大学時代の先輩に重すぎる愛を抱いていた後輩×ブラック企業で働いて色々限界の先輩のお話
「先輩――やっぱり、先輩だよね?」
憂鬱な、月曜朝の通勤時間。
ずっしりと重く、鈍い痛みを発する胃を押さえつけながら電車を待つ私に向かって、明るい声がかけられた。
「……ほ、本城くん?」
「うわ、覚えててくれたんだ! そうそう、本城蒼哉! うわ、何年ぶりだろう――」
華やかで明るい声の青年が、ふと私に声をかけてきた。
上質なスーツを着ているけれど、顔を見ればその正体はすぐにわかる。大学時代の後輩――かつて同じサークルに入っていた本城くんだった。
「先輩がサークル辞めちゃった後、全然会えなかったからさ。俺、あの後ちゃんと色々考えたんだ。やりたいことも決まって」
「あ――そ、そうだったんだ。……その」
ダークブラウンのフェザーマッシュに、ぐっと人を引きつける力のある灰色の瞳――北欧系ハーフの本城くんは、同じサークルのメンバーと比較しても、仲もよかったと思う。
だけど、それも昔の話だ。
「ごめんね、私これから仕事だから……」
「え、これから?」
パチパチと瞬きをした本城くんが、ちらりと腕時計を確認した。
もしかしたら、彼のことを驚かせてしまったかもしれない。時刻は現在、朝の七時前――出勤する人の影はそれなりに見えるけれど、普通に考えると十分早い時間帯だ。
「本城くんだって、これから仕事なんじゃないの?」
「いや、俺は今帰りなんだ。親父の仕事の関係で、昨日の夜まで海外にいたんだよ。今朝の便で帰ってきたばっかり」
「あ……お父様の会社、結局継ぐことにしたんだ」
「うん。先輩からのアドバイスのおかげ――やりたいことをやるならまず結果を出せって、親父にも言われてさ。それもそうかって思って、今修行中」
ニッと笑った本城くんは、記憶の中にある彼の姿とそう変わりない。
変わった点といえば、髪型と服装くらいだ。大学時代から人当たりがよく、サークルでも人気者だった彼は、数年を経て素敵な大人へと変化した。
彼は大学時代、自分が何をしたいのかに迷っていた。そんな彼が、生き生きと仕事をしているところを見るのはこちらとしても嬉しい。
(……私とは、大違いだなぁ)
だけど、私の頭によぎったのはそんな言葉だった。
本城くんはすごい。今の私とは大違い――ギリギリと痛む胃の上部を軽く押さえながら、なんとか笑顔を作る。
「あ、あの……もう行かなくちゃ。電車来ちゃうし」
「え――ま、待てよ先輩! 顔色めちゃくちゃ悪いの、自分で気づいてる?」
やや焦ったような表情の本城くんが、私の腕をぐっと掴んだ。
わかっている。メイクではごまかせない目の下の隈も、限界を訴えて悲鳴を上げている体のことも、全部理解していた。
「大丈夫だよ、心配しないで。朝早い出勤は慣れてるから」
「……先輩、失礼なこと聞くかもしれないけど」
ぐっと声を低くした本城くんが、私の腕を握ったまま渋い表情を浮かべた。
「退社時間って、何時くらい?」
「え、っと――最近は早いよ? 閑散期だから、十一時前には……」
「朝のこの時間から会社行って、十一時前に退社?」
更に彼の表情が厳しくなるが、私は事実を言ったまでだ。始業時間は朝の九時だが、仕事ができない私は誰よりも早く出勤しないと手が回らない。
勤務時間中はあれこれと雑務があるし、落ち着いて自分の仕事を進められるのはほとんど定時を過ぎてからだ。
「仕方がないの。私が仕事遅いから――」
「仕事が遅い? 先輩みたいに頭のいい人が……?」
訝しむように眉を寄せた本城くんだったが、本当に仕事が遅いのだから仕方がない。ウチの会社は営業部隊が多く、バックオフィスはかなり人が少ないのだ。法務も労務も経理も庶務も、私を含めて三人で進めていかなくてはならない。
月末月初はかなり忙しいし、決算時期は会社に泊まり込むほど――残りの二人はそれぞれ予定があることが多く、私が誰よりも頑張らなければならないのが現実だ。
どれだけいい大学を出ても、どれだけ勉強ができても、社会に出たら仕事の結果が全て。頭が固くて融通が利かない私みたいな人間は、逆にその学歴が足を引っ張ることもある。
「あのね、本城くん……本城くんも働いていたらわかると思うけど、勉強ができることと仕事ができることはイコールじゃないの。私は……どうしても、こういうことの要領が悪くて」
頑張らないといけないのに、どうしても仕事が終わらない。
それはきっと私が愚鈍なせいなのだろう。だから上司にも叱られるし、同僚たちにも笑われる。
「だから、もう行かなくちゃ。……ごめんね」
立派になった後輩に会えて、最悪だった朝がほんの少しだけ明るいものになった気がする。
到着した電車に乗り込もうと、そっと彼の手を振りほどいてホームを歩いた。
「待って、先輩!」
――正直に言えば、本城くんが表情を曇らせたのが嬉しくて仕方がなかった。
今の私の状況はなにかがおかしいのだと、他人の視点で答えてくれたことがほんの少しだけ心の靄を晴らしてくれるような気がしたのだ。
憂鬱で憂鬱で仕方がない、月曜の朝。
なんとなく――今日だけは心が軽いような気がする。そう思った私は、耳元にまとわりつく過去の声をなんとか無視しようとした。
『先輩、……先輩のこと好きって言ったら、どうする?』
熱のこもった声は、確かに過去の彼が私に言い放ったものだ。
だけどもう本城くんは大人になった。誰から見ても魅力的な彼には、きっとそれに見合う美しい恋人がいるだろう。
過去のことを忘れてしまったから声をかけてくれたのかもしれない――そこまで考えて、閉じる電車のドアをぼんやりと眺める。朝の電車は、今日も身動きが取れないほどの満員だ。
ぼんやりと外を眺めていると、なにかがぎゅっと背中を押した。同時に、焦ったような声が鼓膜を揺らす。
「ッ……ちょっと、すいませんッ!」
「――本城くん?」
再び腕を掴まれて、弾かれたように顔を上げる。
すると、額に軽く汗を浮かべた本城くんが私のすぐ隣に立っていた。
「なんで……その、これから家に帰るんじゃ――」
「そんな顔させたまま、先輩のことはいサヨウナラって見送れると思ってんの? ……俺、会社で人事任されてるんだけどさ」
ガタンッと、電車が揺れた。
灰色の視線に見つめられながら、私は黙り込んで彼の声に耳を傾ける。
「異常だよ、今の状況は。絶対に間違ってる――仕事が遅いから極端な早出と残業? まともな会社なら、一人が処理できるだけの業務に分散させるはずだろ。管理職はどうなってる?」
「管理……バックオフィスに常駐してるのは、私たちだけだもの。一応部長はいるけど、ほとんど営業職だけだし」
この状況がおかしいことはなんとなくわかっている。
私も、入社当初は直接話ができる上司がいないことに驚いたほどだ。元々は営業のアシスタント業務と聞かされていたが、仕事について質問をすると部長は途端に不機嫌になる。
「なんだそれ……先輩だって、おかしいってわかってるんだろ?」
「それ、は――でも、だからって」
だからって、仕事に行かないなんていう選択肢は存在しない。
なかなか就職が決まらなかった私を、新卒で採用してくれた会社――七年勤めているが、その恩が返しきれているとはいいがたい。
彼になんと言葉を返そう――そう考えていると、どうやら電車は次の駅に到着したようだ。乗り込んでくる人々に押されて、本城くんが一瞬バランスを崩してしまう。
「――ご、ごめん先輩……その、こういうの慣れてなくて」
「ううん、大丈夫。時間的にも、人が多くなってくるから……」
人が多くなったこともあって、背後から本城くんと密着したような体勢になってしまった。
普段は電車に乗らない彼がこの状況に慣れていないのは仕方がないことだ。脈打つ胸を押さえつけて、じっと息をひそめる。
「っ、う……?」
だが、その時だった。
腰のあたりに感じる違和感――その正体を察した私は、硬直して唾を飲んだ。
今、自分の背後に立っているのは本城くんだけ。つまりそれは、押し当てられた熱の正体をそのまま意味している。
「ごめ……せんぱ、あの――俺、ずっと出張で」
抜く暇、なくて――泣きそうな声でそう言われてしまっては、こちらも怒るに怒れない。彼が多忙なのはなんとなくわかるし、これは一種の不可抗力だ。
「ごめん、先輩……本当に、あの」
「大丈夫、大丈夫だから……本城くん、落ち着いて」
本当にこのまま泣き出してしまうんじゃないかと思えるほど、本城くんは狼狽していた。
無理もないことだとは思うが、押し当てられている熱塊は私ではどうしようもない。次の駅で降りて、どうにかしてもらった方がいいだろう。
「本城くん、次の駅で降りよう? その方が――」
「でも、そうしたら……もう二度と先輩に会えないかもしれない。……あの時みたいに、俺の前から消えていなくなっちゃうかも」
震えた息が、首筋に触れる。
体をぶるりと震わせると、本城くんはぐっと私の体を抱きしめてきた。逃げようと体をよじっても、満員電車の中ではろくに身動きが取れない。
「ねぇ、先輩……なんであの時、サークル辞めちゃったの? あんなに俺の話、ちゃんと聞いてくれて――二人きりで、相談だって乗ってくれたのに」
彼の大きな手が、そっと腰に回される。
まずい――そう思った時には、既に遅かった。スカートをたくし上げて太腿に触れてくる手は、震えが走るほどに熱い。
「先輩のこと、ずっと好きだった」
「っ……!」
同じ、だ。
あの時と同じ――数年前、まだ大学に入りたてだった彼の口から、同じ言葉を聞いたことがある。
「なんで、俺のものになってくれなかったの」
責めるような声が、吐息と一緒に首筋を撫でた。
それと同時に、太腿に触れた手がそっと肌をなぞる。
「んっ……だめ、本城くん……!」
思わず声を張り上げようとするが、それは小さな耳打ちで止められてしまう。
「いいの? こんなところ、他の人に見られても――俺は別にいいけど……」
くすぐるような囁き声が聞こえて、体がゾクッ……と総毛立つ。
声を上げなければ――頭ではわかっているはずなのに、熱っぽい彼の声を聴くとまるで引き絞られたかのように喉が締め付けられた。
「俺はずっと変わらないよ。あの時からずっと先輩が好きだった――この数年、先輩のことを忘れようと思って頑張ってみたけど、どうしても無理だったんだ」
ぐりっ……♡とお尻に熱いものを押しつけられる――逃げられない状況ではそれを甘んじて受け入れることしかできず、私は小刻みに震えながら熱が離れていくのを待った。
「――ほ、本城くん。あのね……あなたのそれは、違うの。それは恋じゃ……」
「俺の心のことを、なんで先輩が決めるの? ……恋だよ。ずっと、俺は先輩に恋してる」
すりすりっ♡と太腿を撫でられて、体が大きく跳ね上がる。
後輩に体を触れられているこの状況が恐ろしくてたまらないはずなのに、どうしてだか体は反応してしまった。
「ん、はぁっ……♡」
履いている薄手のストッキングを、指の腹ですりすりと撫でられる。
熱い体温がほとんど変わらずに肌に伝わってきて、濡れた吐息も合わさり彼がどれほど興奮しているのかがわかった。
「本城くん……や、やめて……!」
太腿を撫でていた指先は、徐々に足の付け根へと昇っていく。
いや、それだけならまだしも――彼はショーツに包まれている足の間に指を滑り込ませ、その中心をくにくにっ♡と押し込み始めた。
「やっ……!」
「暴れちゃだめだよ、先輩……ストッキング、破られたくないでしょ?」
「ん、ぁっ♡や――」
中指が、にわかに潤み始めた秘裂をなぞっていく。
妙に巧みな手つきは私の体から力を奪い、またお尻に当てられている熱が正常な思考を妨げた。
「ぁ♡あっ♡♡」
「もう濡れてきてる――電車の中で痴漢されて感じちゃってるんだ? 先輩、顔に似合わず結構積極的なんだな」
「ちがう、のっ♡これは――これはぁっ……♡」
ずりっ♡ずりっ♡♡とおまんこを刺激されて、上ずった声が唇からこぼれ落ちた。
違う――私は断じて、感じてなんかいない。
けれど的確に与えられる刺激は、確かに私の弱い部分を絡めとってくる。疲れ切った体は、快楽に反抗するだけの力を持たなかった。
「んぅ♡くっ……♡♡」
耐えられなくなった私は、唇を噛みしめながら電車のドアに手をついた。
体を支えることができないほどに力が抜けて、抵抗ができない。
「ねぇ、先輩。見てよ……先輩の顔、トロットロですっごく気持ちよさそうだよ?」
「え……?」
背後から掛けられる声におずおずと顔を上げる。すると、電車のドアに嵌められた硝子には、確かに自分の顔が映っていた。
いやらしく頬を上気させ、目元を蕩けさせた自分の姿――浅ましいその様に、思わず息を飲んだ。
「先輩、可愛いね。ちょっと触られただけで腰振って、顔トロットロにしちゃってさぁ――このまま降りて、ホテルでも行く?」
耳元で囁かれる声は挑発的で、耳朶に吹きかけられる息は熱い。
少なからず彼も興奮しているのがわかったが、ここで首を縦に振るわけにはいかなかった。
「そんなこと、できるわけっ……」
「このまま心と体を摩耗させて会社に行くより、ずっといいと思うけどな」
「んぃ゛ッ♡♡」
小さく笑った後で、本城くんがぐにっ♡♡とクロッチの辺りを押し込んだ。
油断していたところに強烈な刺激を受けて、つい腰がビクビクッ♡と跳ねてしまう。
「あは、先輩そんな声出せるんだ……マジで俺も、ちょっときつくなってきたな……」
背後から聞こえる声は楽しげで、逆に私は泣きたくなってしまう。
どうして――前は、こんなことをするような人じゃなかった。私が知っている本城くんは、恵まれた自分の環境に悩みながらも、必死で未来を模索する青年だったはずだ。
「――先輩、何考えてるの? あんまり余計なこと考えてるとさ、ほら……」
ジッ……と小さい音が聞こえたのは、きっと聞き間違いではないだろう。
そして次の瞬間、彼の手が私のスカートをグイッとたくし上げてくる。
「んっ……ほん、じょっ……」
「俺も、このままじゃ降りれないからさ――先輩、一回抜くの手伝って……?」
ぬぢぃ……♡と足の間を割ってきたのがなんであるのかを、理解したくない。
けれど、太腿に擦りつけられるその違和感を無視できるほど、私の理性は堅牢ではなかった。
「んぁっ……♡こ、れぇっ……♡♡」
「先輩も、コレほしい? こんな風に、おっきいおっぱい揉みしだかれて――」
「ぅ、あっ♡♡♡」
それまでショーツをなぞっていた彼の手が、スーツ越しの乳房に伸びる。
スーツの襟から手を潜り込ませた彼は、ブラウスの上から乱暴にその場所を揉みしだいた。
「く、っ♡んんっ♡♡♡」
「素股でちんぽ扱かれて、気持ちよくなっちゃったかな……?」
ずっ♡ずっ♡♡ずりっ♡♡
下着とストッキングを隔てて擦り上げられる刺激は、そこまで強いものではない。
けれど、焦らすようなその快感は胸を弄られることで更に大きくなった。
「は――♡♡だ、めぇっ……♡♡♡あ♡あっ♡♡」
「痴漢されながら気持ちよくなっちゃって、説得力ないな……やっぱりあの時、無理矢理にでも抱いとけばよかった。そうしたら、先輩はずっと俺の側にいてくれたかもしれないのに」
むにむにっ♡とおっぱいを揉みしだかれて、体の震えが止まらなくなる。
微弱な刺激を与えられ続けたおまんこはひっきりなしに蜜を垂らし、既にショーツもストッキングもぐしょぐしょだった。
(こんな状態で……会社に、行けるわけ……♡♡)
たとえこのまま会社に向かっても、一日中このことを思い出してしまいそうだ。
でも、仕事を休むわけにはいかない。頭でそうわかっているのに、体がどうしても反応してしまう――。
「先輩?」
「んぁあっ……♡」
「そんな大きな声だしたら、バレちゃいますよ? そこのオッサンなんて、もう先輩がイきそうになってるの気付いてるんじゃない?」
耳元でそう囁かれて、ヒュッと喉が鳴った。
声を我慢しないと――そう思って唇を噛みしめると、意地悪な本城くんの指先がきゅきゅっ♡♡と乳首を摘まみ上げた。
「んんぅっ♡」
「ははっ、乳首いじめられるの気持ちいいよね……んっ、服の上からでもわかるよ。どんどん乳首硬くなって、子宮ずーっとキュンキュンさせてるの……」
「ん、ふぅぅっ♡♡ちが♡ちがう、のっ……♡♡」
否定する声は明らかに艶めいていて、自分でもわかるくらい力がなかった。
カリカリ♡と乳首を爪の先でひっかかれると腰が引けて、今度は太腿に挟まれたおちんぽの硬さと熱を感じてしまう。
「んっ♡ん……♡♡♡」
「うわ、これヤバいな……ストッキング擦れて、すっごい気持ちいい……」
ずりずり♡と腰を動かす動きは徐々に強まっていき、小さな刺激は積み重なっていく。
けれど、イくほどではない。どれだけ執拗に乳首を捏ねまわされても、どれだけピストンが早くなっても、布越しの愛撫ではイけそうもない。
そのもどかしさが降り積もり、ジリジリと理性が快楽に侵食されていく。
「ぁ……せん、ぱい」
射精る、と小さく囁かれて、体がビクンッ♡と反応した。
(だめ、だめ――♡♡こんなところで射精されたら♡本当にっ……♡♡)
会社に行けなくなる――いや、違う。私が心配しているのはそこじゃない。
(こんな硬くて熱いおちんぽに精液マーキングされたら♡拒めなくなる♡♡本城くんに流されちゃう……♡♡)
ずっと、可愛い後輩だと思っていた。
サークルでも人の輪の中心にいて、人懐っこくて可愛らしい――弟みたいに思っていたのに。
「……せんぱい」
向けられている視線の熱さに気付いたのはいつからだっただろう。
そして、彼から向けられるその熱に、それとない恐怖を抱いたのは。
「だめ……ゆ、許して、本城くん……」
小刻みに震えて、情けない声で懇願する――ゆらゆらと熱を求めて跳ねる腰を押さえつけながら、本城くんは熱っぽい息を吐いた。
「ごめんね、先輩♡」
びゅるっ♡びゅっ♡♡♡ぶびゅっ♡♡びゅるるるるっ♡♡
布越しに感じる熱と粘っこさ、そして独特の匂いに、体が一際火照る――更に本城くんは一層強く乳首を抓り、痛みが滲むような快楽を私の体に教え込んできた。
「あ♡ぁううっ♡♡」
「ごめんごめん――久しぶりに先輩と会って、我慢できなくなったんだ。ちゃんと拭いてあげるね」
言うなり、本城くんはぬぢぬぢっ♡と足の間を指で擦り上げてくる。
未だ熱の余韻が残るその場所を刺激されて、頭の中で小さく何かが弾けた。
「ん゛ぉ゛♡ッくぅ♡♡♡」
「先輩もさ、もう我慢できないだろ? ……大丈夫だよ。先輩一人いなくなったくらいで回らない仕事なら、最初から采配がおかしいってことなんだから」
弛緩した体を支えてもらいながら、本城くんの声を聞く。
もうすぐ――会社最寄りの駅だ。次で降りないといけないのに、体が言うことを聞いてくれない。
「そんな所なんか行くのやめて、俺といっぱいえっちしよ?」
その言葉を、拒絶することはできなかった。
やがて電車が止まると、反対側のドアが開く。
「先輩、大丈夫ですか?」
わざとらしい声に背後を振り向くと、本城くんが灰色の目を細めて笑っていた。
彼の手を振りほどけないまま、私は電車から降りた。向かったのは会社とは真逆の出口――そこには、本城くんが用意したという車が一台止まっていた。
*
「一応、出張の前に掃除しておいたんだ。でもさ、本当にラッキーだったよ」
――本城くんの声が、遠くに聞こえる。
ここはどこだっけ。
どうして、私はこんなところにいるんだろう。
(体が、熱くて仕方がない……)
見慣れない部屋の中で、私はぼんやりとどこかに座っていた。
部屋の中は、本城くんと同じ香りがする――ぐるりとその場所を見回すと、なんてことはない、物の少ないベッドルームの中だった。
「ぁ……♡」
「先輩、ずーっとぼんやりしてたね。気持ちよすぎて溶けちゃったかと思った」
ニコニコと笑う本城くんから顔を背けて、ベッドサイドにある時計に目を向けた。
時刻は既に九時前、確実に会社には間に合わない――ズンと胸が重くなるような心地とともに、どこか安堵感を覚えている私がいた。
「ずっとずっと、こうしたかったんだ」
ギシ……と音を立ててベッドに上がった本城くんが、私の肩を抱いた。
もうその腕を拒むだけの力は残されていない。それどころか、私の体は与えられる快楽を期待して甘く疼いてしまっている。
「ほ、本城くん……」
「そんなに物欲しげな顔しなくても、大丈夫だよ。ちゃんとあげる――先輩も、俺ともっと気持ちよくなろうよ? ね?」
薄く笑った本城くんが、私のスーツを脱がせてくる。
いいだけ弄られた胸の先端はツンと張っていて、下着が擦れるたびに甘い痺れを生み出した。
早く――早く触られたい。浅ましくそんなことを考えながら、甘えるように彼の胸へと体を預ける。
「先輩、可愛い♡さっきから気持ちいいの一生懸命堪えて……でも負けちゃうんだよね。昔から真面目過ぎて、こういうことあんまり慣れてないんだ」
嬉しそうな声を出しながら、本城くんがぷちぷちとブラウスのボタンを外していった。ミントグリーンのブラジャーがあらわになると、彼もゴクッと喉を鳴らす。
だが、その時だった。
けたたましい着信音が、あまり物のない部屋の中に響き渡る。
――会社からの電話だ。
「あ……で、電話……」
「あぁ――これ? うるさいな」
眉をひそめた本城くんが、スーツのポケットから私のスマートフォンを取り出した。
「電源落としちゃおうね。俺たち以外のものはみーんな邪魔。……俺と先輩のセックスを邪魔するなよ」
吐き捨てるようにそう言った本城くんは、スマートフォンの電源を落とすとベッドサイドにそれを置いた。
「これで邪魔者はナシだ。やっと気持ちよくなれるね、先輩♡」
灰色の瞳を揺らめかせた本城くんが、あっけなくブラジャーを外してしまう。
中からこぼれ落ちた乳房が、ぷるんっ♡とと小さく跳ねた。
「わ……やっぱりでデカいな……。大学時代も思ってたんだけど、先輩ってめちゃくちゃおっぱい柔らかいよね」
「そ、そんなこと――んぅうっ♡」
きゅうぅぅっ♡♡と乳首を摘まみながら、本城くんは耳元で囁いてくる。
「思ってた通り、ふわふわのマシュマロおっぱいだ♡さっきは下着の上からだからよくわからなかったけど――すっげぇ甘そう。それに、柔らかくて気持ちいい♡」
むにゅ♡むにっ♡♡むにっ♡♡カリカリカリッ♡♡むにゅぅっ♡♡
両方の手で好き勝手に胸を揉みしだきながら、爪の先で乳首もカリカリと弄られる。それだけで先ほどの快楽を思い出してしまい、腰の辺りがじわじわと熱を宿していった。
「んぁ♡あっ♡♡それっ――おっぱい、だめぇっ……♡♡♡」
「なんで? 触っててすっごい気持ちいいよ。指に吸い付いてくるみたい――先輩も、おっぱいいじめられるの気持ちいいね?」
さほど強くはない力で乳肉を揉まれるのは、夢中になるほど気持ちいいわけではない。
けれど先ほどの熱の余韻と乳首を擦る爪の動きが、肌の感覚をより鋭敏なものへと変えていった。
「あ♡ぁんんっ♡♡や♡だめっ♡♡これ、は――」
「もう電車じゃないから、声なんて我慢しなくていいんだよ。ほら――俺も早く先輩のこと犯したくて、ちんぽバッキバキになってる」
見る? と問われて、答えられない間に彼は自分からベルトを緩めた。
「さっき射精したばっかりなのに、全然萎えないの。でもさ、仕方がないよね? もう何年も片思いしてた先輩と、やっとセックスできるんだから」
そう言って取り出された彼のおちんぽは、言葉の通り天を衝くほどに反り立っている。
電車の中ではその造形まで目にすることはできなかったが、いざ目の前にしてみるとかなり大きい――美しい彼の顔立ちからは想像もできないほどに雄々しいそれに、思わず唾を飲む。
「ほしい? 欲しいよね――あんなに善がっちゃって、自分からちんぽ擦りつけるみたいに腰振ってさぁ」
「それは……っ」
「いいよ、あげる。俺のぜーんぶ、先輩にあげるから」
そう言うと、本城くんはちゅっと私の唇を食んだ。
そのままベッドに押し倒されて、スカートも、ドロドロに汚れたストッキングやショーツも脱がされてしまう。
「ね、ねぇ……本城くん――本当に、す、するの……?」
「ここまで来てなに言ってんの。先輩だって結構乗り気だろ? ……大丈夫、全部俺に任せて。俺のせいにしちゃっていいからさ」
薄く唇を歪めた本城くんが、ぐっと腰を寄せた。
すると、赤黒く張り詰めたおちんぽが鼻先に突き付けられる。噎せ返るような雄の匂いは、私という雌を発情させるには十分すぎるほどの威力を持っている。
「舐めて……先輩にしゃぶってもらうの、夢だったんだ」
「……ぁ、むぅ♡ん゛っ……♡ん゛むっ♡♡」
フェラチオなんて、したことがない。
けれど体は自然に動いてしまっていた。丸みのある先端に唇を寄せて、チロチロと舌で鈴口を刺激する。
そのまま咥えこむと、頭の中がジンッと痺れていくのがわかった。
「ぉ゛むぅっ♡♡んぁ♡む゛っ♡んんぅ……♡♡♡」
ぢゅるっ♡ぢゅるるっ♡♡と唾液をいやらしく絡ませながら、必死で口唇奉仕をする。
「あ、あっ♡先輩、すご――バキュームフェラ、すっげぇエロい♡♡」
「やめ♡ん゛ぉっ♡♡ん、ごっ♡♡んふ、ぅうっ♡♡はっ♡ぢゅぱっ♡♡♡」
次第に本城くんも腰を動かし始め、私の後頭部をしっかりと手で押さえてくる。
まるで唇をオナホみたいに使われるのは、少し苦しいけれどそれがどうでもよくなるほどに気持ちいい――♡
「ッ、あー……このまま先輩の口まんこに出したいけど……やっぱりこっちがいいなぁ」
「ん、ぉ゛っ♡」
ぬぼっ♡♡と重たい音を立てて唇からおちんぽを引き抜いた本城くんは、ビキビキと血管が張り巡らされたそれを胸の谷間に沈めた。
「こっち♡先輩のおっぱいまんこで射精させて♡」
「え――あっ♡あぁぁっ♡♡♡」
ずにゅぅ♡♡と柔乳を割り、おちんぽが肌の上を滑っていく――♡
本城くんが両手でぎゅむっと胸を抑え、左右の乳肉をゴリゴリと犯しながら腰を前後させてきた。
「ひぁ♡熱い♡♡本城くんのおちんぽ♡♡おっぱい犯されちゃってるっ♡♡」
ぬぢっ♡♡ぢゅこぢゅこっ♡♡だぷんっ♡だぷんっ♡♡むぎゅぅうっ♡♡♡
感触を楽しむように乳房を揉みしだきながら、彼は容赦なく乳肉を犯してくる。
まるで本当に、その場所がおまんこになってしまったみたいに――熱い肉棒を擦りつけられ、脈動を感じるだけで、私の体はどうしようもなく燃え上がった。
「あっ♡あんっ♡♡これっ――ぁあっ♡♡おっぱい熱い♡バキバキの後輩おちんぽで火傷しちゃうぅ♡♡」
「く――先輩のとろふわおっぱいまんこがっ、気持ちよすぎるから悪いんだよ――♡こんなにっ♡エッロい体っ♡♡」
ぢゅこっ♡ぢゅこっ♡♡と容赦ないピストンを刻まれて、頭の中がグラグラと沸き立っていく。
おかしい――この状況はおかしいと、頭ではわかっている。
会社をサボって、こんなところでえっちしてるなんて間違ってる。そうわかっているのに、体はどうしようもなく彼のことを求めてしまっていた。
「あー……射精る……もっかい出すよ? 先輩のドスケベおっぱいにっ♡俺の精液かけてマーキングしてあげる♡♡」
ずにゅっ♡ずにゅっ♡♡と抽送を繰り返されているうちに、おちんぽの質量が少しだけ増した。射精が始まる兆しに、おまんこが絶えずきゅんきゅんと収斂する♡
「は……せん、ぱいっ……♡」
「んあぁっ♡♡♡」
びゅぶっ♡♡びゅ~~~っ♡ぶぢゅぅっ♡♡♡びゅっ♡びゅっ♡♡♡びゅるっ♡♡
熱くてドロドロの精液が、おっぱいや鎖骨、顔にもたっぷりと浴びせかけられる。
苦くて粘性のあるそれで肌を汚されながら、私はどこか幸福な心地でそれを受け止めた。
「は、ぁんんっ……♡♡熱くて濃いのいっぱいでてるぅ♡さっき♡さっき出したばっかりなのに――♡♡♡」
「先輩相手だとこうなっちゃうの――仕方がないだろ?」
言うなり、汚れた乳房をぐにぐにと揉みしだかれる。
吐き出された白濁液がてらてらといやらしく濡れ光るところを見て、思わず唾液を飲み込んだ。
「やっば、見てるだけでちんこイライラしてくる……」
「そんな――ぁ、あっ♡♡」
「次は先輩のまんこでイきたいから……ちょっと手伝ってね」
射精された余韻をそのまま残す体は、まだうまく力が入らない。
そんな私の手を取った本城くんは、少し力を失ったおちんぽにそれを這わせる。
「ん……っ、先輩の手、ちっちゃくて気持ちいいね」
「あ、っ♡は、そん、なっ……♡♡」
指と指を絡ませ合い、ぬちぬちとおちんぽを扱きあげる。
すると、一時的に熱を失っていたそこはみるみるうちに漲りを取り戻していった。
「ぁ、あっ♡すごっ……♡どんどん大きくなってる……♡♡♡」
「先輩が触ってくれるからだよ。ほら――俺のちんぽ、先輩のこと犯したくて仕方がなくなってる」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いて鼓膜を犯してくる。
今からこのペニスで自分が犯されるのだと思うと、どうしようもなく興奮した。
(あぁ――そっか、私……もうずっと、本城くんに犯されたいって思ってたんだ……)
思えば、電車で触れられた時から――いや、違う。
あの時だ。大学で、彼の視線に込められた感情を悟ってしまった時。あの時から、心のどこかではこの瞬間を待ち望んでいた。
ずっと目を背けて、見ないふりをしていたけれど――あの時から、どこかで彼を望んでいたんだ。
「は……♡♡本城、くん――♡」
「ねぇ先輩。俺、結構頑張ったんだよ? 先輩に認めてほしくて成績も上げたし、大学も首席で卒業したしさ。仕事だって――先輩が言ったみたいに、経験値を積んで頑張ろうって思って、親父に頭下げて色々やった」
話には聞いていたが、彼の父親はかなり厳しい人であるらしい。
息子であるという理由で仕事が易しくなることはなく、むしろ頻繁に無理難題を吹っ掛けられてはそれを乗り越えてきたという。
「でも、どれだけ頑張っても満たされない。そうだろ? ずっと好きだった人が、訳も分からないまま会えなくなっちゃって……先輩のこと、ずーっと探してた」
本城くんの視線が、ふっとベッドの横に移動した。
そこには打ち捨てられた着衣と、会社のIDカード――会社の名前が記されているそれを見て、彼がふと目を細めた。
「ただ、人事にいると結構いろんな話が聞けてね。そこからは簡単だったよ……先輩が勤めてる会社で前に働いてた人がいてさ。営業部隊だったけど、先輩のこと知ってたみたい」
完全に力を取り戻して反り立ったおちんぽが、ゆっくりと手指から離れていく。
ドクンッ♡ドクンッ♡と脈打つその先端をおまんこに擦りつけられると、これまで我慢していた分の愉悦が一気に大きく膨れ上がった。
「んぁ♡♡♡」
「大体どの辺から電車に乗るってわかってたから、声を掛けようって思ってたんだけど――まさか、先輩がここまで追い詰められてたなんて」
ぐちぐち♡と切っ先で蜜口を擦られて、体がゾクゾクと震えだす。
やっと――やっとだ。行き場のない熱を、やっと発散できる。
彼が話している言葉よりも、今はただその愉悦が大切だった。それを得るためなら、今の私はなんだってできる。
「でも、もう安心していいよ。俺が先輩のこと守るし、辛い思いなんてさせないから――」
「ん゛、ぉっ♡♡♡ぉ゛っ♡お゛ッ♡♡♡」
ぶぢゅぅ~~♡♡ずぢゅっ♡♡ぬぼっ♡ぬごっ♡♡ぬごっ♡♡
二回も射精したのに、本城くんのおちんぽすっごい大きいっ……♡ガッチガチの勃起おちんぽで、思いっきりおまんこ抉じ開けられてる♡
「だから、先輩の全部……俺にちょうだい?」
「んっ♡ん゛ぁあぁッ♡♡♡ぉ゛ッ♡お゛ひっ……♡おっきぃっ♡♡こんなのっ♡こんなのでぐぽぐぽされたら変になっちゃう♡♡」
ぱんっ♡ぱんっ♡♡とリズミカルに肉杭を打ちつけられて、その度におまんこがぐぽぐぽといやらしい音を立てる。
たっぷりと焦らされたその場所は簡単に極太のそれを呑み込み、淫らな蜜をこぼしながら歓喜にわなないていた。
「ッひ♡イく♡♡これっ♡♡挿入れられただけでイっちゃうのっ♡♡お゛ッ♡♡」
待ち焦がれていた快感を的確に与えられると、頭の中が真っ白になってしまう。
愛しそうに私の頬に唇を落とした本城くんは、腰を打ちつける強さを変えずに何度も奥を穿ってきた。
「ッあ~もう、好き。すっごい好き……ねぇ、俺がどれだけこの瞬間を思い描いてたか、わかる? 頭の中で先輩のこと、何回犯したと思う?」
「そんにゃっ♡そんなのっ♡♡♡わかるわけ、ぇっ♡♡ッひ♡子宮口コツコツってしないれぇっ♡♡♡」
肉襞をぐちぐちと何度も雁首で刺激され、その度に下腹部が震えて軽い絶頂が巻き起こる。
更に最奥を力強くノックされるともう駄目だ。
シーツをぎゅっと握りながら快感を堪えようとしても、その限界を上回るだけの愉悦が襲い掛かってくる。
「ッふ♡ひぎっ♡♡♡」
「好きって言っただけで、先輩は俺の前からいなくなって――どれだけ、傷ついたか」
ごりっ♡♡と亀頭をポルチオで突かれて、私は無様にも背を反らして絶頂を極めた。
息をするのも苦しいくらいの快楽の中で、本城くんの声だけがクリアに聞こえている。
「でもね、先輩。俺は変わったよ。先輩のおかげで、ずっと悩んでたこともどうにかしようって思えた。だから――だからね」
甘く、蕩けるような声。
激しく抽送を繰り返しながら、彼は限界を迎えつつあった私の理性に最後の一押しをする。
「先輩のこと、助けてあげる。今の状況から先輩を救い出すだけの力が、今の俺にはあるんだ」
ねっとりと耳朶に絡む声でそう囁いた後、ズンッ♡と亀頭を押し込まれた。
「んぁ゛ッ♡♡ら、めぇっ……♡♡」
だめだ。そんな風に囁かれたら、縋りたくなってしまう。求めたくなってしまう。
限界まで働いても報われない、それどころか誰かのお荷物になるような人生――影で誰かに笑われているんじゃないかと、怯えて過ごしていた毎日から、彼なら掬い上げてくれるんじゃないか。
――そう、一瞬でも思ってしまった。
「ダメじゃないだろ? 辛いことは全部捨てちゃってさ、俺と毎日楽しく過ごそうよ。……先輩が側にいてくれたら、俺、もっと仕事も頑張れる」
ずちずちと肉壁を擦り上げながら、彼はうっとりとそんなことを言った。
そして、馬鹿な私は想像してしまったのだ――これだけ強い好意を寄せてくれる、彼とともに生きる日々のことを。
「んぁあっ♡♡やぁっ♡あっ、あっ♡♡激しいのっ♡いっぱいごちゅごちゅってされたらっ……♡だめ♡変になる♡♡おかしくなっちゃうぅっ♡♡」
逃げたい。苦しい。けれど会社を辞めたらこれから先にどうなってしまうの――。
そんなことばかりを考えていた毎日が、終わりを告げるとしたら。
この暴力的なまでの快楽と、深い愛にひたすら浸って、彼だけを愛して生きていくことが許されるのだとしたら。
「おかしくなっていいんだよ。俺たち、二人でどうにかなっちゃおう?」
そのまま、甘く唇を奪われる。
熱い舌が咥内へと潜り込み、蛇のようにうねりながらぐちゅぐちゅと唾液を攪拌していった。
「んんぅっ♡むっ♡♡ぁ……本城く、ん……♡♡」
「名前で呼んでよ。蒼哉って……先輩には、そう呼ばれたい」
「そ、や……そうや、くんっ♡」
熱に浮かされたまま彼の名を呼ぶと、本城くん――いや、蒼哉くんはグレーの瞳を大きく見開いた。
それと同時に、更に突き上げる速度が増す。
「先輩ッ……! 好き、好き……愛してるんだ、ずっとっ……!」
「ッひ♡♡や、ぁあっ♡♡♡だめっ♡乳首つねらないでっ♡♡それだめなのぉっ♡♡♡」
ばちゅっ♡ばちゅんっ♡♡と最奥をこれでもかと突き上げられ、更に弾む胸の先端をギュッと抓られた。
軽い痛みにおまんこがきゅんっ♡と締まり、擦れ合った粘膜が快感を増大させる。
「お゛♡お゛っ♡♡イぐぅっ♡イっちゃう♡♡だめっ♡♡あ♡あぁっ♡♡♡」
「――駄目だよ、またイかせない」
「ッは、ぅうっ……♡」
唐突に、その激しい動きが停止する。
それまで高まっていた愉悦の波は一気に引き、指先から熱が逃げていく。
同時に、途方もない喪失感と寂しさが体を襲ってきた。
「なん、でぇっ……♡イ、きたっ……♡イきたいの、にぃっ♡♡」
「だって、このままセックスだけしてさようならって言われるのは寂しいし――ねぇ、先輩。ちゃんと約束しよう?」
そのまま、ぬ゛ぅ~~~♡とおちんぽが引き抜かれる。
その動きだけでもたまらなく気持ちよかったが、それでも絶頂を極めるには遠い。
「や、くそく……?」
「俺の恋人になって、ずっと一緒にいよう。俺だったら先輩を幸せにできる……簡単だろう? 先輩は、ただ頷けばいいんだ」
顎に指を当てられて、じっと目を見つめられた。
不思議な――グレーに、少しだけ緑がかった光が入る瞳。幼い頃はその目のせいでいじめられたこともあると、以前本人の口から聞いたことがある。
「ねぇ、先輩」
ぬぷっ♡と腰を少しだけ押し進められて、喉が反る。
気持ちいい――このまま、めちゃくちゃになってしまいたい。気持ちよくて温かくて、信じられないくらいに幸せだから。
「先輩の全部を捨てて、俺を選んでよ」
「んぐっ♡♡」
ずっ♡ずっ♡♡と小刻みに腰を動かしながら、彼は私の心の中を搔き乱す。
頷けば――頷いてしまえば、きっと彼は私を守ってくれるだろう。
休日なのに何度もかかってくる電話も、終電間際まで繰り返される無意味な会議からも、嘲笑する同僚たちの声からも、全て。
「俺も、俺のすべてかけて先輩のことを大事にするから――ね?」
……拒絶、できない。
数年かけて、少しずつ少しずつ摩耗していった心に、彼の言葉がやんわりと染み込んでくる。
「わかった、から……」
ごくんと唾を呑み込んで、顔を上げる。
爛々と欲望の色を湛えた蒼哉くんが、まるで肉食獣のように舌なめずりをした。
「イきたいの……♡蒼哉くんのおちんぽでイきたい♡♡後輩おちんぽでぐちゃぐちゃにされて♡♡いっぱい気持ちよくなりたいよぉ……♡♡」
「ん――よくできました♡♡」
「ほぉ゛ッ♡♡♡」
ばぢゅっ♡♡と重たい音を立てて、一気におちんぽが奥を貫く――♡
「や゛ッ♡♡ぁあっ♡イ、ッ~~~~♡♡」
「ははっ、イってる? 先輩イってるんだ……♡気持ちいいねぇ、すっごいナカ締まってる♡」
ばぢゅっ♡♡ぼちゅっ♡♡♡ごっ♡ばちゅんっ♡♡ごりゅぅっ♡♡♡
みっちりと膣壺を埋め尽くすおちんぽは何度も出入りを繰り返し、その度に壮絶な絶頂の波が私を浚っていった。
「あ゛♡♡やめ♡もっ……♡♡」
「約束だよ? ずっと、これから先ずーっと俺のもの♡俺が守ってあげる♡♡」
ひぐっ♡と喉を鳴らすと、彼はもう一度私にキスをしてきた。
今度は触れるだけの、まるで誓うように優しいキス――私の方から舌を出すと、やんわりと前歯がそれを食む。
「んんっ……♡は、ぁっ……♡♡♡」
「気持ち、いいねぇ……♡ッく、また精液上ってきちゃった。ねぇ、先輩」
――膣内に出すからね?
そう甘く囁かれて、矢も楯もたまらずに頷いた。
真綿で締め付けられるようにして、余計な思考に蓋をされる。――でも、もうそれでいい。
「ナカで、出してください……♡私のおまんこ♡蒼哉くんのせーしでいっぱいにしてぇ……♡♡」
ぶぢゅぅうっ♡♡♡と音を立てて、たっぷりと精液が流し込まれる――満足そうに笑って私を抱きしめる彼のことが、どうしてかひどく愛しく思えた。
私の可愛い後輩。彼がこうなってしまったのは、きっと――私があの日、彼の愛から逃げてしまったからだ。
(それなら、私が受け止めないと……)
膣内で吐き出された奔流の感覚に、眩暈がする。
呟こうとした言葉は甘いくちづけに融けていき、カシャッ、と小さく乾いた音が鼓膜を叩く。
この音は一体なんだろう――そんな疑問すら考えるのが億劫になって、私はゆるやかに眠りの淵へと堕ちていくのだった。