遅れて、騎士たちもおちんぽの先端から白濁した液体を吐き出した。
「射精るぅっ……♡メルヴィ様のお口に種付け♡いっぱい飲んでね……♡」
「最後の一滴まで――俺たちの愛を、全て受け止めてくれ……」
ぼちゅっ♡♡びゅるるるっ♡びゅくっ♡♡♡びゅ~~~♡♡ぶぢゅぅっ♡♡♡
大きく開けた口に、熱くてとっても濃い二人の精液が流し込まれる。
「んぉ゛ッ♡ぉ゛~~~~♡♡♡んぐぅっ♡んっ♡♡ぷぁっ……♡♡♡」
お腹の中、すっごく熱い……♡
三人分の精液、全部飲みこんじゃった……♡♡
「んっ……メルヴィの、こと……たくさん愛してくれて、ありがとうござい、ますぅ……♡」
全身至る所をたっぷりと愛されて、曖昧になる意識の中でそう微笑んだ。
唇と左右の指先に温かいキスの感覚を覚えながら、私は陶酔と喜悦の中で一晩中喘ぎ続けることになったのだった。