24/08/03 新しい短編を追加しました。ファンタジー+1

搾精できないカタブツ魔女は絶倫騎士様の執着愛で身も心もトロトロにされています♡

Pixivリクエストにてご依頼いただいた小説です。
真面目な魔女×人気者だけどひねくれている騎士のお話

「マリエッタ、アンタ顔色悪いけど大丈夫?」
「えっ……だ、大丈夫だよ。最近ちょっと忙しかっただけで――」

 甘いお菓子と、強いお酒。交わされる卑猥な言葉と笑い声は、広い屋敷の中を熱狂で埋め尽くしていた。
 黒き森の魔女こと、エリュシアナ――この国に住む最高位の魔女の屋敷では、定期的に魔女たちの会合が開かれていた。
 かつてこの国では魔女が排斥され、火あぶりにされていたとも聞くし、その時代を知っている大魔女エリュシアナからしてみれば私たちの動向が心配なのだろう。

「『幽幻の森のマリエッタ』。アタシらのところまで話届いてるよ? 人間たちとよろしくやってるって」
「……だって、その方がいいじゃない。今はもう魔女狩りもないし、人間とは仲良くしておいた方が絶対にいいわ。それに、私の薬を必要としている人がいるの」
「でも、アンタ処女じゃない。あんまり力を使ってばかりだと、そのうち魔力が枯渇して死ぬかもよ?」

 投げかけられた言葉が、ザクッと胸に刺さるような気がした。
 処女――人間たちの中では貞淑さを表す美徳と言えるだろうが、こと私たち魔女たちの中では違った意味を有する。

「才能はあるんだし、絶対にそのままじゃもったいないって。男漁りするなら手伝おうか?」
「い、いいよ。その……迷惑はかけられないわ。私だって、一応自立した一人前の魔女なんだから……」

 魔女の力の源は、異性の生きる力――いわゆる精気というやつだ。昔は相手の男が死ぬまで搾り取ったというけれど、このご時世でそんな危なっかしい真似はできない。
 数百年前に魔女たちの一斉摘発――魔女狩りがあってからは、せいぜいやりすぎても相手を失神させる程度で済ませている。
 効率的なのはもちろんセックスで、いかに男を引き寄せる力があるかで魔女としての序列が決まっていると言っても過言ではない。

(でも、処女の魔女なんて確かに聞いたことないし……一人前って言っても、まだまだ下っ端なんだよなぁ……)

 そんな中で、私は未だ男性経験がなかった。
 魔女として一通りのことを学び自立したはいいが、安定した魔力の供給を行うための精気を奪えていない。
 一応食事で多少の力は補っているけれど、森の奥で薬を作り、まじないを売って暮らす私は日々空腹に喘いでいた。

(だって、皆みたいにうまく割り切れるわけじゃないし……)

 魔女の中には、伴侶を得ながら他の男と体を重ねる人もいる。
 結婚相手が普通の人間だった場合、下手をすればセックスだけで命にかかわる――そういう理由で愛人を持っている人も少なくはなかった。
 だけど、どうにも私はその考えが理解できない。

(だから、いつまでたっても力が強くならないんだろうなぁ)

 はぁ、と深く溜息をついて、狂乱の宴を眺める。
 早く帰りたいと思っても、この会合から解放されるのは夜が明ける頃なのだ。

● ● ●

「……眠い」

 会合が無事に終わった翌日、私は拠点にしている幽幻の森に戻っていた。
 徹夜での会合はいつだって眠気との戦いだ。最後の方はほとんど乱交パーティーだったけれど、私は隅っこでひたすらご飯を食べていたから余計に眠たい。

「今日の分の薬草摘んだら、ちょっと休もうかなぁ……」

 ありがたいことに、私が作る薬を定期的に買ってくれる人がいる。
 そのおかげで食べていくのには困らないのだが、疲労と慢性的な精気不足のせいで足元がふらついている。
 納品する分の薬は既にできているし、毎日摘んでいる薬草だけ回収して家に帰ろう――そう考えていると、ガサガサと落ち葉を踏みしめる音が聞こえてきた。

「えっ……な、なにっ!?」

 町から近いとはいえ、魔女が住んでいる幽幻の森に近づく人間はあまり多くない。
 この辺りは野生動物も凶暴で、私たちも結界を張り巡らせてやっと暮らしているようなところだ。

(人間? まさか、こんなところに……)

 近づいてくる足音に耳を澄ませると、どうやら相手は複数人らしい。
 こういう時、使い魔がいるような上級の魔女なら様子を見に行ってもらうこともできたが――残念ながら、木っ端魔女の私にそんな力はない。
 できるだけ息をひそめて、周囲を見回しながら木の陰に隠れる。
 人間がそこまで恐ろしいものだとは思わないけれど、明らかに散歩や観光という足取りではないのが気になった。

「待て――逃げるな!」
「ひぇっ!」

 更に、険のある低い声が耳に飛び込んできたから余計に恐ろしい。
 ほとんど絶対私に向けての言葉ではない。わかっているけど、男の人が怒りもあらわに叫ぶ声は私にとってただ恐怖でしかなかった。

(なんで人間が、こんな……結界で身を隠すにしても、集中力が……)

 寝不足と空腹のせいで、うまく魔力を扱えない。
 どんどん近づいてくる足音に怯えながらぎゅっと目を閉じていると、やがて足音が止まった。
 ――轟音が周囲に響いたのは、そのすぐ後だった。

「な、なにっ!?」

 竈が爆発したんじゃないかと思えるほどに大きな音の後、誰かの叫び声が響いた。
 次の瞬間には焦げ臭いにおいが辺り一面に立ち込め、ただならぬ事態が起きたことを伝えてくる。

「――だ、大丈夫ですか!」

 気付いたら、私は森の中を走っていた。
 勝手知ったる自分の庭、どこをどう歩けば目的の場所にたどり着くのかなんて、考えなくても判断することができる。
 大きな音がした場所に向かって、木の根を除けて葉を潜り抜ける。
 そこで私が目にしたのは、黒く焦げ付いた森の一部と、その中で倒れこんだ一人の人間の姿だった。

「ひどい……これ、魔術の爆発じゃない……」

 周囲に漂う臭いで、魔術ではなく火薬を使った爆発だということは判断できた。
 急いで倒れている人に駆け寄ると、ぐったりとしたその男性にはまだ息があった。

(裂傷がひどい……きっと、服の下もひどいことになってるはず。このままじゃ、恐らく失血死――)

 王国騎士団の制服を着ているということは、恐らく彼は騎士なのだろう。
 なんとかしてその場で血を止めようとしたけれど、ここにはそのための道具も薬もない。
 ありあわせの薬草だけでは溢れる血液は止められなくて、私は慌てて彼の懐を漁った。

「ご、ごめんなさい。このナイフ、借りますね……」

 騎士団の人なら、小ぶりの守り刀を持っているはずだ。そう思って胸元を探ると、お目当てのものはすぐに見つけることができた。
 完全な止血は難しいかもしれないが、それでスカートの裾を破り、止血帯の代わりにする。

「頑張って……お願い。こんなところで死んじゃだめ……」

 体力はあるのか、呼吸をしっかりと繰り返しているのは幸いだった。
 本人に生きる気力がなければ、いくら魔術で傷を塞いでも命を助けることはできない。
 血だらけの手をぎゅっと握って彼と呼吸を合わせ、私の魔力を彼に流し込む――血液が巡るにしたがって、やがてその呼吸が穏やかなものへと変わっていった。

「……だ、大丈夫かな……?」

 気が付いた時には、指先がひどく冷たくなっていた。
 頭も痛くて、ひどくお腹が減っている。だけど、この人をこんな森の中にほったらかしにしたら、たちまち動物たちの餌になってしまうだろう。ただでさえ血の匂いに敏感な肉食獣たちが、この周りを取り囲んでいるかもしれない。

「とりあえず転移魔術で、私の家に運べば――ちゃんとした治療もできるし……」

 呼吸は整って、多少は止血もできているが、なお彼の状況は予断を許さない。
 近くにあった小枝を拾って魔法陣を描いた私は、家までの強制転移で彼を自宅まで運ぶことにした。

「よいしょ、っと……」

 意識を失った人間の体というのは重たいもので、どれだけ頑張っても私の力じゃ彼を持ち上げることはできない。
 そこで、枯渇寸前の魔力を両手に張り巡らせて彼をベッドの上に乗せることにした。服を脱がせて傷口を治療し、薬を塗って清潔な包帯を巻かなければ、たちまち傷口が膿んでしまう。
 騎士さんをベッドに横たわらせた後は、家の薬棚からあれこれと薬草や薬を取り出して、彼の治療に当たった。
 服の下はそれはひどい有様で、傷口に小石や砂利が入り込んでしまっている。

「ちょっと痛いかもしれないけど……我慢してくださいね」

 規則的に呼吸を繰り返す騎士さんは、それでも目を覚まさなかった。
 私としては、痛い辛いと暴れられるよりは眠ってもらえている方がずっといい。丁寧に傷口を洗い、魔術を駆使してそれを塞いでいく。

「……もう、ちょっと――」

 彼の体がすっかり綺麗になったのは、明け方近くになってからだった。
 申し訳ないと思うのは、その傷痕まで綺麗に消し去ることができなかったことだ。出血を止めるのに精いっぱいで、見目を整えてあげるだけの魔力が残らなかった。

「せっかく綺麗な顔をしているのに……ごめんなさい……」

 胸元に、大きな一文字の傷痕。
 こんな目立つ傷、いくら騎士といっても残しておいていいものではないだろう。
 けれど、休みなく治癒魔法をかけ続けたせいで完全に魔力が枯れ果ててしまった。食事もとっていないから、この傷痕を治すのは彼が目覚めた後にしよう――そう思って、深く息を吐く。

「……疲れたぁ」

 それに、お腹も減った。体がひどく冷たくて、喉も乾いている。

「も、もう傷口は塞がったし――なにか、食べないと」

 お腹が減ったというより、飢餓に近い。
 ふらふらと立ち上がった私は、食料を取りに行こうと歩き出し――そして、ふと背後を振り返った。

「ぁ……」

 若い、健康な男性だ。
 致命的な傷は全て塞いで、あちこちに包帯を巻いてはいるけれど命に別状はない。

(……おいしそう)

 ゴクッ……と、静かな家の中で喉が鳴る。
 鍛錬で鍛えられた体に、やや血色は悪いが整った顔立ち。それに、甘い香り。
 そのどれもが、空腹の魔女にとっては耐えがたいほどのごちそうだった。

「ひ、一口だけ……ちょっとだけだったら、いいかな……」

 本能が甘く囁いてくる。きっと、彼は美味しい。
 その唇を奪って、唾液を嚥下できたらどれだけ甘いだろう。栄養をしっかりと蓄えたその体の上に跨って、精を搾り取れたらどれだけ満たされるだろう。

(いけない……彼は、怪我人なのに。そんなことをしたら傷口が……傷、が……)

 頭の中ではわかっているのに、魔女としての本質が彼を求めてしまっている。
 ベッドの側に膝をついた私は、眠り続けている彼の頬に触れた。
 そして、そのまま唇を奪おうとする――。

「ッひ!」
「おっと、動くなよ。その首と胴体、永遠にお別れなんてしたくないだろ?」

 だが、私の目論見は脆くも崩れ去った。
 驚くほど強い力で腕を引かれたかと思うと、それまで騎士さんが眠っていたはずのベッドに押し付けられ――眼前には、剣を突きつけられていた。

「や――あ、あのっ」
「あ? ……なんだ、アンタ魔女か?」

 いざと言う時に悲鳴すら出せないというのは、人間も魔女も変わりないらしい。
 突然突き付けられた銀のきらめきに絶句していると、目の前で男の人がパッと表情を明るくした。

「なんだ、てっきり俺は例のスパイ野郎かと……って、あれ? つーかなんで俺、生きてるんだ……?」

 ややくすんだいぶし銀の髪に、冷たさを滲ませる蒼穹の瞳――今までベッドの上で眠っていたはずの彼は、私に剣を突きつけたままきょとんとした表情を浮かべた。 ……まずは、この剣をどけてほしい。

「じ、事情を説明するので……あのぅ……これ、ど、どけてもらってもいいですか……」
「あぁ――悪い。なんか、起き抜けで勘違いしたみたいで」

 情けなく上ずった声でそう懇願すると、ようやく彼は剣をしまってくれた。

「悪いな、てっきり俺がずっと追ってた奴だと思って……」
「いえ……あの、傷口は大丈夫ですか? かなりひどい出血だったので、どこか具合が悪いとか……」

 起き抜けにあれだけ動いたら、貧血で倒れてもおかしくない。
 襲おうとしていた私が言うのもなんだけれど、病み上がりなのだからもう少しおとなしくしてほしいものだ。

「具合は……いや、悪くはないな。それより、アンタが助けてくれたんだろう?」

 一閃傷が走った胸元を軽く撫でる騎士さんに、私はこくりと頷いた。

「そっか……悪かったな。せっかく助けてもらったのに、俺、アンタのことを返り討ちにしようとしてた」
「い、いや……」

 私がまるでなにも悪くないとは言えない状況ではあったので、なんとも返事がしづらい。
 そう思っていると、彼はすっと立ち上がり、胸元に手を当てて深く腰を折った。

「ギュスターヴ騎士団第二中隊長、ハインツ・フォン・アレクサンドラ――救命と治癒の恩義に報いるどころか、それを仇で返すような真似をしてしまったこと、聖ギュスターヴの名において謝罪します」
「え、えぇっ……! そんなことしなくていいですって……!」

 聖ギュスターヴ――かつて魔女狩りを行っていた人間と、魔女たちの間を取り持った聖人の名だ。
 その名を冠する騎士団は国王陛下直属の近衛部隊であり、謝罪の方法は上級貴族が王宮などで行う正式なものだ。間違っても、こんな森の奥にある小さな家で見れるものではない。

「……あれ、アレクサンドラ? アレクサンドラって――アレクサンドラ侯爵?」
「あぁ、まぁ。俺は三男だから、侯爵位継ぐ予定はないけどな」

 アレクサンドラ侯爵家は、この国の七大貴族と呼ばれている最上位の貴族たちの一角だ。
 王家に連なる公爵家四家と、武勇と知略で名を馳せる侯爵家三家。アレクサンドラ侯爵家は、その中でも特に権謀術数や軍略に優れた家柄だった。

「ハ、ハインツ様」
「あー、いいよいいよ。俺のことはハインツって呼び捨てにしてほしいな」

 ポリポリと頭を掻いた騎士様――ハインツ様がぺたぺたと自分の胸を触っている。かなりの怪我だったので、それがほとんど塞がっているのが不思議なようだった。

「じゃあ……ハインツ」

 冷たいように感じた蒼い瞳が、その瞬間いたずらっ子のようにきらめいた。

「そうそう。どうせ爵位も継がないし、俺はただの騎士だから。姓の方でも呼ばないでくれよ? 女性と二人きりの時は名前で呼ばれたい――ところで魔女のお嬢さん、アンタの名前は?」

 フランクな口調でそう尋ねられて、私は自分の名を告げた。

「……マリエッタ。幽幻の森のマリエッタって呼ばれてる」
「あぁ、魔女って住んでるところで二つ名つくんだっけ? いいね、マリエッタ。可愛らしい名前だ」

 親しげに私の肩に腕を回してくるハインツに、体がぴくんっと跳ねた。
 ……この人、女慣れしてる。

「あの――」
「アンタは命の恩人だ、マリエッタ。実はね、俺はある命令でスパイを追いかけてたんだが……さぁ追い詰めたってところで相手が自爆した。で、それをアンタが助けてくれたわけだが」

 甘い香りがする。いや、実際はそんな香りはしないのだろう。ハインツが香水をつけていたとしても、治療のために何度も体を拭いたし、あちこち消毒液まみれのはずだ。
 だけど、とっても――先ほどの空腹感が蘇るとともに、甘ったるい匂いが頭の中を支配する。

(おいし、そう……)

「俺としては、せっかく知り合えた美しい魔女と――マリエッタ? おいマリエッタ、どうしたんだ? 顔色が……」

 やっぱりだめだ。魔力の消耗が激しすぎる。
 剣を突きつけられた時の驚きで保っていた理性が、砂糖菓子を溶かしたみたいにほろほろと崩れていくのがわかった。

「ぁ――あの、離れて」
「は? いや、アンタ大分具合悪そうだけど……まさか、俺の治療で無理をさせたんじゃ」

 肩に回されていた手がパッと離れたかと思うと、ハインツは慌てた様子で私を寝台に寝かせてくれた。
 机の上においてあったタオルを水で濡らした彼は、冷えた指先で私の額に手を当ててくる。

「え、えっと……私……ずっと、お腹が減っていて」
「腹? 飲まず食わずでずっと看病して――いや、違うな。確か魔女の主な食事は……」

 騎士として、更には貴族としての教育を受けてきたハインツは、魔女の特性をよく知っているはずだ。

「人間の精気か。それも、異性のものを特に好む」

 一段低くなった声は、それだけで気が触れてしまいそうなほどの色気に満ち溢れていた。
 空腹で正常な判断ができない状況でこの声を聴くのは、劇薬を一気に嚥下するに等しい。

「なるほどな。俺の不手際のせいで、アンタには腹が減るほど力を使わせたってわけか」
「い、いや、私は……」
「命を助けてもらった恩を仇で返した挙句、餓死寸前の魔女を放って自分だけ家に帰る、ってのは――騎士の名折れだよな?」

 ニッと笑ったハインツが、そのまま私の上に覆いかぶさってくる。
 やっぱりこの人、かなり女性慣れしてる――一方で私は、魔女の癖に一度も男性から精を絞ったことがない半人前だ。

「ま、って……あのっ!」
「腹減ってるんだろ? こう見えて体力には自信があるんだ。……それに、一度魔女と寝てみたかった」

 艶っぽい声を耳に吹き込まれて、体がビクッと震えた。
 いくらおいしそうでも、いくらお腹が減っていても、初対面かつ病み上がりの男性から精気をもらうなんて――そんな理性の叫びを、本能のささやきが押さえつける。

「大丈夫大丈夫。こういうこと、別に初めてじゃないからさ」

 低く笑う声が、鼓膜に絡みついて離れない。
 ふるふると首を横に振ろうとするが、熱い舌先が首筋をなぞったことで一気に力が抜けた。

「ッひ、ぁあっ♡」
「お、いい反応――魔女ってことは、結構こういうことも慣れてるんだろ? じゃあそんなに硬くならなくても……」

 ちゅっ♡ちゅっ♡♡と首筋に唇を落とされながら、柔らかく囁かれる。
 それだけでも体はゾクゾクと震え、どうしようもないくらいにお腹の中が熱を持つ。
 行けないことだとわかっているのに、どうしたって逃れられない。
 若くて力のある、美しい男――魔女としての本能が、この雄を貪ってしまえと笑っているのがわかった。

「や、めっ……ハインツ……!」
「あぁ、いい声だ。とっても――なんだか悪いことしてるみたいで、背徳感がすごいな」

 クッと喉の奥で笑ったハインツが、大きな手を体に這わせてくる。
 服の上から触れられているのに下腹部がひどく疼いて、更に襲い掛かってくる喉の渇きで気が触れてしまいそうだ。

「こんなに厚ぼったい服も、全部脱いだ方が楽になる――魔女なんだから、わかってるんだろう?」

 その言葉に、ふるふると首を振った。
 知らない。そんなこと、今まで誰も教えてなんてくれなかった。

「――は、初めてだから」
「……はぁ?」
「私、こ、こういうこと……したことなくて……魔女としても落ちこぼれだし、お腹は減るし……」

 上手く働かない頭で紡ぐ言葉はつぎはぎで、なんだか言ってて自分でも悲しくなってきてしまった。
 初対面の男性から精気をもらうなんて、今まで絶対にできないと思っていた。確かに好機と言えば好機なのかもしれないが――心の準備が、まるでできていない。

「……なに、えっ……アンタもしかして処女? 魔女なのに?」
「そう、です……」

 何が悲しくて私はこの人にこんなことを告白しなくてはいけないんだろう。
 若干虚無感すら覚えながら頷くと、ハインツは一度身を起こしてつるりとした顎に手を当てた。

「そうか……じゃあ、あんまり無理はさせない方がいい?」
「……え?」
「大丈夫大丈夫。処女もらってくれって寝込み襲われた回数なら、多分王都で一番って自信あるから」

 なんだその自信。むしろなんでそんな爛れた生活を送ってるんだ。
 もしかしてこの人、人間じゃなくて淫魔の眷属とかじゃないか――そんな失礼なことを考えていると、ハインツの手がするりと服の裾から侵入してくる。

「ッひ……」
「あ、これはこれは――アンタ、案外着やせするんだなぁ。胸、結構大きいんだ」

 するするっ……と手際よく服を脱がせてくるハインツに、私はろくな抵抗もできない。
 いや、本気になれば如何様にでもできたのかもしれないが、彼から漂う甘い香りはどんどん私の頭の中を痺れさせていった。

「ん、ぁあっ……♡♡」
「ほら、イイ声が出てきた――体から力を抜いて。ほら、女の子は皆こうやって、気持ちよくなるのが好きなんだからさ」

 ぼんやりとした頭の中で、ハインツが笑っている。
 だけどなぜだろう――その笑みが、どこか冷たいもののように思えた。

「ハイ、ツ……」
「ん、どうした? もう欲しくて仕方がないって顔してるけど――処女なんだったらたっぷり慣らさないと」

 我慢してくれよ、と私の鼻先を軽く弾いたハインツは、魔法のような手際の良さで私のことを裸に剥いてしまった。

「肌もすごく綺麗だ。これって魔女が使う薬草とかの効能?」
「し、らなっ……んぁァっ♡」
「つれない態度だな――まぁ、そういうのもイイ。好きだって人は結構いるんじゃないか?」

 いぶし銀の髪一度書き上げてから、ハインツは見せつけるように舌を突き出した。
 目に鮮やかな赤が視界をちらつくたびに、期待したような息が漏れる。

「体から力を抜いて。そう、いい子だ……さて、まずはどこから触ってみようか」

 身をかがめたハインツは、私の耳元にふっと息を吹き込んで、軽いリップ音を立てて吸い付いてきた。
 生温かい舌が耳の輪郭をなぞり、水っぽい音が頭の中に響いていく。

「ぁ、ひっ♡やめ♡♡ぁんっ♡」

 ちゅっ♡ちゅぷっ♡♡♡ずち♡♡ぢゅ♡♡ぢゅるるるッ♡♡
 卑猥な音で、まるで耳孔と脳内を同時に犯されているみたいだ。
 くすぐったさと気持ちよさを一緒に感じると、なんだか肉体の感覚が一気に研ぎ澄まされたような感覚になる。

「あ♡♡ッぁ゛♡だめ、ぇっ♡♡♡耳舐めないでぇっ……♡頭の中、変になっちゃう……♡♡」

 なにこれ、こんなの知らない。
 自分で体に触れるよりも、ずっと官能的で強烈な感覚――それが、相手の意志一つで動きを変えるというのがひどく倒錯的で、恐ろしかった。

「あ゛♡ん、ぅううっ♡♡♡」
「体ビクビクさせて、気持ちいいんだな? 本当にアンタ、セックス初めて?」
「は、じめっ――ひぁっ♡♡」

 ずろぉ~~~~♡♡♡と舌を耳孔にねじ込まれ、体が跳ね上がる。
 くすぐったさと一緒に感じるどうしようもない衝動は、いつしかあられもない声になって唇からこぼれ落ちていった。
 逃げたいのに逃げられない。これ以上気持ちよくなってしまったら、私は本当にどうにかなってしまうんじゃないか――恐怖と期待がないまぜになって、何をしたらいいのかわからない。

「ハインツ――だ、だめだよっ……こんな、あの、私貴族とかでもないし……あなたみたいな、立派な人が――」
「……魔女なのに面白いこと言うんだなぁ。精気もらえれば何でもいいんじゃないの」

 それは、他の魔女たちはそうかもしれない。
 より強く、より濃い精気を得るには一人二人囲った程度では到底足りないし、えり好みはせず手当たり次第という魔女もいるだろう。
 だけど、私はなんだか――それは違うと思ってしまう。

「……こういうのって、好きな人同士がすることじゃないの?」
「あー……まぁ、そうだな。マリエッタ、アンタさ……そこらのご令嬢よりよっぽど貞淑だよ。少なくとも、俺の名前につられて群がってくる人たちよりずっと」

 震える声で確認したら、ハインツはどこか困ったような表情を浮かべた。
 彼の名前――つまり、アレクサンドラ侯爵家の名を求めて、たくさんの女性がハインツを求めるのだろう。
 この通り見目はいいし、騎士団の中隊長ともなればこれまた人気者だろう。
 兄が二人いると言っても、万が一のことがあれば彼が侯爵家を継ぐことだってあり得る――そこまで考えて、なるほどとため息が出た。

「好きな人間同士でも、体の相性さえ合えばどうにでもなるものだ。それがたとえ、人間と魔女でも」

 剣胼胝のできた手が、するりとお腹を撫でる。
 乾燥した指先でおへその周囲をなぞられると、なんだか居心地の悪さを感じてしまった。

「ッん……♡」
「腹が減ってるなら遠慮するなよ。多分俺なら、アンタを満足させてあげることができる」

 蒼い目が細められたかと思うと、視界が彼でいっぱいになる。
 唇同士が重ね合わせられ、先ほど耳を犯していた舌が私の唇を舐めた。

「ん、むっ……♡♡ふぁ、ンっ♡」

 頭の中が痺れるくらい、気持ちがいい。
 それと同時に、まるで飴玉を舐めているかのような甘さが唇から舌に伝わってくる。唾液に混じった彼の精気が、徐々に私の体へと流れ込んでいるのだ。

(これ、だめだ――おいしい……もっと、もっと欲しくなる……)

 空腹の体に、新鮮な精気が染み渡っていく。
 一気に理性が侵食され、与えられるがままに唾液を嚥下した私は、そっと彼の首に腕を回した。

「んく♡ッ♡んむぅ……♡♡は、ァんっ……♡♡」

 ちゅっ♡ちゅぷっ♡♡ぬるぅ……♡ちゅっ♡♡ぢゅるっ♡♡♡
 甘い精気の味を追うように、自ら唾液と舌を絡めて彼を求めた。
 もっと――もっとほしい。お腹がいっぱいになるまで、目の前の雄を貪りたくて仕方がない。

「ぁ――ハインツ……♡もっと……♡♡」
「もちろん、恩義がある以上はアンタの腹が満たされるまで付き合うつもりだ。だが――キスなんてほんの前菜だろ? メインディッシュからデザートまで、どうせなら全部楽しまないと」

 フルコースでご提供、とハインツは茶化したように笑うけど、私はもうそれどころではない。

「……お腹減ったの」
「わかってるって。でも物事には、なんだって順序ってものがある。魔術を使うのと一緒だよ」

 人間に魔術のなにがわかるんだと言いたいが、それはその通りなので黙るしかない。
 どんなに大規模な呪いだって、順序を無視して基本の流れを無視したら一瞬で無駄になってしまう。それを知っている私は、くたりと力を抜いて彼に身を委ねることにした。

「この綺麗な体に痕つけるのはなぁ。流石に可哀想だし――最初からこっち触って、とっとと慣れさせた方がいいかな」

 じっと私の体を見下ろしていたハインツは、すり……♡と肌を撫でてから軽く下腹部を押し込んできた。

「ッひぁ♡♡♡ぁ゛――め、ぇっ♡」
「お、ポルチオ気持ちいい? でもセックスしたことないんだよな……?」

 ぐりぐり♡とお腹の上をなぞる手に力が籠められる。
 それだけで下腹部が熱を宿し、もどかしい快楽を生み出していった。

「あ♡ぁ゛ッ♡♡♡おなか……ッ♡ぐりぐりしない、れぇっ♡♡んぃっ♡ぃ゛、ッ♡♡♡」
「なんで? 気持ちいいんならそれに越したことないだろ――ま、でもそうか。マリエッタにとってのメインはこっちだもんな」

 冷たく笑ったハインツが、下腹部から手をどけて太腿を掴んだ。
 しっとりと汗ばんだ肌に吸い付いてくる指先が、どこか艶めかしい。

「――こんな森の中に住んでないで、町に出ればいいのに。ここよりかはずっと人間も多いし、食べ放題じゃないのか?」
「だって……あ、あんまりこういうこと、したいと思わなかったから」
「空腹で理性飛ばしそうになりながらなに言ってんだか」

 呆れたように息を吐いたハインツが、そのまま大きく足を開く――下着が取り払われたそこは既にやや湿っていた。

「指と舌、どっちがいいかな」
「……どっちも、私の栄養にはならないよ。さっきのキスみたいに、唾液とか……せ、精液とかからじゃないと、精気は貰えないから」

 はふ、と息を吐いた私に、ハインツはやや考える仕草を見せた。
 軽薄そうな振る舞いをしながらもこうしてちゃんと考えてくれる辺り、実は真面目な人なのかもしれない。

「あー、じゃあさ……ちょっとだけ待ってくれよ。今もかなりキてるんだけど、多分多少は食いでがあった方がいいだろ?」
「えっ……、あ、ッんん♡♡♡」

 そう言うと、おもむろにハインツがおまんこに指先を突き立ててくる。
 いきなり混みあがってきた異物感と快楽に、体がぞわぞわと粟立ち始める。

「や゛♡ぁあ゛♡♡♡く、るしっ……♡♡」
「うわ――すごい締めつけ。ナカもなんだこれ……熱くてとろっとろ。わかる? この音――」

 ぬぢっ♡ぢゅぷ♡♡♡ぬぷぷっ♡♡ぶちゅぅっ♡♡♡ぢゅぽ♡ぢゅぽっ♡♡
 ハインツが指を動かす度に、卑猥な音が奏でられる。
 いや――奏でているのは、私の体だ。
 淫らな水音を奏でているのは私――そう思うと、体の中の熱がどんどん高まってくる。

「ぁふっ♡♡♡ンっ♡あ♡あ゛ッ♡」
「締めつけもキツ……処女っていうのはわかるけど、しょっぱなから感じすぎだし――これ、本当にセックスしたらどうなると思う?」

 若干息の荒いハインツが、ずりずり♡とおまんこの中をかき混ぜてくる。
 蜜を攪拌する指の動きは慣れたもので、悦居場所を探すかのようにあらゆる場所に触れてきた。

「や♡せっくす、したい……♡♡おいしい、精液……♡おなかいっぱいになりたいの――♡♡♡」
「あぁ、もちろん。マリエッタのナカに、ちゃんと精液出してやるから大丈夫――でも、まずはスープとポワソンだ。軽くイくことも覚えた方が、後々男を誘い込むのに都合がいい」

 なんでこの人、魔女でも淫魔でもないのにこんなことすらすら言えるんだろう。
 ぼんやりと輪郭を失い始めた思考の中でも、ふとそんなことが頭をよぎった。本当に彼は淫魔の眷属で、逆に私が食われようとしているんじゃないだろうか。

「ぁうぅっ♡♡ンぁっ♡指でぐぽぐぽって♡♡♡これすき♡きもち、いいのっ……♡♡」

 ぬぽっ♡ぢゅぷぷっ……♡♡ぬこっ♡ぬこっ♡♡♡ぐりぐりぐりっ♡♡♡

「ッぁ゛あっ♡♡♡」
「よしよし。マリエッタの弱いところ発見――顔真っ赤にして可愛いなぁ。ホント、アンタが魔女っていうのがまだ信じられないくらいだ。俺たちが話に聞いてる魔女って、もっと手練手管っていうか――」

 ぬちぬちっ♡と指を動かしながら笑うハインツだったが、私にはもう一歳の余裕がなかった。
 他の場所よりも感じてしまう一点を探り当てられて、がくがくっ♡と腰が震える。
 堪えがたい快楽の波が私の体を飲み込もうとしている――本能的な恐怖に身をよじると、ハインツがぐいっと私の顎を掴んで正面を向かせた。

「おっと、目を背けるなよ。まずはナカイキを覚えような? クリでイくより難易度は高いけど、魔女の体だったら大丈夫だろ」
「そ、そんな――んぁあっ♡やっ♡♡♡しょ、こっ♡♡♡そこらめぇっ♡あ゛ッ♡♡ぁんんっ♡♡そこ弱いの♡だめ♡だめぇっ♡♡気持ちいいのいっぱいくる♡♡あ゛ッ♡♡」

 足をばたつかせようとしても、ハインツにしっかりと体を固定されているせいでそれもできない。
 両手は自由だったのでめちゃくちゃにシーツを掴んだけれど、それすらも快楽を逃すにはまだ弱かった。

「は……エッロ。やっぱりこれで処女って無理あるだろ」

 ぐりぐり♡と気持ちいい場所を指で押し込まれて、目の前で火花が散る。
 ダメだ。これは本当にダメ――この一線を越えたら、本当におかしくなってしまう。
 目の前の男に、全てを奪われてしまう……♡

「や♡やあぁっ♡♡やだっ♡♡ゆるして♡♡♡ハインツ♡♡あ♡やっ、あァ♡♡♡」
「……じゃあ、名前もっと呼んで。さっきからずーっと呼んでる俺の名前。たくさん呼んで」
「ッひぁ゛♡♡♡はいんつ♡♡ァ♡ハインツ♡♡ハイ、ッ……♡♡あっ♡あ♡♡やらぁっ♡♡♡おまんこらめ♡いじめないで♡♡ハインツ♡おねがいだからぁっ♡♡♡」

(名前、呼んだら許してくれるんじゃないの……?)

 こんなに気持ちよくされたら、もう戻れなくなる♡また――男の人の精気、いっぱい欲しくなっちゃう……♡♡

「もっと。もっと呼んで――アンタ、最初から俺のことを名前で呼んでくれたから、心地がいいんだ」
「ふ、ぇっ……? は、ハインツ……?」

 上ずった声で名前を呼ぶと、ハインツは満足そうに目を細めてまた指を動かした。逃げ場のない快楽が、一気に押し寄せてくる――♡

「お゛、ッ♡♡♡やみぇ♡ぁ♡あっ♡♡♡らめぇっ♡それ以上、はぁっ♡♡」
「イきそう? じゃあ、俺の前で初イキ見せて……ほらイけ♡」

 ぐぽ♡ぐぽっ♡♡♡ぬぽぉっ♡♡ぢゅぷぢゅぷぢゅぷっ♡♡
 執拗なまでに弱い場所を嬲られて、一瞬体が強張る――次の瞬間、波濤にも似た愉悦の波が体を飲み込んでしまった。

「ひあ、ぁ゛~~~~♡♡♡あ゛ッ♡♡ぁえぇ゛ッ♡♡♡ぉ゛♡おっ……♡♡」

 腰を弓なりに反らせて強すぎる快楽に溺れた私を、じっとハインツが見下ろしている。冷たさを感じさせていた蒼穹の瞳が、にわかに熱を帯びているのは気のせいではないだろう。
「ぁ、あ――ハイン、ツ……?」
「ん、あぁ……初めてにしては、割と盛大にイったなと思って。……でもこれじゃ腹は満たされないんだろ?」

 くたりと体を弛緩させたまま、私はその言葉に頷いた。
 私が気持ちよくなるだけじゃ、お腹はこれっぽちも満たされない。あくまで目の前の彼から精気を搾り取ることで力が満ちるのであって、これは一方的な愛撫に変わりなかった。

「……そういう知識がないわけじゃないんだな?」
「そ、れは……うん。これでも成人した、一人前の魔女だから」

 ごくん、と口の中に溜まった唾液を飲み込んで、ゆるゆると体を起こす。若干ふらついたけれど、それはハインツがしっかりと支えてくれた。

「ありがとう……あ、案外優しいんだね」
「そうか? 王都じゃ、絶対に旦那にしたくない男として番付を六年連続単独首位キープしてる」
「……なにそれ」

 人間というのは美しいものに惹かれる生き物ではなかっただろうか。
 造形を見ればハインツは美しいと思うし、こうして話してみても結構気遣い上手なのがわかる。

「男としてはそれなりかもしれないけど、旦那としては無理なんだと。まぁ、俺家継ぐ予定ないし」

 当たり前と言えば当たり前か、と肩をすくめるハインツだったが、私はそれが不思議でならない。人間の価値基準は、魔女の私にはよくわからなかった。

「まぁ、体を重ねるだけの相手がそれだけ多いってことで。俺もしがらみがあるのはごめんだし――自分が必要とされてないんなら、敢えて欲しがる必要もないだろ?」
「……よくわからないわ。だって、今の私にはあなたが必要だし」

 重たい腕を持ち上げて、そっと彼の股間に手を伸ばす。
 わかりやすく張り詰めているその場所は、触れるととても熱かった。

「あ、つ……もう硬くなってる……♡」
「まぁ、あれだけの痴態を見てたらこうなるって――直接触ってくれる?」

 最初からそのつもりだったので、こくりと頷く。
 触れるだけで眩暈がするような質量を感じ取った私は、ゆっくりと下穿きの中からそれを取り出す――それと同時に、もう一度唾液を嚥下した。

「お、っき……」

 取り出した彼のおちんぽは、思い描いていたよりもずっと大きくて――太い。ちょっとした薬瓶くらいあるんじゃないかというそれに尻込みするも、先走りで淫靡に濡れたそれから目が離せなかった。

「お、おいしそ……♡」
「いいよ、好きなだけ触って。ていうかもう限界近いし――俺も一回イきたい」

 ふーっ♡と息を吐いたハインツが、私の頭を撫でて髪をぐしゃぐしゃと搔きまわした。余裕のないその態度に、余計空腹感が強くなる。

「い、いいの? 全部……これ、全部食べていいの……?」
「腹減ってるんだろ? さっきも言ったが、体力には自信あるから」

 好きなだけどうぞ、と言われて、思わず膝立ちになって彼の唇に貪りつく。
 真っ先におちんぽを咥えなかったのは、彼とキスがしたかったからだ。流石に自分の出した精液を飲み込んだ後は、キスもしにくいだろうから。

「ちょっ、マリエッタ――ッく……」
「んっ……♡んぁ♡は♡♡んむぅっ……♡♡」

 甘い唾液を啜りながら、右手はそっと肉茎に沿える。
 これでも研鑽を繋いだ魔女なので、男性の体のつくりはそれなりに理解している――どこをどうしたら、彼が感じてくれるのかもわかっているつもりだ。

「んふ、ぅっ……♡ンっ♡♡ちゅ……♡」

 ぬち♡ぬち♡♡と人差し指で円を描くように亀頭を刺激し、同時に舌を絡めた深いキスをする。
 種類の違う快楽に弱いのは、なにも女だけではない。むしろ男性の方が、別の場所を同時に責められるのに感じてしまったりするのだ。

(ハインツ――腰、びくびくってしてる……♡これで気持ちいいんだ♡♡)

 ぬ゛ぢゅっ♡といやらしい音を立てながら先走りを塗り広げて、汚れた指先で今度は幹の部分も丹念に刺激した。
 すると、ハインツが私の腰に手を回して体をしっかりと抱きしめ始めた。こちらから絡めていた舌先も、徐々に主導権が彼に奪われてしまう。

「んんぅ♡んぁ♡♡ちゅっ♡ふ……♡♡」
「あんまり焦らすなよ……しかしまぁ、キスだけでここまでとは」

 ちゅぱっ♡と音を立てて唇が離れると、ハインツがちろりと上唇を舐めた。
 互いの唾液で濡れ光った唇は、溢れ出してくる彼の色気を存分に引き立てている。

「……俺の唾液ってそんな美味いの?」
「ん……甘くて、頭の中痺れそうなくらい美味しい」
「……想像できないな」

 それはまぁ、人間の味覚とはちょっと違うところで味を感知しているので、わからないのも無理はないかもしれない。

「――こっちもとっても美味しそうだよ。ハインツからね、とっても甘い香りがするの」

 ぬちっ♡と音を立てておちんぽを扱くと、ハインツが軽く眉を寄せる。
 本能に引き寄せられるがまま円い先端に唇を押しつけると、まるで砂糖菓子を頬張ったかのような甘さと幸福感が下腹部から頭までを一気に駆け上っていく。

「ん、っ……♡♡んは、ぁっ♡く、ん゛ぅぅ……♡♡」

 ちゅぽっ♡ちゅぱっ……♡♡ぢゅるるっ♡ぢゅぷっ♡♡♡
 夢中でおちんぽにしゃぶりついた私は、先ほど指先でたっぷりと愛撫を咥えた亀頭に舌を這わせた。
 舌で鈴口をちろちろと刺激しながら、ぱくりとそれを咥えこんでみる。やや膨らんだその場所を頬に押し付けながら頭を振ると、頭上でハインツが息をのむ音が聞こえた。

「ん゛ぉ♡む゛ぅっ♡♡♡ん゛♡♡♡くぅううぅっ♡♡」

 唾液と先走りが絡み合い、ぢゅっぽぢゅっぽ♡といやらしい音が響き渡る。
 濃い精気をたっぷりと舌の上に乗せた私は、多幸感で頭の中が焼き切れそうになる――若い男性の精気がこんなにおいしいだなんて知らなった。
 これは誰もが夢中になるはずだ。彼ほどの男なら、他の魔女も放ってはおかないだろう。

「んぁ♡ぁ……むぅっ♡♡♡」
「――マリ、エッタッ……」

 裏筋に舌を這わせてから幹の部分をぱくんと加えてみると、焦ったような声も聞こえてくる。
 知識では知っていても、こんなことを誰かにしたのは初めてだ。聞くところによると彼はそれなりに経験豊かなようで、こんな愛撫は拙いと笑われてしまうかもしれない――そう思っていた。

(嬉しい……ちゃんと、感じてくれてるんだ。よかった――)

 どうせなら、彼にだって気持ちよくなってもらいたい。
 そうした方が精気も美味しくいただけるというのはあるけれど、わざわざ病み上がりの体で協力してくれているのだから、せめて少しくらいは気持ちよくなってほしかった。

「んぁ♡くぅ……♡♡♡んぷっ♡♡ぁ――ここ、もう重たいね。いっぱい射精したがってる……」

 ずっしりとした睾丸を持ち上げると、たまらなく彼の精液が欲しくなってしまう。
 ちゅっと双球に唇を押しつけてゆっくり舌でなぞり上げると、ハインツの手がそっと頭に触れた。

「……咥えて」
「ん――んむっ♡♡」

 低い声に命じられて、再び亀頭を咥えこむ。すると、そのまま彼は私の頭をぐっと押さえつけてゆっくりと腰を振り始めた。

「ん゛ぉ♡お゛ッ♡♡♡」
「は――やっぱりアンタさ、これで処女っていうのは無理あるでしょ……ッ、口まんこやわとろでエグいな……」

 にゅぽ♡にゅぽっ♡♡ごぢゅっ♡♡ぢゅぽぢゅぽぢゅぽっ♡♡♡
 咥内をオナホールみたいに使いながら、ハインツは懸命に腰を振っている。さっきよりもずっと荒々しくて余裕がない姿――背筋がゾクゾクとして、喜悦が湧き上がってくる。

「んごっ♡お゛♡♡お、くぅっ……♡♡ん゛っ♡んっ♡♡ん゛っ♡♡♡」

 唇を窄めながらぢゅぽぢゅぽとをおちんぽを舐めしゃぶっていると、喉奥まで肉の杭を突き立てられる。
 人間だったら苦しいとも思うことでも、私の体ならそれすら快楽に置換することができた。
 息苦しささえ快楽のスパイスに変えて、一生懸命口腔奉仕を繰り返す。
 ハインツのおちんぽはサイズも大きいので咥えるのが一苦労だったけれど、顎が少し痛いことさえ我慢できれば喉のストロークまで丁寧に犯してもらうことができた。

「んぅっ♡♡お゛ッ♡ぉ゛くっ♡♡♡ん~~~♡♡♡」
「ッは――まず、一回口に射精すから……全部飲めるな?」

 頭上から聞こえてくる声に、こくこくと頷く。
 射精の兆しを見せてズンッ♡と重くなった睾丸をゆっくり撫でると、ひゅ、と音が聞こえて腰の動きが止まった。

「んぶ、ぅっ♡♡♡ぉ゛♡れて、りゅっ……♡♡ん゛むっ♡ぢゅっ♡♡ぢゅるるっ♡♡♡」

 びゅぼっ♡♡ぶびゅっ♡びゅ~~~~♡♡ぶぢゅっ♡♡♡びゅぼぼっ♡♡♡
 こってりとした精液が、びゅるびゅると舌の上で爆ぜる……♡
 熱くてとろとろで、喉が焼けてしまうほどに濃い精液を吐き出されて、体が歓喜のあまり震え始めた。
 もったりとした舌触りも最高で、これだけでイッてしまいそうになるのをなんとか堪える。

「ぁふっ♡ん、ぁ♡♡♡ぉ゛ッ♡おい、ひっ……♡♡ぁううっ……♡♡」

 体の中に、激しい魔力の奔流が迸るのがわかった。
 じっくりと時間をかけて精液を飲み干すと、魔力不足でふわふわとしていた体の調子がやや上向きになる。

「んくっ……♡ぁ、飲んじゃった……♡♡♡」

 舌に絡みついている残滓までしっかりと飲み干すと、お腹の奥が温かくなる。
 恍惚としたままボーっとしていると、ハインツがまたくしゃくしゃと私の頭を撫でてくる。

「美味かった?」
「うん……♡お、美味しかった……♡♡♡でも、まだ――そのぅ……」

 確かにおいしかったけど、あれだけじゃ足りない。
 それに、ハインツだってきっとまだ満足はしていないだろう。あれだけ大量の精液を吐き出したのに、肉茎には再び芯が宿ろうとしている。

「も、もう一回できる? 今の……」
「できるけど、口でいいのか? アンタら魔女って、セックスで男の精気を搾り取るんだろ」

 耳元で妖しく囁く声が、陶然としたままの頭の中を揺さぶってくる。
 そうだ――ここまで来たら、もう我慢する必要なんてないんじゃないか。

「俺も一回出しただけじゃ足りないからさ。……マリエッタ、アンタさえよかったら……最後まで」

 すりすり♡と軽くお腹を撫でられて子宮がきゅんきゅんと疼いた。
 ――犯されたい。
 ハインツに犯されたい。あの極太おちんぽで処女膜を破られて、徹底的に快楽を教え込まれたい。
 期待感で小刻みに震えながら、私はそっと清代に横たわり――そして、自ら足を開いた。

「こ、ここに……おちんぽ、いっぱいくれる……?」
「もちろん。痛みなんて感じないくらい悦くしてやるから、安心して」

 痛みなんて、そんなもの。
 滅茶苦茶にされてもいい。痛くされたっていい。今はただハインツにすべてを奪われて、彼のすべてを奪ってしまいたかった。

「き、てぇっ……♡♡♡」

 甘ったるい声で懇願すると、ハインツが私の足を掴んでぐっと持ち上げた。
 先ほどまで半勃ち状態だったおちんぽも、既に漲りを取り戻している。

「力だけは抜いて」
「ぁ――あ゛♡ぉ゛、ッ……♡♡♡」

 ぬ゛ぷっ♡と一気に突き立てられたおちんぽに、内臓が持ち上げられるような感覚を覚える。
 他者と比べたことはなくても、彼のそれがかなり大きいのはわかっていた。けれど、膣内に迎え入れるとその質量がよくわかる。

「お♡ぉ゛ッ♡♡♡しゅご♡奥まで一気、にっ♡♡♡」
「う、わ……なんだコレ、っ……」

 お腹の奥まで、ハインツに征服されてる♡おまんこ一気にハインツのものにされちゃった♡♡♡

「や♡ぁえっ♡♡ひ、ひぁあっ♡♡はげし、激しいのっ♡♡いっぱいおまんこズコズコされるの気持ちいい♡♡♡」

 さっきのイラマチオとは違い、突き上げてくる強さも速さも段違いだ。
 思い切り膣奥を穿たれるたびに、目の前で光が明滅する。

「ぉ゛ッ♡お゛ッ♡♡♡奥しゅごい♡♡さっきよりずっといいの♡♡♡おちんぽで気持ちいいところゴリゴリってされるのいい♡♡♡」
「ん、なっ……締め付けながら、そんな風に言われたら――もっと、めちゃくちゃにしたくなるだろ……」

 ぬ゛ごっ♡ごりゅりゅっ♡♡♡どちゅっ♡どちゅっ♡どちゅっ♡♡
 深いところを力強く突き上げてられて、おっぱいが大きく揺れた。
 するとハインツは、その揺れる乳肉を片手で鷲掴み、乱暴に捏ねまわしてくる。

「ぁひっ♡♡♡あ゛♡や、みぇっ……♡♡」
「ッく、なんだこれ……最高――」

 ぽそりと呟いたハインツがぬこぬこと膣窟を擦り上げていく。
 その激しさだけでもまた達してしまいそうなのに、胸への強烈な刺激も断続的に加えられた。
 人差し指の先で乳首を転がし、他の指でぐにぐにと乳房を揉みしだかれる。

「お゛♡ぉ゛ッ♡♡♡きもちぃ♡おちんぽぬぽぬぽされながら♡♡おっぱいいじめられるの気持ちいいよぉ♡♡♡ぉ゛ひっ♡ぁ♡あ゛ぅっ♡♡♡」

 おまんこが精液を欲しがって、ぐねぐねとうねっている。
 一方で浅ましく蠢動する膣肉を嬲りながら、彼のおちんぽは幾度も子宮口を突き上げてきた。

「なぁ――本当にアンタこれが初めてなのか? とてもじゃないけど……油断したら、こっちが持っていかれそうだ」
「は、じめてっ♡こんな♡こんな気持ちいいことしたことないの♡♡♡しらなかったの♡♡こんなの♡♡♡ぉ゛ッ♡」

 セックスそのものがこんなに気持ちいいのか、それとも相手がハインツだからなのか――その判断もできないまま、私は人間の男に抱かれてひたすら喘ぎ続けるしかない。
 彼の突き上げは容赦ないし、体力もあるからなかなか射精をしてくれない。
 爪の先でカリカリッ♡と乳首を弄られながらおまんこを思い切り突き上げられて、次第に私の唇からは意味のない音ばかりが零れ落ちるようになっていった。

「ぉ゛♡♡お゛ッ♡♡あ、ひっ♡♡♡ん゛ぁあぁっ♡♡♡」
「蕩け切って、イイ顔するね――ナカがさっきからずーっと俺のこと締め付けてきてる。……精液欲しい?」
「ほし、ぃ♡♡♡ハインツのせーえきすき♡♡こってりしてて、熱くて……♡♡飲んだだけで、イッちゃいそうだったから♡ぁっ♡あうっ♡♡♡」

 ずこずこずこっ♡♡と激しく責め立てられながら発した言葉は、果たして意味を成しているのかどうかもよくわからない。

「奥にいっぱいほしいの♡♡♡ハインツ♡いっぱいせーえきだしてぇ♡♡ンぁっ♡射精して♡♡♡マリエッタのおまんこいっぱいいじめてぇっ♡♡♡」
「ん――お望み通り、たっぷり射精してあげるから……まだトぶなよ?」

 ぐぽ♡ぐぽっ♡♡♡ずちずちずちっ♡♡どちゅっ♡ぱちゅんっ♡♡ごりゅっ♡♡
 一切の手加減なく抽送を繰り返されて、頭の中でバチバチと火花が散る。
 シーツを掴んでいたはずの指先にはとっくに力が入らなくなり、ハインツがそれを握り締めていた。
 私が逃げられないように指先をしっかりと絡め、乳首と膣奥を一緒に刺激する。
 一度イった体は快楽に従順だったし、本能がどこまでも彼を求めてしまう。

「ぁ♡ハインツ♡♡きもち♡気持ちいい♡♡ハインツのおちんぽでおまんこゴリゴリされるの♡すっごく気持ちいいよぉ♡♡♡」
「そっか――俺とのセックス、好き?」
「すき♡これ好きぃ♡♡♡もっと♡もっとハインツに犯されたいの♡♡♡お゛ッ♡いっぱいイかされてっ♡♡気持ちいいこと以外考えられなくなりたい♡♡♡」

 お腹の奥が熱い。
 さっき飲みこんだ精液が悪さをしているんだろうか。そこからじわじわと熱が広がって、思っていることが全部口から出てしまう。

「んー――そっかぁ。じゃあ、いっぱいイって、なーんにも考えられないようになろうな。……俺も、アンタも」
「お゛、くぅぅっ♡♡♡ほ、ぉ゛ッ♡♡やっ♡ハ、イン、ツ……♡♡♡」

 ぬ゛ぅ~~~♡♡ご、ちゅっ♡♡♡

「ッお゛♡♡♡」
「体の相性は最高だ。本当に――頭からつま先まで、俺の好み」

 ごりゅっ♡ぢゅっ♡♡ぬ゛ぷぅ……♡♡

「ん゛、ぁあっ♡♡」
「いっぱい俺の名前呼んでくれるところもいいね。皆最初、俺のことをこう呼ぶんだ。……アレクサンドラ候子様とか、中隊長様、ってね」

 ――それ、俺の名前じゃないよね。
 血を這うように低い声とともに、ぬ゛ぷっ♡ぬ゛ぷっ♡♡と楔が打ち込まれる。

「マリエッタは俺のこと、最初から名前で呼んでくれた。魔女には爵位も立場も関係ないもんなぁ。……いいな、自由で」

 曖昧な思考の中に、絞り出されたような声が染み入ってくる。
 気が付いた時、私は力強く握りしめてくる彼の手を、そっと握り返していた。

「俺もアンタのものになって、自由に生きていきたい」

 ぽつりと呟かれた言葉の後で、ずんっ♡♡と最奥を穿たれる。

「あ゛ぅっ♡♡く、ひっ――♡♡♡」
「今くらいはいいよな。立場も名前も全部捨てて、ぐちゃぐちゃになったって」

 その言葉の後で、抜け落ちるギリギリのところまでおちんぽを引き抜かれる。

「マリエッタ」

 抜く動作だけで、雁首が気持ちのいい場所に当たる――だけど次の瞬間、ばぢゅっ♡と勢いよくおちんぽを押し込まれた。

「ぉ゛♡♡」
「マリエッタ。俺が初めてだもんな? たくさんの男を貪りつくして侍らせる魔女の――最初の男が俺だ」
「んっ♡♡ぁ♡そ、だけどっ……♡♡ぁひっ♡♡♡」
「じゃあ、俺が基準になるわけだ。精気が美味いか不味いか、セックスが上手か下手か、……気持ちいいか、よくないか」

 ばちゅっ♡♡ばちゅんっ♡♡♡どちゅどちゅどちゅっ♡♡♡
 容赦ないピストン♡こんなにお腹いっぱいにされたらおまんこハインツの形になっちゃう♡♡

「あ゛♡ッんん♡♡ひ♡ハイ、ツぅっ……♡♡」
「そうしたら、アンタは俺のことを忘れられないわけ、だ……ッ♡」
「は、ぉ゛おっ……♡♡♡」

 どぢゅっ♡とひときわ重い一撃の後、びゅるびゅると熱い精液がお腹の中を満たしていった。
 一度射精したはずなのに、彼のそれは全く衰えを見せない――それどころか、喉奥で感じる甘さよりもより強い快楽と満足感が押し寄せてくる。

「は、ぇっ♡♡出てる♡中出しされちゃってるぅ♡♡♡ハインツのせーし♡お腹でびちびちっていって、りゅっ……♡♡」

 性質としては、極上もいいところだ。
 確かに――こんなの味わわせれたら、もう彼のことを忘れられない。何百人という男に抱かれたって、コレを上書きできる人間はそうそういないはずだ。

「は、ひぃ……♡♡お、っ……ぁ、あっ……♡」
「あー……マリエッタ? 悪い、ちょっと興奮しすぎた……」

 思考はなんとか片ら貸せることができても、体はちっとも動かない。
 というのも、極度の飢餓状態から一気に極上の精気を与えられて体が驚いているのだ。

「……なぁ、もう一回。――もう一回だけさせて」
「え、ぁ、っ……ぁあっ♡♡」

 だけど、それをいいことにハインツは再び私に覆いかぶさる――体力に自信がある、といった彼の言葉は本当で、結局その日の私は朝日が昇るまで彼の腕の中で喘ぎ続けることになってしまうのだった。

● ● ●   

「――なんでまた来たの……?」
「だって、俺まだアンタにこの前のお礼しきれてないだろ? ほら、プディングは好き?」
「……嫌いじゃない、けど」

 森の中でハインツを助けてから、かれこれ数週間。
 彼は暇があればこの森を訪れていた。それも、彼はいつだって何かしらの手土産を持ってくる。
 今回は王都で有名な菓子店のプディング――行列ができて、朝から並んでも昼過ぎまで買えないとかいう人気商品だ。

「一応と思って持ってきたけど……人間の精気以外でも食べられるんだな」
「前はずっと、食事で精気を補ってたもの。まぁ、それほど得られる魔力が大きいわけでもないから、本当におやつみたいなものなんだけど」

 ハインツ自身も忙しいだろうに、どうしていつもウチに遊びに来るんだろう。
 プディングを切り分けながらふとそんなことを考える。

「一宿一飯の恩を返さないのは騎士の名折れ。アンタは俺の命を救ってくれた大恩人なんだ。これくらいのことはさせてくれよ」

 そう言って、いつも彼はこんな森の奥にやってくる。
 この前は流行の最先端を行く美しいドレスを、その前は大ぶりの宝石をあしらったネックレスを持ってきたし、そんな高価なものは受け取れないと突っ返したら以降は美味しいスイーツを持参するようになった。

(まぁ……確かに全部美味しいから、悪い気はしないんだけど……)

 ハーブティーを淹れて、プディングと一緒に彼の前に差し出す。
 すると、ハインツはきらきらと目を輝かせてから表情を崩した。

「ねぇ、ハインツ。騎士団のお仕事……暇なわけじゃないんでしょう?」
「そりゃまぁ、それなりに? でも、最近は穏やかなもんさ。ちょっと前まではスパイ騒動で、あちこち駆けまわってたけど――」

 ハインツが所属しているギュスターヴ騎士団は、国王陛下直属の誉れ高き騎士団だ。
 とはいえ、実務があるのは彼が指揮する第二中隊から。騎士団長が所属している第一中隊は、有力貴族の子弟たちに「国王直属部隊での奉職」という名誉と人脈を与えるためのお飾り部隊なのだという。

「俺としては、コネのために七面倒くさい叙勲だのなんだの受ける連中の気が知れないけどね。俺は最初から、騎士として身を立てるつもりだったから」

 本来なら、七大貴族の人間として彼も第一中隊への配属が決まっていたのだという。
 だが、どうにも肌に合わずに第二中隊に移動し、今ではその部隊を任されるほどの実力を手に入れた。
 ……軽薄そうに見えて、彼は案外努力家なのだ。

「それより、どう? このプディング」
「ん、すっごく美味しい。森の中だと、こんなに甘いものって食べられないから」

 果実の甘味よりも甘い、舌が痺れるくらい美味しいプディング。
 蕩けてしまいそうな舌触りも、焦げたカラメルの香りも、なにもかもが極上といえる。

「そっかそっか。マリエッタが美味そうに食ってくれると俺も嬉しいけど――なぁ、一つだけ聞いてもいい?」
「ん、なぁに?」

 甘いプディングに舌鼓を打ってから、その甘さを爽やかなハーブティーで流す。
 すっかり満足して顔を上げた私に、ハインツが笑いかける。
 ……こういう時は、必ずと言っていいほどろくなことがない。彼の訪問を何度も受けていて、結局はこういう流れになってしまう。

「そのプディングと俺の精気って、どっちが美味いの?」

 そして私は、彼からのわかりやすいお誘いを断れない。
 結局、悲しいほどに彼に懐柔されてしまっているのだ。

「――食べ比べ、してみたいな」

 少し高くなった声でそう答えると、ハインツは満足そうに笑って私の手を握ってきた。

「ん――ぁっ♡あ゛、なん、でっ……♡♡わ、私が食べるんじゃ――」
「後で腹いっぱいにしてあげるから、少しくらい俺に味わわせてくれたっていいだろ?」
「や、ぁっ♡♡そ、こでっ……♡しゃべらないでぇっ♡♡」

 ぴちゃっ♡ぴちゃっ♡♡と艶めかしい水音が、ベッドが置いてある部屋の中に響いた。
 さっそくと言わんばかりに私を寝台に寝かせたハインツは、魔法のような手際の良さで服を脱がせてしまった。

「ぁ♡あぅっ♡♡これっ……し、舌、おちんぽみたいにでたりっ♡入ったりして、ぇっ♡♡♡」
「入口のところで、ちょっと遊んでるだけだよ。指より浅い場所だろ?」
「ひ、ぁあぁぁっ♡♡♡やっ♡だめっ♡おまんこ舐めない、でぇっ♡♡♡」

 なにを思ったのかいきなり足の間に顔を寄せた彼は、まだ濡れていなかったその場所を執拗に舌で責め立てた。
 本当だったら、私の方が彼のおちんぽを口で慰めるのに――彼に同じことをされると、頭の中が痺れて溶けてしまいそうになる。

「ぉ゛♡あっ♡♡やめ♡ぇ゛ッ♡♡♡」
「マリエッタ、感じすぎ――クンニされるの好き? 俺にこうして、犬みたいにペロペロされるの好きなんだ?」
「ち、がぁっ♡あ゛♡ぁえっ♡♡♡クリトリス摘ままないれぇっ♡♡」

 ぢゅるるるっ♡♡と溢れてくる蜜を啜りながら、ハインツが勃起したクリトリスを指で押しつぶしてくる♡

「お、ほっ♡♡ぉ゛ッ♡♡♡だめだめだめぇっ♡それイく♡すぐイッちゃうからやめてぇぇっ♡♡♡」

 おまんこを生温かい舌で舐られながら、指先でぐにぐにっ♡とクリトリスを刺激される。
 一気に快楽の許容値を突破されて、私はあえなくそのまま絶頂を迎えてしまった。

「あ゛♡ぁぇ゛ッ♡♡はーっ♡♡はーっ♡♡♡」
「感じすぎだよ、マリエッタ――この前も手マンだけで何回イッたっけ」
「お、ぼえてる、わけっ……♡」
「俺の手で三回もイったの、もう忘れた? 寂しいなぁ。アンタのこと、あんなに気持ちよくしてあげたのに」

 そんなこと、覚えていられるわけがない。
 だって彼は、いつだって私のことを前後不覚になるまで犯し抜くのだ。最後の方は記憶もあいまいになっていることだって多い。
 だけど――その度に、私の体はひどく満たされる。これが並の人間だったら、精気を絞りつくされて死んでしまうことだろう。

「まぁ、忘れるっていうんなら何度でも思い出させてやればいい。……そうだろ?」
「そんな、のっ――ッあ♡や、ぁあっ♡♡♡」

 ぐにぐにぐにっ♡とクリトリスを指で捏ねまわされて、体がびくんっ♡びくんっ♡♡と大きく跳ねた。
 ハインツは私の弱い場所を的確に把握していて、いつだって丁寧にその場所に触れてくる。ポルチオも弱いと気付かれた時は、それはそれは大変な目に遭ったりもした。

「ぉ゛ッ♡お♡ぁ、ハインツっ……♡♡」
「なに、やめてほしい?」
「やめ、ないれぇっ♡♡もっと気持ちよくして♡♡子宮切ないの♡勃起したクリちんぽ♡ハインツに気持ちよくしてもらいたいの♡♡♡」

 ずりずり♡と指先で勃起クリトリスを嬲られる――耐えがたく強烈な快楽に、私は呆気なく屈してしまう。
 唇の端から涎をこぼすのもそのままに、私はへこへこと腰を振って彼に懇願していた。

「クリちんぽね……まぁ、こんだけ勃ってたらちんぽって言った方がいいかもなぁ」
「お゛ッ♡ほ、ぉおおっ♡♡♡ぁ゛ッ♡これ♡きもちよすぎ、りゅぅっ♡♡♡」

 しこしこしこっ♡♡くにゅっ♡♡むにっ♡むにっ♡♡♡
 それこそおちんぽみたいに勃起したクリトリスを、ハインツは執拗に指で扱きあげた。
 更にそれだけでは飽き足らず、これ見よがしに突き出した舌で淫核をずろぉ……♡と舐め上げてくる――♡

「ひぁあ゛ッ♡♡あ゛ぇぇッ♡りゃめ♡そ、れはぁッ♡♡♡クリフェラやめてぇぇっ♡♡♡」

 ぢゅるるっ♡と音を立ててクリトリスにしゃぶりつかれ、舌でぬろぬろとその場所を舐め上げられる。
 高められた体は、とっくに限界だった。

「や♡やりゃ、ぁっ♡♡も、イく♡おまんこ舐められただけでイっちゃう♡♡♡」
「本当に感じやすい体してるんだな――いいよ、俺の前で、マリエッタの可愛いところいっぱい見せて……そのうち、手を繋いだだけでイっちゃったりして」

 あながち全くないとも言えないようなことを囁かれて、体がまたジンと熱くなる。
 少し骨ばって大きな彼の手に触れられたところを想像しただけで、おまんこがきゅんきゅんっ♡と切なく疼いた。

「ぁ♡や、めぇっ――♡♡」
「イけ♡♡♡」

 ぷぢゅっ♡とクリトリスが押しつぶされて、堰を切ったように愉悦の奔流が押し寄せてくる――♡

「ぃ、ひァあっ♡♡イく♡イくっ♡♡らめら、ってっ♡これだめ♡♡♡お゛ッ♡あ♡♡あ゛~~~~~っ♡♡♡」

 イっても、イっても、また気持ちよくなる♡イくの、止まらなくなっちゃった♡♡

「またっ♡まらイくぅっ♡♡クリちんぽいじめられてイくのぉっ♡♡ぉひっ♡あ、へぇっ♡♡♡」

 盛大に絶頂を極めた私を、ハインツが嬉しそうに見下ろしている。
 最初は冷たい印象を抱かせた瞳も、今となってはきらきらと輝く朝焼けの海のようだと思えた。

「やっぱりマリエッタがイくところ見るの、好きなんだよなぁ。普段はあれだけ真面目なのにさ」
「ん゛ぉ、ッ♡お、お腹撫でない、でぇ……♡♡」
「ここ性感帯だもんな? 上から押しただけで、腰ヘコヘコさせて可愛い――」

 降り切った子宮を、お腹の上からコリコリと撫でられる。
 絶頂を迎えた体はその刺激にすら貪欲で、早くその場所を思い切り突き上げてほしいとねだっている。

「俺のマリエッタ――そうだ、最近体の方はどう? 魔力切れって、あれからよくなったわけ?」
「……ぅ、体は、平気――むしろ前よりも……」

 はふ、と息を吐いてからゆっくりと頷く。
 そう――あの日、初めてハインツとえっちをした時から、体の調子はすこぶる快調だった。それどころか、しっかりと精気を摂取したことで以前よりも複雑な魔術やまじないを行うことができ、薬の性能も向上した。

「そっか、よかった。俺でもアンタの役に立つことができてるんなら――」
「ハインツじゃないと、ここまでは――じ、実際できることも増えたから、それはとっても感謝してる」

 セックス自体は毎回激しいが、おかげで得ることができる精気もかなりのものだ。
 大規模な魔術に、複雑な仕様の魔法薬は、それだけで大量の魔力を消費する。ハインツのおかげで、それらも少しずつこなせるようになってきた。

「でも、魔術の探求に終わりはないわ。これからももっと――って、ハインツ!」
「うんうん、つまりはもっと頑張りたいってことだろう? それなら俺も協力するよ。……アンタのそういうひたむきなところ、大好きだからさ」

 言葉だけを聞いたら、単純にありがたい申し出だと言えただろう。
 だけどハインツは目元を蕩けさせたまま、下履きの中からバキバキに勃起した長大なおちんぽを取り出した。

「俺のこと使って、もっと強くなりなよ。協力は惜しまないから」
「そ、それはどうも――ありがたい、けどっ……♡」
「ありがたいけど、なに? 俺のちんぽに期待してまんこヒクつかせてるくせに、まだなんか言いたいことが?」

 ずりっ♡ずりっ♡♡と内腿に肉杭を擦りつけられて、背筋がぞわぞわと粟立つ。
 何度も何度も、このおちんぽに快楽を突きつけられてきた。彼しか知らない私の体は、熱を感じ取っただけで浅ましく期待してしまう。

「――俺以外の男から搾り取ろうとか、思わない方がいいよ。絶対満足できないから」
「な、んんっ……♡」
「俺ももう満足できない――誰に声を掛けられても、ずーっとアンタのことが頭によぎるんだ。おかげで禁欲生活強いられてるんだけど……責任取ってくれる?」

 そんな責任まで取らないといけないのか――口からこぼれ落ちる嬌声をそのままに、ハインツのされるがままに抱きかかえられた。

「俺の上に乗ってよ。自分で腰振ってみて」
「ぁ――あの、そんなっ……♡お、おもい、し……」
「重くないから大丈夫。マリエッタは軽い方だし、俺だってそこまでヤワな体じゃないから。ほら」

 ぺち、と下腹部に軽くおちんぽを当てられただけで体が反応してしまう。
 抗えない熱に小さく頷いた私は、軽く腰を持ち上げて切っ先を割れ目に突き付けた。

「は、ふぅっ……♡♡あ゛♡これっ、ん♡ん゛ぁあっ……♡♡♡」

 ずにゅぅっ♡ぬぷぷっ♡♡ずり♡ずり♡♡ごちゅんっ♡♡♡
 愛液が潤滑油になり、更に自重も相まってスムーズにおちんぽが挿入される。
 いつもと違う角度で突き立てられた肉の杭は、正常位でのセックスに比べると圧迫感がかなり強い。

「お゛、ッ……♡♡♡」
「うわ、これすごいな――マリエッタのむちむちおっぱい、下から見たらすごい迫力だ」

 柔らかいねぇ、と笑いながら、彼はずっしりと重たい乳肉を持ち上げた。
 服の上からでもわかってしまうくらい大きなそれは、肩がこるばかりであまり好きではない。

「やぁ♡あっ♡♡んぁっ♡♡」
「ほら、俺も動くけど、マリエッタも自分で動いて。絶対に気持ちいいから」

 命じられるまま腰を振ると、確かにより深い場所までおちんぽが埋まってくるような気がした。
 足をM字に開いたいやらしい格好だというのに、それが気にならないほどの快楽が押し寄せてくる。

「ひお゛ッ♡ふ、かいぃっ……♡あっ♡ぁはっ♡♡これすごい♡きもちいの、しゅご、ッ♡♡♡」

 どちゅっ♡どちゅっ♡♡ぬぽぬぽぬぽっ♡♡♡ずりゅっ♡♡
 自分の中の深い部分を暴かれるような感覚――下から思い切り突き上げてくるおちんぽは、弱点であるポルチオを的確に刺激した。

「やぁ♡あ゛ッ♡ハインツっ……♡♡♡もっと♡もっと――♡♡♡」

 ばつっ♡と大きく突き上げられるごとに、おまんこが喜んで彼のおちんぽを締め付けた。手放したくないとでも言いたげに絡みつく媚肉に、彼も苦笑じみた表情を浮かべる。

「焦らなくても、全部あげるから――もっともっと、気持ちよくなりたいんだろう?」

 こくこくと頷きながら、上下だけではなく前後にも動いてみる。
 そうするとナカの擦れる場所がまた変わって、新しい快楽が生み出された。

「んぉ♡お゛~~~~ッ♡♡♡ハインツ♡ハインツのおちんぽ♡♡♡ナカごりごりってしゅる♡♡ンぁっ♡♡子宮口に♡ちゅーってされるの好き♡♡おちんぽディープキスすきなのぉっ♡♡♡」
「ちゅーって、こんな感じ?」

 ぎゅっと私の手を握ったハインツが、ぐりぐりぐりっ♡と切っ先を子宮口に押し付けられる。
 それだけで軽くイってしまったのだが、彼はその後大きく腰をグラインドさせた。

「あ゛ぇえっ♡♡♡らめっ♡ぐりぐりってした後でおちんぽズコズコしちゃらめぇっ♡♡♡イくのっ♡またっ♡♡♡さっきイったばっかりなのにぃっ♡♡♡」
「一回しかイっちゃダメなんてことないだろ? 突き上げるたびにマシュマロおっぱいたくさん揺れて、めちゃくちゃエロいからさ――」

 ずんっ♡ずんっ♡♡と力強くピストンされて、頭の中が真っ白になる♡
 甘イキだけでは到底許してもらえるはずがなくて、まるで楔を打ち込まれるかのように最奥を何度も突き穿たれた。

「やっ♡や゛あぁっ♡♡♡腰とまんないっ♡♡イってるのにえっちな腰振りしちゃうのっ♡♡♡あっ♡ッお゛♡ほ、ぉおっ♡♡♡」

 思考が焼き切れて、理性が爆ぜる。
 みっちりと膣内を埋め尽くすおちんぽの感触に酔いしれながら、私はひたすら腰を振ってハインツのことを貪った。

「ぃうぅっ♡♡♡イくイくイくっ♡♡♡またアクメきちゃう♡♡」

 バチバチっ♡と頭の中でなにかが爆ぜるような音がして、強烈な絶頂が襲い掛かってくる――♡
 ハインツの上に跨ったまま体をこわばらせた私は、その波がザッと引いた後で体力の限界に達し、そのまま崩れ落ちてしまった。

「ぁ、うっ♡んぁ♡♡」
「相変わらず盛大なイキっぷりだなぁ――でもほら、起きて。まだ俺がイってないだろ?」

 お腹、空いたままでいいの?
 状態を起こしながら、ハインツがそう尋ねてくる。正直連続絶頂のせいでそれどころではないのだけれど、言われてしまうと口の中に涎が溜まってきた。

「ん、ふぇ……♡♡せーえき、ほし……♡♡♡」
「だよな? ……じゃあおねだりして? 俺にマリエッタのとろとろおまんこ犯してほしい、子宮いっぱいになるくらいまで射精してって言ってごらん」

 力の抜けた私の体を抱き留めて、耳元でハインツが囁く。
 ――まるで、媚薬のような声。毒薬のような言葉。

「……ぁ」

 だけど、どうやったって逃げることはできない。私はとっくに、彼の虜になっていた。

「俺を欲しがって、マリエッタ」

 すり……と太腿を撫でられて、理性が決壊する。
 いや、そんなものはもうとっくに崩れ果てていたのかもしれない。――魔女に、理性だなんて。

「お、おかし、てっ……♡マリエッタのおまんこ、ハインツのおっきなおちんぽでいっぱい犯してほしいの♡♡♡お腹の中も、こ、こってり精液でいっぱいにしてもらいたい、ですっ……♡♡」

 懸命におねだりをしながら、彼の喉元に唇を押しつける。戯れに軽く歯を立ててみると、薄い皮膚の下で彼が低く笑った。

「お望み通り、ナカまでたっぷり愛し合おう」

 軽く抱きしめられて背中を撫でられた後は、うつ伏せで寝台に転がされる。その際におちんぽが抜け落ちてしまって、私はそこでまた一度イってしまった。
 呼吸が苦しくないようにと、しっかりクッションまで宛がってくれる辺りは本当に手馴れていると思う。

「あ、ぁっ♡♡は、やくぅっ……♡♡」
「わかったわかった。逃げたりしないから安心して」

 いやらしく腰を突き上げた体勢の私は、お尻を振りながら再びおちんぽを挿入してほしいと懇願する。
 物欲しげに開閉を繰り返す蜜口からは、待ち切れずに愛蜜がしたたり落ちていた。

「ハインツ♡早くおちんぽちょうだ、ぃっ♡♡♡ハインツにいっぱいにしてほしいの♡♡♡」
「もちろん――余すことなく、全部くれてやる、ッ……♡」
「あ゛ぉっ♡♡あ゛ッ♡あ♡♡♡入ってる♡♡いきなり奥まできてるぅっ♡♡♡」

 ぬ゛こっ♡と低い音がしたかと思ったら、お腹の中を一撃で満たされてしまう。
 宛がわれたクッションに顔をうずめて快楽をやりすごそうとしたが、彼はゆっくりと、刻みつけるように重たい律動を繰り返しながら膣奥を責めた。

「ん゛ッ♡ん゛ぉ♡♡♡ぅ、うぅっ……♡♡」

 ぬ゛~~~~♡どちゅんっ♡♡ぬ゛ぅ~~~~♡♡どちゅんっ♡♡♡
 深くて重たい抽送に、息もできなくなってしまう。
 手加減なんてまるでない本気のピストンに、射精の予感を感じておまんこが疼いた。
 ――また、たくさんナカに出してもらえる♡

「ッ♡お゛♡♡んんぅっ♡♡っふー♡ふーっ♡♡♡」
「こら、息止めちゃだめ――苦しくなるんだから、ちゃんと呼吸し、てっ♡♡」
「お゛ぁっ♡♡♡ぁ゛ひっ♡♡やぁあっ♡♡♡らめっ♡ピストンしゅごいのっ♡♡♡こんな重くてッ♡気持ちいいのいっぱいされたらぁっ♡♡♡こわれる♡イきすぎてしんじゃうぅっ♡♡♡」
「腹上死か……まぁ、一緒に死ぬっていうんなら、ロマンはあるけど」

 私の腰をしっかりと押さえたまま、ズッ♡ズッ♡♡ズッ♡♡♡とおちんぽを打ち込まれる。

「あ゛ぅっ♡♡♡おも、いぃっ……♡♡」
「死ぬほど愛してるけど、死ぬつもりはないよ。だって死んだらもう、アンタのことを愛せない」

 そうだろう? と尋ねながらピストンを繰り返されて、意図しない声が押し出される。

「く、おぉ゛ッ♡♡お♡ひっ……♡♡♡」
「ナカ締めすぎだって。……何回抱いても、俺のことぎゅうぎゅう締め付けてきてさ。ホント可愛い」

 腰を押さえつけられて本気ピストン♡子宮口にハインツのおちんぽいっぱいキスしてくるっ♡♡♡

「ぁ、えっ♡♡奥ッ♡♡も、げんか、ぃっ……♡♡」

 されるがままになりながら、息も絶え絶えにそう呟く――すると、一瞬ハインツの動きが止まった。

「ン――俺も、そろそろ出そうだから……一緒にイこ?」

 蕩けるように甘い声で囁かれた次の瞬間、狂おしいほどに激しい突き上げが視界を揺らした。

「ぁ♡あっ♡♡♡ん、ひぃぃっ♡♡♡ぉ゛ッ♡やみぇっ♡ぁ♡♡♡子宮つぶれちゃうぅっ♡♡♡」

 最後のスパートと言わんばかりに激しい抽送を繰り返されて、クッションに目一杯顔を埋めながら叫んだ。
 こんなに激しくて気持ちのいいセックスを教え込まれたら、もう妥協なんてできない。淫魔でもないただの人間とのセックスでここまでされたら、他の男の人なんて――。

「潰れないよ。大丈夫だって」

 明るい、けれど普段の余裕はない艶やかな声が、鼓膜を揺さぶっていく。

「だってもう、マリエッタのまんこは俺専用でしょ? 俺以外の男連れ込んでるならまだしも――真面目なアンタはそんなことしない。違う? 俺以外の男と、こうやってセックスした?」
「し、てなっ……んへっ♡ぇ゛あ♡あ゛ッ♡♡♡できるわけ、ないでしょっ――こんなセックスッ♡他の人じゃ、もう――ッは、ぁうぅっ♡♡♡」

 想像できない。できるはずがない。
 彼以外の男の人と、いくら精気をもらうためだからって、こんなこと。
 ハインツが言う通り、私の体はすっかり彼専用になってしまった。

「そう。そうだよな? マリエッタがこうやってセックスするのも、可愛い声で名前呼んでくれるのも俺だけなんだよな?」
「そう、ですっ♡♡♡ハインツだけ♡あなただけだからぁっ♡♡♡」

 ――心だって、徐々に絡めとられていく。
 私は魔女なのに。男を篭絡して糧を得る生き物なのに。

(いつ、から……)

 名前を呼んでほしいと請う姿も、時折嬉しそうに目を輝かせるところも、思い出す度に心臓が苦しくなる。
 きっと最初から、私は彼に囚われていた――その深みに沈んでしまった以上、もうきっと逃げられない。

「ハインツしか、いらない……♡」
「――マリエッタ」

 名前を呼ばれただけで、下腹部が疼く。
 掠れて震えた声が耳朶に絡んだすぐ後に、ハインツが深く息を吐いた。……まるで、そのまま泣いてしまうんじゃないかと思えるほどに弱々しい表情だ。

「あは――俺も……俺も、マリエッタしかいらないよ。他のなにもいらない。立場も、名前も――マリエッタさえいれば、なにもいらない……!」
「ッ、あ――♡♡♡ぁ、ぇっ♡♡あ゛♡熱いの、いっぱいきてるぅっ♡♡ぉ゛♡んんっ……♡♡」

 ぶびゅっ♡びゅっ♡♡ぶちゅぅっ♡♡びゅーーーっ♡♡♡ぼぢゅっ♡♡♡
 熱い飛沫が子宮に叩きつけられる感覚を、全身で感じとる。

「は、ふぅっ……♡」

 息を吐いたら体から完全に力が抜けて、起き上がれなくなってしまった。
 熱を失ったおちんぽはまだ私の中にあって、背後から甘えるようにハインツが抱き着いてくる。

「んぁ、っ……♡ハ、ハインツ? 大丈夫……?」
「うん。俺は平気――アンタがあんまり可愛いこというから、そのまま出しちゃった。もっといっぱい可愛がるつもりだったのに」

 背後にいる彼の表情をうかがい知ることはできなかったけれど、お腹に回された手がしっかりと体を抱きしめてくる。
 最初は彼から精気をもらうだけ――そう思っていたのに、いつの間にか私の方が絡めとられてしまった。さほど力の入っていない腕の中からは、もうきっと逃げだせない。

「ハインツ」
「……ん?」
「キスして。それから、もう一回えっちしよ?」

 彼が言った通り、私はもう彼専用だ。今もお腹の中にある甘くて温かい気配を感じながら、私はそっと背後を振り向いたのだった。

● ● ●

「マリエッタ、マレトニアス伯爵から発注来てるけど――育毛剤、向こう三か月分欲しいって」
「あのね、ハインツ……いくら魔法薬でも、用法容量を守らないと効果は出ないし――あなたから伯爵様に、なんとか言ってもらうことはできないかなぁ……」
「俺が言ったところで聞きゃしないって。伯爵もお気に入りの鬘屋に頼むよりマリエッタの方がいいって言ってるんだから」

 大口顧客からの注文は、ちょっとだけいつもの魔法薬よりややこしいことが多い。
 はぁ、と息を吐いた私は、手元の羊皮紙に名前と薬品名を書き込んだ。帳簿にしっかりとメモを取っておかないと、なんの薬を作ってなにを作っていないかが把握できない。

「それと、王妃様から美容液の発注もきてるな。病院への納品が終わってからでいいとは聞いてるから、それほど急ぎじゃない」
「それは助かるけど――結構かかりそうだから、先にお礼だけお伝えってできる? 来週から見習いの魔女が三人来て、作業を手伝ってくれることにはなってるんだけど」

 幽幻の森にすむ魔女の薬は、万病に効くらしい。
 そんな噂が王都を席巻しだしたのは、二年ほど前のことだった。傷病兵のための魔法薬を作れないかとハインツにお願いされた私は、普段のお礼にとハインツに薬を持たせた。
 すると、怪我に苦しんだり、戦いの後遺症に悩まされていた兵士たちが次々と回復した――その噂を聞き付けた貴族たちが、私の元に薬やまじないを依頼してくるようになったのだ。

「病院への傷薬、材料はそろってるからすぐにでも作れるんだけど――やっぱり手が足りないの」

 更に、七大貴族家出身のハインツがそれを用意したというのが更に効いたらしい。発注は次々と舞い込み、小さな住居兼工房は人を招いて数人住まわせられるほどの大きさになった。

「俺が手伝えたらいいけど、こればっかりはなぁ……でも、その見習いの魔女ってのはちゃんと薬を作れるんだよな?」

 発注をまとめてくれたハインツは、私の仕事が忙しくなったのを見て騎士団を辞した。彼は魔術を使えないながらも、商売に疎い私の代わりにしっかりと仲介や在庫の管理などをしてくれている。この辺りは私の苦手分野なので、彼が支えてくれるようになってから本当に仕事が楽になった。

「うん。見習いって言っても、自分の工房をまだ構えてないってだけだから……私のところで働いたら、お給金を出してあげられるでしょう? それで工房の開設費用にしてもらおうと思って」
「なるほど……その魔女たちって、ここに住むの?」
「少しの間ね。私の仕事が落ち着くまでだけど――ハインツ、見習い魔女の子たちと浮気しちゃだめだよ」

 そしてなにより、私の身の回りで起きた大きな変化。
 それはハインツが、この家で私とともに暮らし始めたことだ。

「浮気? そんなことするように見える?」
「だってハインツ、前は結構遊んでたんでしょ……?」
「それは昔の話。俺も若かったからさ――今は国一番の美女が裸でベッドに横たわってても、華麗にスルーできるね」

 国一番の美女が裸で横たわっていたらそれはそれで恐怖だと思うけど、とにかく今は心配する必要もないらしい。
 最初はアレクサンドラ侯爵家から使いの人が何人もやってきたけど、彼は結局すべてを投げうって私の側で暮らすようになっていた。そして私も、今がこれ以上なく居心地がいい。

「――よし、これで前にもらってた薬の発注は大丈夫だと思う。こっちは火傷用の傷薬だけど、ちょっと効き目が強いから運搬に気を付けて」
「了解。明日の朝、馬車に積んで運ばせるよ」

 出来上がった魔法薬を詰みこんで、馬車で運んでもらう。
 一日に作ることができる薬の量はある程度決まっているので、今日の私の仕事はここで終わりだ。
 私の仕事が終わればハインツの仕事も終わるので、基本的にはここから夜までゆっくりと過ごす。家の中がかなり広くなったのに合わせて、食事を作るキッチンなども設備投資することができた。

「ハインツ、今日の夕飯だけど――ハインツ?」
「あぁ、夕飯は――この前猟師の奥さんが産気づいただろ? その時にアンタが助けてくれたお礼って、立派な鹿肉もらったんだ。綺麗にしてもらったから、今日はそれで何か作るよ」

 有名貴族の出身であるにもかかわらず、ハインツも料理ができる。
 騎士団時代に野営が多かったということもあって、基本的な調理を学んでいたらしい。

「ジ、ジビエ料理……!」
「新鮮な肉だったから、絶対に美味い。……それはそれとして、だ。マリエッタ――その、もうすぐ見習いの魔女が来るって言ってたけど」
「うん――それがどうかした?」

 薬瓶を綺麗に納品用の箱へと詰め込んだハインツが、なにか言いたげな表情で私に近づいてきた。
 もったいぶった口調になにがあったのかと首をかしげると、おもむろに体を抱きしめられる。

「ハインツ……?」
「その間、アンタのことを独り占めできないってことだ。見習いが家の中にいるのに、自由にセックスはできないだろ」
「……あー、そういう……」

 確かに、まだ独り立ちしていない魔女見習いたちが家にいる状況でのえっちは流石に憚られる。

「数日間お預けだもんなぁ。毎日セックスしてるのに、ここに来ての禁欲生活は正直キツいって。マリエッタも、数日精気の補給ナシってのは辛いだろ?」
「んっ……♡」

 すりすり、と軽く腰を撫でられて、体がピクンと跳ねた。
 確かに――今日を逃したら、しばらく彼と一緒にえっちはできない。そう思うとなんだか寂しくなってしまって、そっとハインツの胸に体を預けた。

「そう、だね……うん……」

 お互いの心臓が、強く脈打っているのがわかる。
 小さく頷くと、そのままハインツが私の体を抱え上げて寝所まで向かってくれた。
 新しい家のベッドは随分と大きくなって、私と彼が二人で寝転んでもかなり余裕がある。

(前のベッド……ハインツが激しくしたせいで真ん中折れたし……)

 とにかく柔らかくて頑丈なベッドの上に下ろされると、彼は手際よく私の服を脱がせていく。
 こういう時のハインツは、プレゼントの包装を剥がす子どもみたいな表情をしている。
 着ていたローブやシャツが全て脱がされると、外気に触れた肌が少しだけ震えた。それと同時に、額や唇、鎖骨などに次々と唇が落とされる。

「っん♡ぁ♡」
「キスだけでトロットロになるくらい、マリエッタはキス好きだもんな? そのうちこれだけでイきそうなくらい――」

 ちゅっ♡ちゅっ♡と体のいたるところにキスをされて、くすぐったさともどかしさで体が揺らめく。

「ん、すきぃっ……♡キスするとき、ハインツが嬉しそうだし――」

 キスが好きなのは私だけじゃない。むしろハインツの方が楽しそうにくちづけを繰り返しているのだが、彼はあまりそのことに気付いていないらしい。

「そうかな? あぁ、でも――そうなんだろうな。アンタにそう見えてるってことは……昔はキス、あんまり好きじゃなったんだけど」

 そう言いながら、ハインツは私の唇をついばんだ。
 何度も触れるだけのくちづけを落とされた私の体は、徐々に熱を持って潤み始める。このくちづけは、互いの体を重ね合わせるためのスイッチのようなものだ。

「ぁ、むっ♡んっ……♡んふ、ぅっ♡♡ちゅっ♡」

 鼻にかかった甘ったるい声は、既に私自身がひどく欲情していることを示している。いぶし銀の髪が視界の端でちらちらと揺れ、色白の肌がにわかに赤く染まると、私の中でも理性の箍が外れてしまうのだ。
 いや――そうなるように、ハインツに教え込まれた。

「んぁ……♡キ、キス、嫌いなの?」
「今は好きだよ。昔はなぁ……変に勘違いされることも多かったから、嫌いだった。どうせ相手が見てるのは、俺の後ろにある実家だから」

 唇が離れると、ハインツが軽く息を吐いて肩を竦めた。
 一緒に暮らすようになってわかったことだけれど、彼は――彼個人を必要とされてきた経験が、あまりにも少ない。
 騎士団の第二中隊を率いていたのもそうだろう。貴族としてのお飾りの部隊ではなく、個人の力量を示すことができる場所に身を置きたい。そう考えていたのもうなずける。

(私たちには、よく理解ができないけど――)

 魔女は人間と隣接した世界に住んではいるけれど、価値の基準は純然な実力だけだ。家柄とか貴族とか、制度としては知っていても理解ができないことの方が多い。

「……何考えてんの?」
「ハインツのこと」
「そう――嬉しいな。そのまま俺のこと以外考えられなくなっちゃったらいいのに」

 長い指先が、胸からお腹にかけてのラインをそろそろとなぞる。
 くすぐったいような感覚に身をよじると、はたとその動きが止まった。

「ッぁ゛♡あっ♡♡♡」

 ぐり……♡と押し込まれたのは、ちょうど子宮の位置――前から弱点だったポルチオも、彼との暮らしでより深いところまで開発されてしまった。
 今ではお腹の上からそこを撫でられただけで、痛いほどに下腹部が疼いてしまう。

「んぁっ♡や、ハ、ハインツっ……♡」
「ポルチオ責められるの、気持ちいいから好きなんだよな? ほら、どんどん濡れてきた。……見なくてもわかるだろ?」

 低く笑ったマインツが、空いているもう片方の手でおまんこに触れてくる。
 既にその場所はしとどに濡れていて、指先が揺れるだけでちゅぷりと水音を奏でた。

「ぁ、うぅっ……♡♡や♡お、お腹グリグリされるのっ♡弱い、からっ……♡」
「知ってる――俺がそうさせたんだから。マリエッタの体で、俺が知らないところなんて何もない」

 指先と、それから手のひらで軽くお腹を押し込まれる――それぞれお腹を撫でてくる強さが違うから、生み出される快楽も異なっていた。

「ん゛ッ♡ぁ♡あぁっ♡♡♡ぽ、ポルチオ刺激しながらおまんこ触っちゃっ……♡ンぁあっ♡」

 丁寧に快楽を教え込まれたその場所を的確に刺激され続けて、生理的な涙が溢れ出してくる。
 視界を歪ませながら頭を振ると、ハインツが唇でその涙をぬぐってくれる。

「ひ、ぁ……♡やら、ぁっ♡♡もっ……ゆ、指じゃ足りない、の……♡♡」
「じゃあどうしてほしい? またクリフェラでイかせてあげてもいいけど」

 意地悪な返しをするハインツは、確実にこの状況を楽しんでいる。
 体が既に火照っているのも、膣奥からどんどん愛蜜が溢れてきているのも、彼は知っているはずなのに。

「ッ~~~~♡お、おちんぽが、いいっ……♡ハインツのおちんぽでっ♡おまんこどちゅどちゅってしてほしいのぉっ……♡♡♡指じゃ寂しいよ……♡」

 この淫らなおねだりに、羞恥を覚えなくなったのはいつからだっただろうか。
 快楽に蕩けた頭じゃ、舌ったらずに口を動かすので精いっぱいだ。
 胸の谷間にじっとりと汗をかき、呼吸を荒くしたまま懇願すると、ハインツは満足そうに目を細めた。

「そんな風におねだりされたら、断れないよな――」

 目元をトロンとさせたハインツの姿は、普段にもまして色っぽい。
 ゴクッ♡と唾液を飲み下した彼は、既に勃起しきったおちんぽを取り出すと、私の手を取ってそれを握らせた。

「ぁ、あうっ♡♡」
「ドクドクいってるの、わかる? マリエッタがこうさせたんだ……ちゃんと触って、ね?」
「う、ん……♡あっ♡あつ、ぃっ♡♡♡んぅっ♡♡」

 ぬちっ♡ぬちっ♡♡♡ずちゅずちゅずちゅっ♡くちゅっ♡♡
 熱い肉の塊に指を這わせて、それを上下に扱きあげる――お腹につきそうなほどに反り立ったおちんぽは、刺激を与えるたびにピクビクと卑猥に跳ねていた。

(先走りもいっぱい出てる……♡カウパーおいしそう♡♡♡)

 さらさらとした透明な液体がどうしようもなく美味しそうに見えて、思わず唾を飲み込む。そのまま唇を開こうとすると、ハインツが大きな手を私の口元に当てた。

「ん……」
「今フェラされたら普通に射精しそうだから、もうちょっと我慢」
「ん、ぎゅぅっ♡♡ん゛むっ♡、ぅううっ♡♡♡」

 ぷちゅっ♡と切っ先が押し当てられたのは、こちらも限界まで敏感になっているクリトリスだった。
 くにゅくにゅと先端で肉芽をつつかれて、一気に体が火照ってきてしまう。

「ぉ゛ッ♡ん゛んぅっ……♡♡や、ぁああっ♡やめっ♡んくぅっ♡♡♡あっ♡あ♡♡♡おちんぽでクリちゃんにキスしちゃっ♡あっ♡♡♡」
「キス好きだって言っただろ? ほら、手もちゃんと動かして、俺のことも気持ちよくして?」
「ら、ってぇっ♡♡♡こんなの、んぁっ♡♡」

 とっくに指先には力が入らなくなって、ハインツのおちんぽに触れることすらできなくなってしまっている。

「じゃあ俺が勝手に動かしていい? こうやって――マリエッタに触られるの、好きなんだ」
「ひゃ、めぇっ……♡♡♡」

 力の入らない私の手を取ったハインツは、そのままそれを自分の肉茎に沿わせた。
 ゆるゆると彼が腰を振り始めると、おちんぽに触れた手のひらがにぢゅにぢゅにぢゅっ♡と卑猥な音を立て始める。

「あっ♡♡や、ぁんっ♡♡ぉ゛ひ♡だめっ♡だめぇっ♡♡♡」

 脈動するおちんぽの熱が、皮膚の薄い手のひらから伝わってくる♡
 尖端でグリグリってクリトリス刺激されるだけでも気持ちいいのに♡体全部犯されてるみたいな感覚になるぅっ……♡

「や、らぁっ♡これっ♡このおちんぽ♡♡♡おまんこに挿入れてほしいのにっ♡♡ほしい♡♡ハインツ♡♡♡ハインツのおちんぽちょうだい♡クリだけじゃなくて、ナカにもっ……♡♡」

 はふっ♡はふっ♡♡と息を荒げながらの懇願を彼はあっという間に受け入れてくれた。
 先走りで濡れた手をぱっと離してくれたかと思いきや、両足を抱え上げて割れ目にぺちぺちとおちんぽを当てられる

「んっ♡♡♡ぁ♡はやくっ……♡♡ハインツに、お腹の奥までいっぱいにしてもらいたいの……♡♡♡」

 もったいぶって焦らされるのが切なくて、腰が艶めかしく揺らめいた。
 するとハインツは、私が望んだようにぬぷぬぷっ♡と肉杭を蜜口に突き立ててくる。

「んぁあっ♡♡♡あひっ♡あっ♡♡ハインツ♡おっきいのずぶずぶってきてるっ……♡♡♡」

 ぬ゛ぷぅっ♡♡ぢゅこっ♡♡ぢゅぷぷっ♡ぬ゛ぷぬ゛ぷ♡♡ごちゅっ♡♡♡
 緩慢ながらも確実に奥を突き進む楔は、的確に弱い場所を突き上げてくる。
 彼が言った通り、私の体の弱い場所はすべて把握されている――だからこそ、ハインツはその場所ばかりをじっくりと責め、私のことをぐちゃぐちゃにしてしまうのだ。

「ひぁ♡あんっ♡♡♡はげしっ……♡♡ん゛、ひぃっ♡♡♡」
「ナカ、温かいなぁ――マリエッタに包まれるの、大好き。俺のこと、丸ごと抱きしめてもらってる感じがして……」

 ぬぷ♡ぬぷっ♡♡とピストンを繰り返されて、体がどうしたって喜んでしまう。自分の内側が、一番愛しい人で満たされている実感――奥を一度突かれるごとに、幸福感で頭の中がいっぱいになった。

「ぁうっ♡ンッ♡ひぁあっ……♡♡♡あっ♡すき♡ハインツ♡♡♡すきっ♡♡すきぃっ♡♡♡」

 もっと求めたい。もっと求められたい。
 頭の中がぐちゃぐちゃになってそれしか考えられなくなりながら、必死でハインツの名前を呼ぶ。
 そうすると彼は、呼応するように突き上げてくる速度を上げてきた。

「ぉ゛、きゅっ♡ひぅ♡♡♡ンぁ♡もっと♡♡もっといっぱい♡♡おくっ♡突いてぇっ♡♡♡どちゅどちゅって♡激しくしていいからぁっ♡♡♡」

 連続して与えられる快感がもっと欲しくて、淫らなおねだりを口にする。
 ハインツはなにも言わずに抽送を強めてくれて、肌と肌がぶつかる音が部屋中に響き渡った。

「俺も――俺も好き。愛してる。マリエッタ、俺のだよ……心も、体も、全部俺のもの――」

 ぱんっ♡ぱんっ♡ぱんっ♡♡♡にゅぷっ♡ぬ゛る~~~♡ぱちゅんっ♡♡♡
 言葉とともに刻み込まれる熱と快楽に、体は限界を迎えていた。
 膣内に突き立てられたおちんぽが子宮口を突き上げるたびに、空気を押し潰すようにぐぷぐぷと音が立つ。リズミカルに肌を打つ音と混ざったそれは、筆舌に尽くしがたいほど卑猥だった。

「あっ♡ぁあ――イ、くぅっ♡♡イかされちゃう♡ハインツのガチピストンでっ♡♡♡お♡ひぃっ♡♡」

 彼に合わせて淫らに腰を振りながら、ひたすら快感を追う――舌を突き出すとすぐにハインツがそれに吸い付き、咥内を犯してくれた。

「んん゛ぅっ♡っ♡んむぅ……♡♡ちゅ♡ちゅぷっ♡♡♡ん……♡♡」

 互いの舌を絡ませながら、貪るように唾液を混ぜ合い、腰を打ちつけ合う。
 セックスというより獣の交合じみたこの行為に、今では私も特等の幸せを感じてしまっていた。

「ん、はぁっ♡♡ぁ゛ッ♡イくッ♡イくぅぅっ♡♡♡ぉ゛ッ♡おひっ♡♡あっ♡あ♡あぁ~~~~ッ♡♡♡」

 ぐぢゅっ♡と一番弱い場所を突き上げられて、熱が爆ぜる。
 その瞬間ハインツもぐっと呻いて、大好きな特濃精液を膣内に注ぎ込んでくれた。

「あぅ♡はひぃっ♡♡こんな、のぉっ♡♡ぉ゛ッ……♡♡熱くていっぱい♡ハインツのせーしびゅーびゅーって出されちゃってるぅっ……♡♡♡」

 びゅぼっ♡ぶびゅるるるっ♡♡ぶびゅ~~~~♡♡びゅくっ♡♡♡びゅぅっ♡♡
 熱くてもったりとした、極上の精液が勢いよく注ぎ込まれる。
 それと同時に感じる甘い香りと味わい――頭の奥まですっかり蕩かされてしまいそうなそれを堪能しながら、私は再度ハインツの唇に吸い付いた。
 もっと、もっと――時間が許す限り、彼を堪能したい。
 彼に愛されて、その腕の中で滅茶苦茶に乱されたい。

「はっ……んんっ、マリエッタ……?」
「も、お願い……まだ足りないの――もっと、もっと私のこと……」

 こんな風にされたら、もう彼以外愛せなくなってしまう。
 それがたとえ、魔女として致命的なことであったとしても――彼以外に抱かれる未来を、考えられなかった。

「いっぱいにして……♡朝まで、ずっと私のことを犯してほしいの――♡♡♡」

 逞しい胸に唇を寄せると、ハインツは低く笑って頬にキスをしてくれた。触れるだけのキスでは精気なんてもらえないのに、そのキスがひどく嬉しい。

「いくらだって付き合うさ。俺のマリエッタ」

 ぎゅっと腕の中に閉じ込められて、もう逃げられない。
 囚われる快感と幸福を感じながら、私は彼にすべてを委ねたのだった。