その3 王太子妃・マルガレーテの場合
「あなたたちのところは相変わらずというか……フィオラント、本当に底なしなのね……」
「フィオ様なりの愛情表現ですわ。可愛らしいと思いません?」
余りに濃厚すぎる次期アルサンベルク公爵の性生活に、思わず寒気がした。
フィオラントがカトレアを大切に思っているのは知っているし、その実かなり精神的に支えられているというのもわかってはいる――弟よりも真面目で繊細なフィオラントは、夫である王太子・アルブレヒトも気にかけているくらいだ。
「……アデリーネ、大丈夫かしら。顔が真っ赤だけれど」
「あ、あの……その……あのお義兄様が、そんな……とても厳しいお方だと、レオからも聞いていたので……」
だが、可哀想なのはこの場に居合わせた新たな客人、アデリーネだ。
華のある見た目をしており、清楚然としたカトレアとはまた違った美しさを誇る彼女だが、こういった話にはあまり耐性がないらしい。
いや、さっきの話を聞くに彼女自身もかなりえげつない調教のされ方をしている気もするけど――あのカトレアの口から話を聞くというのが、彼女にとって大きな打撃だったのだろう。
「あの兄にしてあの弟ありって感じね。つくづくアルサンベルク公爵家は……なんというか、断絶の心配だけはなさそうだから安心したわ」
「それ、褒めていらっしゃいますか……?」
「もちろん。フィオラントもレオノールもとても優秀な人間だもの。できるだけその血は残してもらいたいわ。この国と、アルブレヒトのためにも」
アルブレヒトは、遠くない将来にこの国の王となることが決まっている。
三十歳を過ぎた頃合いで、最近は体を壊しがちな国王陛下から「王位を譲ってもいいのではないか」という話も出ているくらいだ。
そうなったら、アルサンベルク公爵家の人間の力を借りないわけにはいかなくなるだろう。夫がなによりも信頼を寄せているレオノールに、厳格な貴族の断罪者であるフィオラント――即位前に貴族の大規模粛清を考えているという話を聞くから、彼らにはしっかりと働いてもらわねばならない。
「そういうマルガレーテ様は、最近いかがですか? 前にお話を伺った時は、とても情熱的なお話を聞かせていただきましたが」
「あまり変わらないわ。最近はアルブレヒトもかなり忙しいし――あぁ、でも……先日は久々に、夫婦でゆっくりすることができたの」
わたしも夫も、公務で忙しくしている身だ。
結婚して一年が経ってもなかなか子どもが生まれないことを貴族に揶揄されたりもするが、夫婦生活に問題があるわけではない。
ただ、時が合っていないだけ――わたしたちは、基本的にそう考えることにしている。子を成すことが王族に嫁いだ者の責務ではあるけれど、アルブレヒトは無理をする必要はないと言ってくれた。
「この前、久しぶりに公務の休みが重なって、二人で遠乗りをしたのよ。馬に乗るのは久々だったけど、あれはとても気分がよかったわ」
またしばらくは馬にも触れていないけれど――そう言いながら、わたしは記憶を手繰り寄せた。
● ● ●
「気分はどうです、マルガレーテ」
「最高よ。ありがとう、アルブレヒト……でも、あなたの馬……少し疲れているんじゃなくて?」
「君の鞭さばきが上手いのかな、私も決して下手というわけではありませんが……やはり、乗馬の腕は私より君の方がずっといいみたいです」
王都の郊外には、王族が直轄で管理している農園がある。
直轄領というと聞こえはいいが、つまり王宮で饗される食事の材料を育てているのだ。一般的には王族や来賓しか食べることを許されていない、特別な農園――そこに足を踏み入れることができる人間も、かなり限られている。
「アルは運動不足なのよ。いつも執務ばかりで城の外に出ないから、体が鈍っているんじゃなくて?」
「君に言われたら否定できませんね……。もう少し若い頃は、大将軍に剣の稽古をつけてもらったものですが」
そう言って微笑むアルブレヒトの剣の腕が、そこらの騎士や傭兵よりずっと優れていることは知っている。
この国では王族は高いレベルでの文武両道を求められ、次期国王として育てられてきた彼もまた、その教育方針にのっとって育てられた。
わたしも、幼い頃から彼の婚約者として武芸や学問を叩きこまれたのだ。乗馬が好きなのは、思い切り遊んでも父から叱責を受けなかった唯一の教養科目だったからともいえる。
「は……しかし、ここまで遠乗りすると喉が渇きますね。マルガレーテ、少し休みませんか? 城に戻るまで、まだ時間があるでしょう」
「えぇ、そうね。でも……本当に良かったの? 丸一日予定を空けるだなんて……」
「最近、君には寂しい思いをさせていましたから。レオノールが執務を肩代わりしてくれたし……」
――新婚のメルリオン伯爵になんていうことを。
あとで謝っておこう、とは思いつつ、彼は非常に容量がいい人間だ。頭も切れるので、執務を任せたというのは間違いではないかもしれない。
「それに、私が直接見なければいけない案件は先に片づけてある。それくらいの責務は果たしていますよ」
「だったらいいですが……そうしたら、屋敷の中で休みましょうか?」
王城から頑張ってくれた馬たちも、厩舎に繋いで休ませてあげたい。
そう言うと、夫はなにかを思いついたように顎に手を当てた。高貴な印象を与えるヘーゼルアイが、軽く細められる。
「……奥の森に行きませんか? そこだと涼しいし、休憩用の東屋があるでしょう」
「え、えぇ。いいけど……」
にこにこと微笑むアルブレヒト共に馬を預けて、農園の奥にある森を目指した。
この辺りは王族たちの療養所も兼ねているから、基本的に道は整備されていて、森の中もよく手入れをされている。吹き抜ける風が心地好くて、わたしたちはお互いに色々な話をしながら東屋を目指す。
東屋といっても、いわゆるガゼボとかパーゴラに近い小ぶりな建物だ。
扉もなく、中で景色を見ながら休憩をするにはうってつけのスペースになっている。
「さぁ、こちらへ」
「ありがとう……ねぇ、急にどうしたの? 普通に屋敷の中で休んだ方がよかったんじゃ……」
「だって、屋敷の中には人が多いでしょう? たまには二人でゆっくりしたかったんですよ。――本当の意味で二人きりに慣れる場所は、私たちにとってそれほど多くない。そうでしょう?」
確かに、アルブレヒトの言うこともよくわかる。
良い意味でも悪い意味でも、わたしたちは個人の自由というものがない。
それが権力を与えられたものの使命であるのはわかっているけれど、時折どうしてもそれを窮屈に思ってしまうのは否めない。
「そうね。二人でゆっくりと話す機会なんて、そんなに多くないし……」
夫婦といっても、その前にわたしたちは王族だ。
窮屈だなんて言えない立場だけれど、二人で息抜きをした時くらいは一緒にゆっくりしたい。
東屋は森の奥にある湖を見渡すことができて、鳥の鳴き声がよく聞こえている。
時折、森の手入れをする職人が木を倒す声も聞こえてきた。
「マルガレーテ、こっちへ」
「す、少し汗をかいたから、ここじゃダメかしら。恥ずかしいわ」
長椅子の隣をそっと指すアルブレヒトの申し出を断るも、ヘーゼルアイでじっとこちらを見つめられる。
年上の癖に、こういうところを見せられるとどうしても弱い。
「ダメですか?」
「……し、仕方ないわね……」
多分彼は、自分の顔の良さと立場の高さを十分に理解している。
基本的にわたしは彼のお願いに逆らえたことはないし、同時にそこまで明確に逆らおうとも思っていない。
「マルガレーテ――ん、本当に、君とこうして一緒の空間にいられるのも久々な気がします。最近は、君が休んだ後に寝室に戻ることが多いので」
「仕方がないことだとは思うけど、あなたは少し働きすぎよ」
「うん――理解はしているんですが、私の力が必要な場面が来た時にはすぐに動いてあげたいんですよね。それに、仕事をしすぎなのは君も同じでしょう」
そっと、彼の手が頬に触れる。
暗褐色に青が混じった不思議な瞳で見つめられると、面と向かって彼に文句を言える人間はほとんどいないだろう。
アルブレヒトは自分の使い方をよくわかっている。良かれ悪かれ、人に自分の意見を突きとおす頭の良さを持っているのだ。
「それは――」
「君の協力がなかったら、私だって大変です。でも、それは君に無理をしてほしいという話じゃない……結婚早々に母上が儚くなったせいで、たくさん苦労を掛けてしまったとは思いますが」
薄い唇が頬に触れた。
肩を抱かれて、そのまま強く引き寄せられる――スキンシップというにはやや艶めかしい手つきに、わたしはきゅっと眉を寄せた。
「……アル」
「一月近く君に触れられていないんですよ? それなのに、レオノールは自分の奥さんがいかに素晴らしく美しいか、そして閨ではどれだけ可憐で可愛らしいかをそれはこと細かく語るんです。性格悪いですよね」
はぁ、とわざとらしく溜息をついたアルブレヒトが、更にわたしの体を抱きしめる力を強めた。
普段のドレスと違ってしっかりとした、動きやすい格好をしているが、それでも下腹部の辺りに熱を感じてしまう。
「待ちなさい、アルブレヒト。いくらなんでもここでは――」
「誰も来ませんよ。こんなところ……私たちがここにいるってわかっていて、わざわざ邪魔をする人なんていないでしょう?」
耳元で微笑んだアルブレヒトが、そっと胸元に手を伸ばしてくる。
シャツを彩るボタンを解き、女性もののほっそりとしたジャケットを脱がされても、わたしはろくに抵抗もしなかった。
「ほ、本当に誰も来ない?」
「おそらくは。大丈夫……君がいやらしい声をたくさん上げたりしなければ、わざわざこの中を覗き込む者なんていませんよ」
そう囁かれて納得してしまうくらい、わたしも彼を求めていた。
普段だったら頑なに首を横に振っているが、今は久しぶりの夫婦水入らずだ。
「……わ、わかったわ。我慢してみる……」
頷くと、ゆっくりとボタンが外されていく。
乗馬服ということもあって、生地はしっかりとしている。
コルセットに覆われている腰も彼の手で解放されて、胸がたぷん……♡とたわんだ。
「ふ、ぁっ♡」
「あぁ、もうこんなに――馬に揺られている間も辛かったでしょう? ずっと触っていてあげられなかったから……」
ぴんっ♡ぴんっ♡♡と胸を弄られたかと思うと、その手はすぐに服を脱がせる作業に戻ってしまう。
ぷちぷちとボタンが外され、乗馬用のキュロットを脱がされるだけで、外気に晒された素肌がふるりと震えた。
「は、んんっ……♡」
「ほら、声を我慢して? 誰かに聞こえてしまうかもしれませんよ――私は聞かれても構わないけれど、君はどうかな」
「そんな、の……ッ♡あ、ぁんっ♡や♡汗かいてるからっ……♡♡舐めないで……♡」
ちゅ、と首筋に唇を押しつけたアルブレヒトが、そのまま鎖骨までのラインをなぞる。
ねっとりと舌を動かされただけで腰が揺れ、堪えなければならないというのに甘い声が漏れてしまう。
慌てて口元を手で押さえたが、指の合間から漏れ出るそれを隠しきることはできなかった。
「ひぁ、ァっ♡♡アル、ゥ♡♡♡んぁ♡や♡くぅっ……♡♡」
どんどん、声が溢れてくる。
我慢しないと――どこで、誰が聞いているかもわからない。先ほど聞こえてきた職人の声を思い出して、余計に体の芯が熱を持った。
「ふ、くっ♡んむぅ♡♡」
「言いつけを守って、ちゃんと声を堪えてくれていますね。でも……頑なな君に、めちゃくちゃに喘がせてしまいたくなるような気もします」
三日月型に目を細めたアルブレヒトが、ちゅうぅっ♡ときつく首筋に吸い付いてくる。
「ん゛ぁっ♡だ、だめ……そんなところに痕なんてつけられたら♡み、みんなに見られちゃう……♡♡♡」
「見せつけてあげればいいんですよ。ほら、未だにバカなことを言う人がいるでしょう? 私と君の間に子どもができないのは夫婦間の不仲がゆえだって」
ちゅ♡ちゅっ♡と肌に痕を刻みつけながら、アルブレヒトの大きな手が体を這いまわる。
優しく、けれど確かに情感を揺さぶるような手つきで肌に触れられて、唇を噛みしめてもなお声が漏れ出てしまう。
「んくぅ♡ふ、ぅっ♡♡ん゛ぁ♡やっ、アルブレヒトッ……♡」
「頑なですね――まぁ、そこがいいと言えばその通りなんですが」
「ひぁうっ♡」
下肢を包んでいた下着をクイッと引っ張られて、甘い刺激が駆け上ってくる。
それとほとんど同じタイミングで乳首を指で押しつぶされたことも相まって、それまで堪えていた声が甲高く周囲に響き渡る。
「あ、ぁっ……♡」
チチチ、と小さく鳥の鳴き声が聞こえてくるのも、十分にわたしの羞恥を煽った。
ここがほとんど外だということ、窓ガラスもない東屋の中は簡単に覗き込めてしまうこと――恥ずかしいはずなのに、そんなことを考えただけで蜜壺から淫らな蜜が滴ってくる。
「くふ、ぅうっ♡ぁ、待って♡待って……アル、これ、本当にだめ――」
「たまには解放感があっていいでしょう? この具合を見るに、かなり君も感じてくれているみたいですし」
キュッ♡キュッ♡と何度も下着を引っ張られて、割れ目に布地が食い込んでくる。
「ほ♡ぉっ♡ぉんっ♡♡♡」
「この様子じゃ、もうおまんこぐちょぐちょですかね――ほら、下も全部脱いで。お漏らししたみたいにぐちょぐちょの格好で、屋敷に戻りたくないでしょう?」
甘い声が鼓膜に絡んで、頭の中がぼんやりとしてくる。
なにも考えられない――体から力が抜けて、どんどん抵抗ができなくなっていった。
いや、違う――わたしは、最初からコレを期待していたんだ。
最初から……城を出た時からきっと、この瞬間を期待していた。
「ぁ、ぬ……脱がせて……♡」
「いいですよ。ほら、腰を上げて……いやらしい下着だ。ほとんど紐じゃないか」
「こ、これは――乗馬服を着るから、下着のラインが出ちゃいけないと思って……っ♡」
言い訳じみたことを口にすると、アルブレヒトがクスクスと笑いをこぼす。
「そうですね――次期王妃様が、オープンクロッチの下着をつけておまんこぐちょぐちょにしているなんて……誰かに知られたら、大変ですから」
重い腰を持ち上げると、腰の両側についている紐をはらりとほどいてしまった。
地面にはらりと舞い落ちた薄手のそれは、オープンクロッチ――クロッチ部分に大きな切れ目を入れてあり、それを華やかなレースで隠している。
とてもじゃないが、その作りは一国の王太子妃がつけるようなものではない。
「これは……あ、アルがつけろって……」
「そうですね。私が言いました――でも、律義にそれを守ってくれるなtね。本当にマルガレーテは、真面目で可愛らしい」
「ひぁぅうっ♡♡」
にゅぷぅっ♡といきなり指を突き立てられ、油断しきった喉は甲高い悲鳴を上げた。
指がいきなり、深い場所にまで挿入されてしまう。
中指を軽く動かされて、うねる媚肉を刺激され続けると、わたしの喉からは絶え間なく嬌声がこぼれた。
「ぁ♡あうっ♡♡♡んっ♡んっ――♡♡」
「まだ指を挿入れただけですよ? でも、君のナカは私の指でも満足してくれているみたいだ。このまま達してみましょうか?」
にゅぷ♡ぢゅぷぷっ♡♡ぬぽっ♡ぬぽっ♡♡♡ずちずちっ♡♡♡
巧みに中指で膣内を擦り上げられて、徐々に快感の波が強くなっていく。
その頃にはわたしも、とっくに声なんて我慢できなくなってしまっていた。アルブレヒトの肩にしがみつきながら、甘く囀ることしかできない。
「んんっ♡アル♡♡アル♡これらめぇ♡♡♡気持ちいい♡気持ちいいのどんどんキてる♡ぁふっ♡これっ……♡声我慢できなくなるぅ♡♡♡」
「これだけナカを締め付けていれば、そうでしょうね――私のペニスなんて必要ないかな? マルガレーテは指だけで気持ちよくなってしまうんでしょう?」
「や、やだぁっ♡おちんぽ♡アルのおちんぽほしい♡♡♡指だけじゃ足りないの♡」
言葉を囁かれただけで、指先をきゅんきゅんっ♡と締め付けてしまう。
けれど、一番刺激が欲しい最奥までは指先が届かず――甘美な刺激を与えられれば与えられただけ、その場所を触れてほしくなる。
「足りない? これだけ貪欲に締め付けておいて……マルガレーテは欲張りですね……?」
「よ、よくばり♡欲張りなの♡♡さっきからずっとおまんこきゅんきゅんってして♡♡アルのおちんぽほしいっておねだりしちゃってるの♡ぁっ♡だめ♡そこ弱いの♡♡グリグリってしちゃ♡ぁ゛♡ぁ゛あっ♡♡」
ぬ゛ちぬ゛ちぬ゛ちっ♡ぐりっ♡ぢゅぷっ♡ぢゅぷっ♡♡ぬぽぉっ♡♡♡
溢れてくるたっぷりの淫蜜を掻きまわしながら、長い指先がわたしの弱いところを擦り上げてくる――♡
「ほぉ゛♡おっ♡こ、りぇっ♡♡これらめぇっ♡んぉ゛♡お゛♡♡♡指でイく♡これ以上グリグリってされたらイっちゃうぅっ♡♡♡」
爪の先が白くなるほどに力を込めて、アルブレヒトの肩にしがみつく。
けれど彼は、そんなことお構いなしに指先を動かし続け、あらわになった胸の頂きにちゅっとキスをした。
「ん゛♡ひっ♡♡♡」
「イっていいですよ。これだけの自然に囲まれながら達するっていうのも、解放感があっていいでしょう」
「――ぁ、そん、なぁぁッ♡♡♡やっ♡やらぁっ♡♡♡おっぱい吸わないで♡やめ♡お゛♡お゛ひっ♡♡♡」
ちゅっ♡ちゅぅっ♡♡♡ちゅぱ♡ぢゅっ♡♡
彼は執拗に乳首へのキスを繰り返しながら膣内を刺激し続ける。
与えられる快楽自体はそれほど強いものではなかったけれど、熱に浮かされた体には十分すぎるものだった。
腰を浮かせて愉悦から逃れようとするも、それを許さないとばかりにアルブレヒトがぬちぬちと指先を動かしていく。
「ひ♡ぁううっ♡♡だめ♡だ、めぇっ……♡♡♡」
こんな――ほとんど外と変わらないようなところでイくなんて、王太子妃として……いや、人としてやってはいけないことだろう。
「無理に抗わなくていいんですよ。ただでさえ君は、いつも自分を強く戒めている。私の前でくらいは自分を解放して――可愛い声を聞かせてください」
「ッひ♡あ、るぅっ……♡♡」
ぢゅぽぢゅぽっ♡ぐちッ♡ぢゅぷっ♡ぢゅぷっ♡♡ぢゅぷぅっ♡
指ピストン容赦ない♡こんな♡こんなの我慢できるはずが――♡
「ぁ♡も、だめぇつ♡イく♡イっちゃうの♡♡アル♡アルゥっ♡見て♡マルガレーテがアルの指でイくところ見て、ぇっ♡♡♡」
「――見ていますから、盛大にイってください♡」
ぐちゅんっ♡ぐぽ♡ぐぽっ♡♡♡
「ぁ♡ぁ゛~~~♡♡♡や♡ん゛ぁあっ♡イ、って♡イく♡♡きも、ちぃ♡♡♡お外でイっちゃってる♡ぁうぅうっ♡♡♡」
びくんっ♡びくんっ♡♡と体を強くこわばらせた瞬間に、吹き付ける風を背中で感じてしまった。
自分が今どこにいるのか、どんな場所で快楽に悦がっているのかを自覚した瞬間、途方もない快感が体を駆け巡る。
「ぃ゛、ッ~~~~♡♡♡ぉ゛♡♡ぉ゛おっ♡♡」
「あぁ……見事なイきっぷりですね。流石、私のマルガレーテ」
体の中で、無数の火花が弾けているみたいな感覚だ。
強く強張った体が一気に弛緩すると、そのままアルブレヒトがわたしのことを受け止めてくれる。
「は……♡♡ぁ、あっ……♡」
「おや、飛んでしまったかな――マルガレーテ?」
遠くの方で、アルブレヒトの声が聞こえる。
けれど、深い絶頂を味わったわたしはそれに応えることができない。ぐったりとしたまま、ひたすら呼吸を整えるので精いっぱいだ。
「マルガレーテ……困ったな。これからたくさん、君のことを可愛がろうと思っていたんですが……」
かすかに聞こえる声が、困惑の色を宿す。
はやく――彼の声に、応えてあげたい。そう思っても指先すら動かすのが億劫でなにもできない。
そう思っていると、不意に体が浮遊したような、妙な感覚を覚えた。
「ぁ、ぇっ……♡」
「このまま、君のことを犯しますね」
「ぇ♡お゛ッッ♡♡♡」
ごぢゅんっ♡♡♡
熱いの、が――一気に、子宮押し潰してきてる……♡♡♡
なにこれ♡おちんぽ♡♡♡おちんぽ一気に入ってきた♡♡
「ぁお゛ッ♡な♡ぁあんっ♡♡♡にゃに、ぃっ♡お゛ッ♡熱♡♡おまんこ熱い♡♡ぃっ♡♡♡」
「あ、戻ってきましたか? お帰りなさい――イったばっかりでナカが辛いでしょうが、少しだけ頑張りましょうね? たっぷりと……君のまんこを私に味合わせてください」
ぬぷぬぷぬぷっ♡♡♡ずぢゅっ♡♡ぬこっ♡ぬこっ♡ぬこっ♡♡
おちんぽを突き立てられたばかりのおまんこは、その強すぎる快楽に驚いているのか、軽くピストンを始められただけでも狂おしいほどの喜悦を伝えてくる。
「ほ♡お゛ぉっ♡♡♡やっ♡下からずこずこって♡♡イったばっかりのおまんこぐぽぐぽってされてりゅ♡♡ンぁ♡や♡♡またイくぅっ♡」
一度絶頂を味わってしまうと、わたしの場合何度もそれを繰り返してしまう。
深いアクメが次のアクメの呼び水になって、イきっぱなしの連鎖が止まらなくなってしまうのだ。
「んっ♡んっ♡♡んっ♡おちんぽ♡おちんぽ気持ちいいの♡♡とろっとろのおまんこガン突きされて♡♡イくの止まらなくなっちゃう♡ぁえっ♡は、ぁっ♡♡また♡まらイくぅッ♡」
「ッ……ナカ、締めすぎです……♡一度箍が外れてしまったら、もう――」
ちろりと唇を舐めてきたアルブレヒトが、ぱくりとわたしの口を食んだ。
舌をぐちょぐちょと絡められて、きつく抱きしめながら膣奥を穿ってくる。
「ん゛むぅっ♡ん゛っ♡ぢゅるるるっ……♡♡ふ♡くふ、ぅうっ♡♡♡んむ♡ん~~♡♡♡」
口の中も、舌で犯されちゃってる……♡
おまんこもぐぽぐぽって乱暴に犯されながら、咥内もめちゃくちゃにされるの気持ちいい――♡♡
「んぢゅ♡はっ♡♡はーっ♡はーっ♡♡アル……♡アルブレヒト♡♡すき♡もっと♡♡もっといっぱいちょうだい♡♡♡」
「君のものですよ。王太子としての私は国と民のものですが――個人としての私のすべては、君に全て捧げています」
ずっ♡ずっ♡♡と楔を打ちつけられながら、耳元で優しく声を注ぎ込まれる。
――こんな人だから、わたしはずっと彼を愛してきた。自分の意志を持っていなかったような年頃から婚約を結び、過酷ともいえる妃教育を乗り越えられたのも、優しい彼の言葉があったからだ。
「誰が何と言おうと、私の妃は君だけ――いいですね? 口うるさい貴族どもには好きなだけ言わせておけばいい。私たちの間の愛は、誰にも阻むことなどできはしないのだから」
まるで人形のように美しく、どこか人間味の薄い笑みを浮かべたアルブレヒトが、力強く腰を打ちつけてくる。
その度に膣内が膨大な快楽を伝え、胸の奥が苦しくなった。
やっぱりわたしは――ずっと、彼のために生きる運命だった。生まれた時から、彼の女として生きていく宿命にあった。
「マルガレーテ。君はいったい誰のもの? その可愛らしい唇で、私に教えてくれませんか」
「は♡はい♡♡♡アルの♡アルのものです♡♡♡この心も♡すぐにイっちゃうえっちな体も♡♡全部アルのっ♡♡アルブレヒトだけのもの、ですぅっ♡♡♡」
ぬ゛ぅ~~~~♡♡ともったいぶった動きで肉杭を引き抜かれて、体がガクガクッと大きく震えた。
わたしの発した言葉に満足するように、アルブレヒトはアンバーの瞳をすっと細めた。釣りあがる口角に、ぞわぞわと甘い期待が頭をもたげてくる。
「よく言えました。――ご褒美ですよ♡」
「お゛きゅ、ぅ♡♡♡ほ、ッ♡あっ♡あ♡ふかい♡♡♡深いのッ♡いちばん奥までズンズンってされてりゅ♡♡♡おちんぽ♡また大きくなって、ぇっ♡♡♡」
「それは、君の一番深いところに、たっぷりと精液を注ぎ込むためですよ――」
刻みつけられるかのようなその言葉に期待して、子宮が痛いほどに疼いた。
久しぶりに受け止めるグツグツの精液を想像して、背中が反り返る。
「ちょうだい♡アルの精液♡♡マルガレーテの子宮にぴゅっぴゅってして♡♡♡わたしのお腹の中♡アルでいっぱいにしてぇっ♡♡♡」
ぬ゛ごっ♡ぢゅぽっ♡♡どっちゅどっちゅどっちゅっ♡♡ぼちゅっ♡♡♡
容赦のない本気ピストン♡種付けする気満々のガチガチおちんぽどんどん熱くなってる♡♡
「ぁ♡♡♡あぅっ♡子宮♡ずっときゅんきゅんしてる♡♡♡気持ちいのクる♡♡お゛♡やぁっ♡♡♡あ♡んぁあっ♡♡♡」
ぎゅうぅっ……ときつく体を抱き寄せられたかと思うと、湿った吐息が首筋にかかる。
「ん、くぅっ……♡♡♡」
ぶびゅ♡ぶぢゅぢゅぅ♡♡♡びゅ~~~~ッ♡♡ぼびゅっ♡♡ぶちゅんっ♡♡♡
縋りつくようなハグの後で、止め処なく精液が注ぎ込まれる。
子宮を押し潰すかのように強く突き穿たれた後のおまんこは、その射精の余韻だけでもイってしまうくらいに敏感だ。事実、わたしは長い吐精の間何度も軽い絶頂を繰り返した。
「は――マルガレーテ。私の、私の美しいマルガレーテ……」
やがて永遠とも思えた奔流が収まった後も、アルブレヒトはゆるゆると腰を動かして唇を食み、大きな手のひらで胸を揉みしだきながらわたしを求めてくる。
もう屋敷に戻らないと、中の使用人たちに心配されてしまうだろうか。
そんな考えが頭をよぎったけれど、決して多くはない休暇の間、少しでも多く彼の側にいたい――そう思うと、どうしてもその手を振りほどけない。
「……アル」
「もう少し――もう少しだけでいいので、このまま……」
掠れた声でそう呟かれて、小さく笑みをこぼす。
やがて国を背負う大きな背中に腕を回して、わたしはこの瞬間を胸に刻みつけるように目を閉じたのだった。
● ● ●
「アルブレヒト様……意外と、マルガレーテ様の前では甘えたがりなんですねぇ」
「そ、そうかしら? 彼はあまり、他人に甘えたりする人ではないと思うけど」
一通り話を語って聞かせると、目を輝かせたアデリーネとカトレアが互いに顔を見合わせた。
「だって、そんな……二人で遠乗りして、お外でなんて……ま、まだ私とレオもそんなこと……」
「あら、流石に屋外じゃないわよ? 東屋の中だったし――」
「大体外と変わらないですよ、マルガレーテ様」
やんわりとカトレアに諭されて、今更ながらに頬が熱くなってくる。あの時は完全に流されてしまったけれど、確かに肌を重ねるような場所ではなかった。
自分がやってしまったことについては日を追うごとに恥ずかしさが増していったのだが、人に話してみると余計にそれを感じてしまう。
「でも――私以外にも、こういう……その、すごく愛されている方がいるんだって知れてよかったです。ずっと――これってちょっと変なんじゃないかな、って思っていたので」
白い肌を薄朱に染めたアデリーネが、どこか安堵したような表情を浮かべている。
確かに、彼女の話を聞いていればそう思ってもおかしくないかもしれない。レオノールの彼女に対する愛は、執着と呼ぶにも生温い気がする。
「わたくしやマルガレーテ様のお話を聞いたら、少し安心したでしょう? あのね、マルガレーテ様は結婚当初、三日以上も寝室から出してもらえなかったのよ」
「え、それってつまり三日以上ずっと――」
さっと顔を青くしたアデリーネに、それは違うと首を振っておく。
一応、三日間ぶっ通しで抱かれ続けたわけではない。中には、多少の休憩もあった。
「お、王族のしきたりなの。国王直系の王子たちと結婚した女性は、しばらく他人に姿を見せてはいけないから……」
無論、その間たっぷりと色々なことを教え込まれたのは事実だけれど、これもここで言うことではないだろう。
「それに、アルブレヒトだけじゃなくてフィオラントも――あら?」
ふと、軍靴の音が耳にとまる。
数人――少なくとも一人ではない。複数の足音が、この庭園に近づいてきている。
「……アデリーネ、カトレア、お迎えよ」
「え……あっ、レオ……!」
「あらぁ、フィオ様。王城にいらっしゃったのですね」
どんどん近づいてくる人影は、わたしもよく見慣れたものだ。
夫の大切な臣下二人は、肩を並べて何かを話しながらやってくる。
(それに……あれは、アルブレヒト?)
更にその中心には、先ほどまで話題に上がっていたアルブレヒトの姿も見えた。
「アデリーネ、迎えに来たよ」
「え、でも……」
「王太子妃殿下は御多忙な方だ。あんまり長々とお邪魔するものでもないだろう?」
妻の姿を見るなり、我先にと駆けだしたのがレオノールだ。
まるで彼女のことを守るように側に立ったレオノールが、わたしに向かって深々とお辞儀をする。
「御多忙の中、我が妻にお心を砕いていただいたと伺っております。王太子妃殿下のお慈悲に触れられたこと、幸甚の至りでございますす」
「いいえ、楽しい時間を過ごせたわ。それに、あなたが如何にアデリーネを愛しているのかもよくわかったし」
「えぇ。……方々手を尽くし、やっと手に入れた大切な妻ですから」
こちらがゾッとするほどに美しい笑顔――それを見て、つくづく彼女はとんでもない男に愛されてしまったようだ。
「――カトレア、お前も帰るぞ。外に馬車を待たせている」
「あらあら……もうおしまいですか? せっかくいいところでしたのに……」
「じきに日が暮れる。話をしたいなら後で俺が聞く――お前の気が済むまで」
じっとカトレアのことを見つめているフィオラントの目にも、弟と同じような光が宿っている。……嫉妬されているわけではないと思うけれど、本当に兄弟そろって独占欲が途轍もない。
「まぁ、たまには女性陣で話したいこともあるでしょう。また今度、マルガレーテとお茶をしてあげてくださいね、お二方」
一方でわたしもまた――そっと、やってきたアルブレヒトに肩を抱かれた。そっと彼のことを見上げると、うっすらとした笑みが向けられる。……その目の奥に、鈍い欲情の火が灯っているように思えるのは、きっと気のせいではないだろう。
ドレスの下にじわりと汗をかきながらも、わたしは二人の友人に目を向けた。おそらく彼女たちもまた、今宵は心行くまで愛されるのだろう。
「そうね――是非、また三人で」
そんなわたしの声に微笑み返す二人もまた、どこか蕩けたような、期待するかのような笑みを浮かべていた。